大手メディアが書かない、CES2017の実態(出展者目線)

CES2017が閉幕して1週間ほどだったが、やはり、大手メディアさんはメディア視点。私は自社ブースにいたのでほとんどCES会場を見て回れていない、という点を釈明したうえで今回のCES2017について私なり(5年出してる出展者目線)の感想を述べたいと思う。

Alexa, Alexa and Alexa

家電から車まで、何もかもがAmazon Alexaに蹂躙された」「スタートアップシーンのほぼすべてはフランスに持っていかれた」この2点に尽きるCESだったなというのが感想だ。会場どこにいってもAlexa, Alexa and Alexa。昨年のCESではほとんど影も形もなかったAlexaだが、大手からスタートアップまで、ありとあらゆるハードウェアがAlexaに対応、会場のどこへいってもHey Alexaの声を聞く羽目に。

ぶっちゃけ、あのレベルで生音声を集められてしまうと、もう戦えるプレイヤーはGoogleぐらいしか残っていない。Google homeが白旗をあげたそのとき、Alexaのグローバル・デファクトスタンダードが完成することだろう。8年ほど前、日本のオーディオ関連会社すべてがiPod/iPhoneに白旗を上げたように。もちろんGoogleは強大な体力を誇るゆえ、巻き返してスマートフォンにおけるAndroid/iPhoneのような二強となる可能性はまだまだある。しかし、少なくとも本年のCESを見る限りではAlexaが圧勝したことに異を唱える人はいないはずだ。会場をざっと見回しただけでも数百を超える機器がAlexa Enabledとなり、車から冷蔵庫まで、徹底的にVoiceControlを押し出していた。もちろんクラウドベースの音声認識解析エンジンで日本が勝てるとは思っていなかったが、ここまでAlexa一辺倒になってしまうとは、正直予想できなかった。

French start-up wave

他に注目すべきポイントであり、日本のメディアで多く語られていないポイントはフランス系スタートアップの驚くほどの躍進だ。数年前からLa French TechやHardware clubといったフランス系のハードウェアスタートアップを支援する団体が大変意欲的に活動していて注目していたが、今回のCESではその活動が実り、ハードウェアスタートアップといえばフランスをWatchしないでどうする、というほどのイメージを来場者に与えていた。中国や韓国もEureksParkで積極的なナショナルパビリオン展示をしていたものの、全てにおいてフランスの強さが際立っていた。

何がどう際立っていたかと言うと、まずどれもこれもデザインがヨーロッパテイストでかっこいい、あるいはおしゃれ。これは中韓がマネできないところ。そして、商品の目のつけどころがどの会社もユニーク。中国パビリオンにありがちな「なんかどれもどっかで見たようなもの」になってはいない。これはデザイン性の部分も多いにあると思う。ただのアクティビティトラッカーであっても、アプリのUIから本体のデザインまで一貫したデザイン性があれば、おっ?となる。そしてなによりも、La French TechやHardware clubの連中がしっかりと目利きをしていて、ユニークかつハイデザインな商品にだけ彼らのチームに引き入れているように見えた(実際どうかは知らんw)。

純フランスかといわれるとそうでもないのだが、深センでハードウェアスタートアップ向けの投資育成事業をやっているHAXもCES直前に大きな3rdファンドの組成を発表している。シードラウンド中心にしか投資しないインキュベーターのファンドなのに、150ミリオン(約170億円)のファンドだ。彼らHAXも創業メンバーの多くはフランス人ということで、2017年のハードウェアスタートアップは相当フランス系の方々が舵を取っていくのかなという印象。もちろんHAXは投資先の大半が米国ではあるのだが.....。

悲しいかな、日本のニューカマーがどかんとプレゼンスを出していたなぁという印象はナシ。Sevendreamers、WHILL、Primesapぐらいがやや善戦、あとは手前味噌だがCerevo。勿論ソニーパナソニックなど大手メーカーは例年のようにプレゼンスを出してはいたが、フランスや中国のようにニューカマーが続々登場してでかいブースを構えて人を集めるというようにはなっていなかった。

トヨタやホンダ、日産は相当力をいれてCESのためにコンセプトカーを仕上げてきたが、欧米・韓国の自動車メーカーはほとんどコンセプトカーを出さなかったのが印象的。トヨタのコンセプトは何だろう、こう、広告会社の匂いしかしないというか。トヨタが出したというより広告会社がトヨタの予算を使って出したような印象。直近のコミットメントが見えないコンセプトカーは、日本自動車メーカーの日本人らしい消極的な解にみえて、やや悲しい思いになった。技術をもっているがリスクは取りたくないという日本メーカーらしいアプローチには『ぐだぐだ言ってへんではよ売れや!』と言いたくもなる。コンセプトカーのような派手さはないものの、市販車すべてを順次Alexaに対応させますよと言ったフォードのほうがよほど先進的で、意欲的だなと感じる。リスクを取らない人たちはいずれリスクテイカーにやられて死ぬはず、なーむー。

その他ジャンルの規模感遷移

ドローンはやや縮小気味。NAB(映像放送機器の世界最大の展示会、CESとは別で同会場にて4月に行われる)ではものすごいいきおいでドローンが伸びているだけに、コンシューマー領域では頭打ちになって、よりB2Bに振っていく業界なんだなという見え方。2016年にはクラウドファンディングで大きくお金を集めた小型ドローンのZANOが倒産し、つい先日CES終了直後の1月10日にはこれまたクラウドファンディングで大成功した防水折りたたみドローンのLillyがプロジェクトの中止・返金を宣言と、コンシューマー向けドローンはやや茨の道。CESのドローン展示スペースがやや元気なかったのも頷ける。

IoTと呼ばれる製品群は活気がありすぎて分野の細分化が著しかった。スマート家電、だけではなくBaby tech(スマート赤ちゃんデバイス)やSleep tech(スマート睡眠デバイス)、Sports tech、Pet techなどと細分化。どこも盛り上がっており、2017年はより幅広い領域にスマートデバイスが浸透していくなと感じた。特にベイビーテックとペットテックは、日本ではイヌパシーぐらいしかプレイヤーがいない状況(しかもまだ製品は出せていない)のなか、20社近いベイビー・ペット向けデバイスに特化した会社が積極的営業をしていて、これは日本まずいなぁという状況。

なくなると思ってた3Dプリントは割としぶとく残っていた。が、やはり客足はさほどでもない。来年縮小かなーこれは感。技術はどんどん進歩してるが、先の読める進歩でなかなかWhoa!(今年のCESのテーマでまぁ、わ〜お!的な意)がない。

国感でいくと、韓国が後退しきったかんじでフランスが防前述の通りぐいぐいきてる。中国はまぁもう語る必要がないほどギョーカイナンバーツー。むしろワンの米国にグイグイ攻め込んでる感じ。日本は韓国と同じ感じで新規プレイヤーが出てこないので相対的に米中に差をあけられていってるかんじ。

と、まぁとりとめもない内容となったが、最後に言いたいことは『なんでこんな世界盛り上がっとんのに日本人誰もやってへんの?』ということ。びっくりするぐらい世界はIoTに向いていて、ハードウェアスタートアップ、あるいは数年前スタートアップだった中堅企業がすごい勢いで攻めているというのに、ここ2年で日本のハードウェアスタートアップは20%ぐらいしか増えていない・・・・・という何となくの体感値。少なくとも、CESという世界最高のIoT展示会の場でプレゼンス出してやろうぜという会社が全くと言っていいほど増えていない現状は、悲しいを通り越して辛いぐらいの感覚。

今年各メディアに日本のハードウェアスタートアップはどうですかというインタビューを受けたら、あのCESの惨状をあなた見てないんですか? と答えることにしたい。ただ唯一の、そう、まるで1本の蜘蛛の糸のような頼りない望みといえば、本年のCESはここ10年以上私が見てきた中で最も日本人の参加者が多かったんじゃないかと感じたところ。詳しくは例年CTAが発表している国別来場者数のデータを待ちたいが、あそこまで日本人が多かったということは、危機感を感じてくれた日本人も多かったはず。刺激をうけて、俺らもやるぞ!と旗を上げてくれる同志が2018年1月には激増してくれることを期待し、本年はみんなでCES2018攻めるぞーというロビー活動をして回りたいとおもう。

そんなことをやっても一銭の得にもならないのだけれど、日本に生を受けた身としてあまりに悲しすぎるので。

おまけ

今年のベガスはくっそ寒かった。ダウンジャケット持ってきてしまってミスったなーと思ってたが正解。

来年のCESは1/9から。アンベイルは1/7だろう。正月ツブれないのでやや行きやすくなったはず。行ってみたいというかたは、一ヶ月前までフリーキャンセレーションなので会社や家族との調整はあとまわしにしてまずはExpediaでホテル予約。すでに高級ホテルやお買い得ホテルは売り切れているが、いまならパレスステーションホテルが$38/dayだ。行くかどうかは予約しといて12月までに考えれば良いこと。パレスステーションはアクセス悪いがこの値段なら全移動UberまたはLyftでもかまわないはず。

See you in CES2018.

ハードウェア・スタートアップをが陥りがちな罠は『作りはじめてから、練って練ってよりよいものにしようとする』こと

スタートアップにおいてプロダクトのアイディアは練って練って練りすぎてペースト状になるまで練ってからさらに練って、というやりかたが推奨されることが多い。特にソフト業界では、プロトを作っては壊し作っては壊しで練り上げる手法が推奨されがち。ハードウェア・スタートアップのみなさんはこのメッセージを悪い方向で捉えている人が結構いるなーと感じる。

ハードウェアはね、そんなことをやっていたら5年経ってもモノが出ないよ....。練るのは作り始める前まで。そこまでは好きなだけ練ればいいと思うが、練っている間に同じものを作られても知らないよ、と。逆に、ハードウェア初級者はプロトを作ってみるまで何が出来上がってくるかイメージできないことが多く、これを冒頭のメディアや講演会でよく踊るフレーズ『練りまくれ』が悪い意味で相乗した効果を出してしまって、モノが出ない。

言葉は悪いが『割り切り能力』がハードウェアスタートアップの経営者には求められる。本当にみんなが思っている以上にハードウェア、とくに小型デジタルデバイスの設計・製造は簡単になった。その結果何が起きるかというと、さっさとやらないと誰かがすぐにやっちゃうよ状態になっているのが今。簡単になった=コストがかからなくなった(あくまで以前と比較して)=ぱっと作ってダメなら次モデルを作ればいいって所まで来ているので、まずは割りきって課題という課題をバッサバッサと割りきって、触れるモノを世に出してから考えれば良い。

ゴールが階段の100段目にある、ということが明確にわかっているケースはハードウェアスタートアップにおいて稀だ。まぁこれはソフトもそうかもしれないが、量産ハードを作ったことがある人しか、いまあなたがいるのが45段目なのか55段目なのか、じつはまだ30段目なのかはわからない。もっともこれは経験者に見てもらえば30分のヒアリングでいまどこかは教えてもらえるのだが。



まぁ何を言いたいのかというと、あれこれ試作しては練りなおしてまた試作して仕様追加して、なんてやってると死ぬよ、ということ。ターゲット価格と合わないなら仕様をバッサリ落とすとか、あーこれも追加したいなーって思ってもバッサリ『次モデルでやろう!』と割り切ったり、そういうのが秒単位のジャッジでできるチームは伸びるよなーといつも思って見ている。

こだわりは大事だけど、モノを作り始めてからやっていると間に合わないよ、という話。



※これを読んでいるCerevo社のみんなはあんまり気にしなくていいです。なぜなら何度もモノを作っているチームなので、どこまでなら『走りながら練れる』か?を熟知しているから。上で書いたのはハードウェアスタートアップ1年生(初回製品量産)の方における話です。

iPhone6 Bend Gate(曲がる事件)はガセだった...んじゃなくてガチだったんだってば、という話

ConsumerReportの実験(Gizmodeによる意訳はこちら)はとっても興味深くて、つまるところBendingTestやったら最弱クラスのスマホiPhone6だよってことでFAなわけで、事件終了というよりも『やっぱり弱かった!』と騒ぐTimingなんじゃぁないのかね?と。

もちろんAppleをDisりましょうという話ではなく、iPhone5の気分で使っていたらやっぱり曲がるんだよ、と注意喚起するべしという話で。70ポンドって31kgぐらいなわけですよ。31kgってなぁ体重60kgの人が椅子に座れば軽く掛かってしまう重さだ。....確かそんなもんだったはずとさっき体重計を椅子に置いて計測してみたから間違いないw(体重62kgの私で、40kg前後は普通に掛かる)。

で、iPhone5は130ポンド、つまり60kg近く掛けなきゃ曲がらないってことなのでそりゃぁ大差がありますわねと。ケツポケットに入れて硬いシートによっこらしょ、ぐらいでも体重80kgオーバーみたいな人でなかったらiPhone5なら大丈夫だったという話なわけですよ。


....というわけで、ガセでもなく、安堵することでもなく、タイトなデニムのケツポケットに入れてよっこらしょ、はiPhone5とくらべてiPhone6/6Plusは相当危ないことがデータで実証された、ということで。


メーカー側の人間としては、そんなもん保証なんて言ってないでしょw ということはよーくわかるんでAppleが悪いみたいなことを言うつもりは重ねて言うけど一切なし。強靭なケータイがほしければTORQUEとかそのへん買おうよ、という話。

楽天スマホ用ページのロードが遅いといっている人がいるがAmazonと同等。Zozoはちょっぱや。

FacebookのTimelineに下記のようなBlogエントリがたくさんシェアされていて、マトモそうなIT系企業経営者さんとかがふむふむ顔なコメントをしていたのでちょっと待てや、ってことで計測してみた。結論からいうと下記エントリはスマホ実機での実測に基いていないただの楽天叩き。べっ、別に楽天のことがすっ、好きとかそんなんじゃないからねっ(照

WiFiで見ても楽天スマホでのブラウザの表示速度はめちゃくちゃ遅い。<中略>
楽天トップページです
50秒かかっても全部読み込めない・・・・突出して遅い。「amazonでは、表示速度が0.1秒遅くなると売上が1%ダウンする」が本当なら500%くらいダウンしてるわ www
なにかスクリプトが動いているのか、CSSの量が半端ないのかがわからないけど、永遠に読み込んでいます。放っておくと3分超えても延々と読み込む。
おおよその部分が読み込まれるのにかかる時間、平均して60秒くらい!!


引用元:http://www.landerblue.co.jp/blog/?p=10371

楽天ファンというわけじゃないがよくわからない比較・計測で叩くのはよろしくない。実際にiPhone5のキャッシュクリア済みSafari楽天スマホ版トップを開いたら(彼がやっているように自宅WiFi環境にて)5秒で開く。読み込み完了まで、というが画像は遅延ロード化されているし、1st viewにある画像は上記5秒のなかでロードし切ってしまう。

Amazon.co.jpで4秒、Zozotownは確かに早くて2-3秒。

Keynote MITEで計測しているようだが、スマホ用Viewの遅さをスマホのブラウザを完全SimulateしたわけではないPC用ツールで計測されても、ねぇ。というわけでiOS6.1.4のiPhone5内蔵Safariで計測してみましたよと。

結論から言うと楽天はまったく遅くなく、Amazon.co.jpと同等速度。楽天は初回表示時はガイド用ポップアップが出るので、その時間を差し引くとAmazon.co.jpより早いんじゃねというぐらい。Zozotownはぶっちぎりのチョッパヤで楽天Amazonの半分以下の速度でのトップページロード。とはいえ何れも5秒といったところなんでそんなに差はないかなぁ。


というわけでよくわからないツールを使ったネガティブキャンペーンに騙されないようにしましょう、と。遅延ロードをうまく使うなどして、楽天は結構頑張ってると思いますよ。


※彼の言う『商品ページが重い』ってのも割とイミフで10個程度試してみたけど何れも5秒前後でロード完了する。彼が実際に60秒掛かっても開かなかったといっている商品ページがわかれば計測するが、Apple2Appleではない比較をしても意味がないのでやめておくw

Blogで @誰々 と書くとtwitter上でMention表示されるようになるといいのに

Blog書き手が特定の人に対して「あなたに言及しましたよ、よかったら見て&意見してくださいね」的な日本人的大変慎ましい一方的通知方法はないものか、という話。結論から言うと、Blog上で @だれだれ と書いたらtwitter timeline上でMentiond表示(日本語版でいうところの@表示)されるような仕組みがあるといいなぁと。

Blog検索エンジンやってる業者さんがBOT作るとかすれば十分できそうなもんだけど、利用者増えると1日の投稿数限界すぐ来ちまうから無理か。何かいい手はないもんかのー。ちょっと捻って実現できたら割と話題になるかもね。


例えば『モバツイを使えば、本家twitterの@に加えてあなたのtwitter-IDに言及されたBlog記事も知ることができます。』とかね。え、コストに見合わないって? それはまぁそれでBlog検索エンジンのお会社とアライアンスでも組んでくださいな。Powerd by gooブログ検索 とか入れるとかして、ね。

どないなもんでしょう @fshin2000 さん ←こんな感じで使うイメージ

CEREVO CAM発売 〜ざっくりと2年の流れを振り返る〜

ばたばたして報告遅くなってしまったが、昨日12月15日にCEREVO CAMを正式発売、お客様に向けて発送することができた。皆様の応援のおかげである。本日(12/16)からお客様のもとに届き始めているようだが、ちょうど下記エントリーを書いてから2年きっかり。これもBlogを見て応援をいただいた皆様のおかげである。感謝!

2年間の流れを振り返る

2007/12/15

松下電器を退職してネット家電を企画販売するベンチャーを起業
ちょうどこのエントリを起こしたのが2年前の2007年12月16日。CEREVO*1としての活動を開始したのが15日だったから、正式発売までジャスト2年ということになる。ちなみにきっかり2年にしたかったから発売を伸ばしたわけではないので念のためw

2008年1〜3月

私がJOINする前からFreescaleのEVMをベースに進めていたのだが、デジカメとしての性能をある程度持たせるため、i.MX31に見切りをつけ、TIのDM355プラットフォームへの移行を決断。マーケティングの観点から社名変更を検討しはじめる。

2008年6月

社名をCerevoに変更し、プレス向けに情報発信を開始。こういう会社があるんだよ、ということを伝えはじめる。CNETさんや日経BPさんといった技術系のメディアの皆様から、Cerevoに興味を持ってもらいはじめるのはこのあたりから。年内の資金調達完了を目指して動いていたため、開発人員の採用も始める。

2009年1月

ネット家電ベンチャーのCerevo、第三者割当を実施--今夏にも製品を発売
で、B2Cの量産ハードウェアを作るにはどうしても初期投資が結構かかる。というわけで2009年1月までを(約1年と1ヶ月)、試作機を作ってベンチャーキャピタルやエンジェル投資家の方から開発資金を募る期間として使った。丁度2008年秋にリーマンショックが起きて、これはやばいという流れのなか、何とか商品を出せるだけの資金を投資いただいた。

この1年間は無駄だったのかというとまったくそうではなく、ひたすら毎日名刺交換したり飲みやパーティーに顔を出したりして、様々な方と会った。投資家の皆さんはもちろん、今回CEREVO CAMの量産を請けてくださったEXEMODE社長の藤岡さんや、小ロットでの無線LANモジュール供給を快諾くださったPlanex社長(現会長)の久保田さんなどとも、この期間にはじめてお会いした。その上で、このパートナリングならモノがつくれるね、という感触を掴むことができたわけだ。

それらパートナーの皆さんに助けて頂いたとはいえ、TIさんのEVMをベースにほぼスクラッチで開発し、Webもハードもまとめて自分たちで作るという荒行をやっても1億円少々の資金で回る時代になったというのは、改めてハードウェア開発の敷居が下がっていることを実感する。CEREVOに限らず、これから面白いことが色々と起こっていくことだろう。

現在の主要開発メンバーはほぼこのタイミング(2月頃迄)で全員集結。

2009年7月

Cerevoのウェブ連携デジカメ、スペックとデザインを公開--3G接続で「だだ漏れモード」も
その後約半年を経て、CJIC2009というイベントでモックアップと機能を公開。このあたりからtwitterを使って情報発信を開始。より多くの皆様に興味を持っていただくということと、進捗が見えるのでファンの皆様に安心していただけるだろうとの考えから、ものづくりの過程を公開してゆく方針に切り替えた。サーバ側(CEREVO LIFE)が出来上がってきたのもこの頃。

2009年10月〜12月

さぁ秋にも発売かという流れで進めていたものの、様々なトラブルに見舞われ、延期。12月3日に発売を仮置きし、パーティーの会場まで抑えたものの量産用部品が期日までに工場に届かない、量産してみたらみたであれやこれや問題が発生し、結果15日まで伸びてしまった。ご期待いただいていた皆様には本当に申し訳ない。

これから

とはいえ、何とか商品として夜に出せるところまでは持ってきた。ファームウェアの完成度などまだまだ至らない部分も多くご迷惑をお掛けしてしまっている部分もあるが、真摯に対応させていただく予定である。パソコンなどの介在なく、ネットワーク経由で簡単にファームをアップデートできる仕組みをご用意しているので、うまく活用して行きたい。
ハードウェア的には720Pの動画を撮影できるスペックを備えているので、細かいBugFix後は動画ファームウェアに向けて走る予定だ。インターネットと動画撮影ハードウェアの連携はまだまだ発展途上なので、その発想はあったけど誰も実現してなかった、あるいは簡単便利には実現していなかったよね、というところをうまく狙っていきたいと思っている。そここそが、ネット家電屋の腕がなる部分だと思うのだ。

というわけで、まずは御礼とご報告まで。


CEREVO CAMは下記URLからご購入いただくことができる。
直販限定のブラック・モデルもまだ残りがあるので、検討いただければ幸いである。

直販サイトはこちら → http://cerevo.com/

※もっと詳しく色々書きたいが、それはまたの機会に。『ネット家電ベンチャーのつくりかた』という1冊の本ができそうな勢いなので、アスキーさんあたり新書でひとつどうですか(ぉ

[rakuten:cerevo:10000001:detail]

*1:厳密には当時は別の会社名だったが後に社名変更

インディーズ曲と(ボカロ+歌い手)*ニコニコの違い 〜ネットへの登録数とインフルエンサーへの刺さり方の違い〜

土日は適当なエントリーを垂れ流す日と決めてるので(ぉ 五月雨式に。先のエントリーのためにいろいろ調べて下書きとかしていたのだが、その情報勿体ないので切り貼りしておきたい。

インディーズとミク曲+歌い手が根本的に違うところは「母数の数」ではないだろうか。インディーズ音楽配信サイトのレコミュニが600組アーティストによる2000曲*1、 MUSICTOWER.jpが900曲弱*2MF247はアーティスト数1000という数値があるので先のレコミュニの数値から推察するに3〜4000曲といったところだろう。ニコニコで「ミク && オリジナル曲」での検索結果が7000件強。「リン && オリジナル曲」で2000件強。がくっぽいど、ルカ、KAITOあたりのキーワードとオリジナル曲を&&したものの結果がざくーっとまとめて2000件程度。それぞれの検索結果横断的に含まれてしまったものの分少し差し引くとしても5000コンテンツはまずくだらない。歌ってみた、アレンジしてみた、高音質版、などなど1曲をさまざまに弄繰り回したコンテンツがあるものの、それを言ったら先のインディーズサイトでもアレンジ違いなどは1曲に数えているはずなので。インディーズサイトの一部数値が2年前の古いデータとはいえ、ボカロだって歴史の浅いものだけに、リリースされてわずか1年程度で2年前のネットで手に入るインディーズ曲の数と同等かそれ以上は少なくとも盛り上がっていると取っていいはず。

上はid:kanoseさんのインディーズじゃなくて何でニコニコなのよという突っ込みにムキになって色々調べてみて書きなぐったんだけど没になった原稿の一部ww mf247とかリリース直後に1回見ただけだったけど、あとになって検索してみると結構数あったのね、と気付いてびっくり。だが、漠然と「ミク曲は数が多い」と思いこんで先のエントリーを書いてたら思った以上に多くてびっくり。

曲数で突っ込まれたら「インディーズの歴史に比べたらここ1年ほどしか実効期間がないミクと比べるのはお門違い」と振り払おうと構えていたんだけどその必要はなさそうな感じ。1つの曲を何人もが歌い上げていることも多いので検索結果の絶対数に意味はないとは思うが、それらを含めても勢いはあるなぁと。

ネットに上がってないインディーズ曲はもっとすごい数あるんだろうけれど、ね。


あと、母数が大きいということだけではなく、聞き手のほうの影響力(インフルエンス力というか)の違いも大きいのだろう。これは完全な私見だが、インディーズ曲を聴いていることを広く人に伝え、あれがいいよこれがいいよと伝える人にはあまりあったことがない。ひっそりと楽しんでいて、酒飲んで深く話しを聞いてみると実はインディーズのxxが結構好きで...なんて話が出てくるような、そんなイメージ。まぁ私の周りのインディーズファンにそういうタイプがたまたま多かっただけかもしれないが。対してボカロ界隈となると、BlogやSNSといった Webツールを駆使して好きなもの、ハマってるものをアピールする、インフルエンス力が強い人が多いように感じる。現実世界では話べただったりするのかもしれないが。

インフルエンサーへの刺さり方が深い、という意味でも(ボカロ+歌い手)×ニコニコというのは従来のインディーズレーベルとはいい意味で違った結果に向かっていくんだろうなと感じる。

*1:ただし2006年時点のデータ

*2:こちらはリアルタイムの数値