ワンセグ携帯を普及させたいのは家電メーカーじゃない!?

http://premium.nikkeibp.co.jp/itm/col/suzuki/22/
日系BPにて、下記のような内容が書かれていた。 ※厳密にはこちら

 そのような事情ではあるが、せっかくだからワンセグ放送をもっと普及させたい。ということで友人と一緒に勝手に普及策を考えてみた。 <中略>
松下さん、日立さん、三洋さん、ちょっとだけやってみませんか。ワンセグ端末を普及させたいのは、家電メーカーの皆さんの方じゃないですか。


いやいや、家電メーカーはそんなのこれっぽっちも思ってませんって(笑)
はっきりいって(ワンセグケータイを作っている)家電メーカーとしてはワンセグケータイが普及したからといって、どーんと利益が転がり込んでくる構図にはならない。


結局おいしい所は全部キャリア(DoCoMo,KDDI,Vodafone)が持っていってしまうのである。家電メーカーは"ベンダー"に過ぎない。


よしんばプロモーション費用を家電メーカーが捻出して、現行モデルのワンセグケータイが普及したところで、キャリアからは「次モデルは全機種ワンセグでいきます」の一言である。拒否権はないに等しい。拒否すればDoCoMoからPが、AuからはSaが無くなるだけだ。結局のところ「連続ワンセグ視聴可能時間」あたりで勝負せざるをえないような構図にさせられてしまうのである。着うた対応,写メール対応,Felica対応あたりを思い返せば明らかであろう。つまるところ、最初に写メールに対応したSharpがプロモ費用を突っ込んで写メールを説いて回るに等しい行為なのである。


その際に、Sharpが写メールについて沢山のパテントを持っていて、かつキーデバイス(CMOSセンサ等)を持っていればまだいい。そうでなければSharpはプロモ費用を払ってみすみすVodafone(当時のJ-Phone)に利益を与えるようなもんである。Sharpだけが利益を得られる期間は驚くほど短く、全機種採用になるまでの間、ほんの半年から長くて1年程度のものだ*1

というわけで、地デジのようにパテントを皆で分散して持っているような大仰な仕組みにおいては、家電メーカーがでかい金突っ込んでプロモするメリットは無いに等しいわけである。そんなところより、ワンセグに対してコンテンツを流すコンテンツプロバイダーさんのほうがよっぽどプロモ・メリットがあると思うので、百年だか千年だか知らないが、コンサルティングするなら放送局にでも持ち込みしたらどうですかね?


キー局のように既得権益でウハウハな人たちに『人の意見に耳を貸す』なんてスキルが備わっているかどうかは知らないけれども(ぉ

追記。こんなことを書いたが、その1年や半年だけのリードタイムでもいいから自社端末が1台でも多く売れてほしいという思いや、ブランドイメージ向上のため、CMを打ったりプロモしたりはまぁするんだが。そんなに気合入れてやらない背景はこんなところなんですよ、という所で。ちなみに個人的な推測であって担当者から聞きだした裏話とかではない。念のため

*1:当時のプロモーション活動を思い起こしての空想。Sharpがケータイカメラのキーデバイスをどれだけ持っていて、写メール関係の知財をどれだけ抑えているか、実際幾らのプロモ費を払っていたかなどは知らない