ワンセグがとにかく面白くない。どうすりゃ良くなる!?

新しモン好きなのでワンセグケータイを投入してみたのだが、ここまで面白くない&使えない物だったとは。HDDレコーダーとPSP(或いはPCでもいいのだが、とにかく録画済番組を持ち出して見れるガジェット)を併用しているユーザーにとっては、ワンセグケータイによるワンセグ放送のリアルタイム視聴は苦痛以外の何者でもないのではなかろうか。少なくとも筆者はF1放送開始時刻に家に帰り着けなかった、というレアケースでしか活用できたためしがない。それ以外の「電車内,飛行機待ちなど、ちょっと動画が見れそうな時間」は絶対にワンセグなんて使わず、PSPに蓄積した録画番組を見ている。何故か?以下問題点をざっと列挙しつつ、改善策を練ってみたい。大変長文エントリとなってしまったので、時間のある時にでも読んで欲しい。

CM飛ばしに慣れたユーザは生放送に戻れない

「そりゃテレビだもん」というお叱りが聞こえて来そうだが、HDDレコーダーと蓄積型携帯動画プレイヤー(以下PSP)を併用しているユーザにとってはCM飛ばしが常態化しており、飛ばさず見るなんてことはリアルタイム性が最重視される一部スポーツ番組に限られる。

「放送」における「回線断」は耐え難い

ワンセグ放送の受信感度はすばらしい。アナログTVとは比べるのもおこがましいほど、どこでも安定して美しい映像を届けてくれる。だが、都市部を移動していると"電波が途切れる"状況は必ず存在する。地下鉄,トンネル,地下道と、都会は放送波にとって数々の魔物が潜むデンジャーゾーンだ。
ワンセグ放送は、その名の通り放送である。一時停止・巻き戻しが出来る「蓄積映像」ではなく、リアルタイム性こそが売りの「放送」であるがゆえに、例え30秒であっても映像・音声の欠落は耐え難い苦痛となるのである。アニメなどシーン転換の激しいコンテンツを見ていようものなら、30秒の欠落は死に値すること間違いない。ガンダム世代の諸氏は「悲しいけどこれ、戦争なのよね」の台詞から、中尉が爆死するまでの数秒を思い出してほしい。あのタイミングで電波が切れようものなら、高い金出して買ったワンセグケータイを床に叩きつけたくなる事必至である*1

映像の「積ん読」化と積んだ映像消費の難しさ

CATV加入者はついに全世帯の40%である1800万世帯に達し、BSデジタルも1000万世帯を超えて普及しており、本格的な多ちゃんねる時代が到来していると言える。また、YouTube,GoogleVideo,フジTVの動画SNS*2といった非TV型コンテンツもその後ろに控えているといった状況。結果的に何が起きているかと言うと「見たい番組はいっぱいあるんだけど見る時間がない」状態、つまりは本でいうところの「積ん読」化である。
可処分時間 > 見たい番組数×放送時間 という状態であれば、「生放送をだらっと見つつ暇を潰す」「とりあえず他のことやるんだけどTVは点けておく」という視聴形態が取れるが、可処分時間 < 見たい番組数×放送時間 となった瞬間、生放送であることの必然性が限りなく低くなり、『状況にあわせて"手持ち"コンテンツの消費形態を適切に選択する』形態がBest Choiceとなる。

だが、ユーザにとっては「悲しいかな」,放送局や広告代理店にとっては「幸いにも」、この形態を誰でもカンタンに,安価に実現できるツールは未だ提供されていない。ここでは趣味嗜好に合った番組を自動的に入手(ダウンロード or 録画)、ユーザの状況(ながら見 or ガン見, 長時間視聴 or 短時間視聴)に合わせて適切な映像をセレクトしてダダ流しするようなデバイス、あるいはアプリケーションを想定している。宅内での現状は、自動録画対応のHDDレコーダーを鍛え上げる or こまめに予約し、手動で番組を選択しなければならず、わからない・面倒・HDDレコーダーを持っていない、などの理由から「とりあえず生放送ダダ流し」という形態がまだまだ主流となっているのである。

ことモバイル環境となると状態は尚のこと放送局・広告代理店有利となる。カンタン手軽に大量の動画コンテンツを持ち歩けるデバイスはほとんどないのが現状だ。勿論HDD内臓のポータブル動画プレイヤなど、デバイスそのものは存在はしているのだが、高価であったり、動画転送にPCの知識が必要であったりするなど、一般化しているとは言いがたい。

結果、面白くもないサイマル放送ワンセグをダダ見する結果となる。え、PSPメモリースティックがあるんちゃうんって?ロケフリPSPはどうやねんって? ...HDDレコーダーですら「難しい」「メンドい」って言うてはる方々に、ロケフリのDynamicDNSの設定やら、メモリースティックへの転送なんぞ出来ますかいな...。おっと、思わず関西弁が出てしまった。

以上で「リアルタイムでの放送視聴なんてそんなに求められてない時代でしょ?」論を終えたいと思う。ここからは「100歩譲ってリアルタイム放送をまだまだ見たいユーザがいるとして、ワンセグ放送はそういったユーザに的確なユーザエクスペリエンスを提供できているか?」という議論に移りたいと思う。

何を加えればリアルタイム視聴が面白くなるのか

ソニー(BRAVIA),東芝(FACE),パナソニック(VIErA)と大手家電メーカーが続々とHTMLブラウザーを搭載したテレビをラインナップするものの、ほとんど誰も繋いでくれないのが現状である。そんな中、ワンセグケータイは「全機種ネット接続済み」という、TVメーカーからしてみれば羨ましすぎる前提条件下でサービスをスタートしている。にも関わらず、ネット機能を活用しているTV局は皆無である。勿論、データ放送の画面で興味ある内容をクリックすることで、関連Webページが見れる、という程度の機能はあるが、ツカエナイ。そんな中、TBSは割と動きが早く、松下電器と連携して「刑事どん亀」にてネット接続機能とワンセグ放送の連携を模索している。残念ながら当該コンテンツを見るにつけ、暗中模索の状態を脱していないようだ。ワンセグケータイをお持ちの方は、是非とも同ドラマを視聴し、現状のネット連携機能のショボさを体感してみて欲しい。「ドラマ中で使われた家電」なんてもの、見せられて嬉しいか!? 私はちーーっとも嬉しくない。見れば見るほど松下電器の下手な商売っ気が滲み出てきて涙が出る。なんというかこう、深夜の通販番組以下の購買欲しか出てこない。『Hey,Bob!見てくれよ、こいつは画期的なトレーニングマッスィーンなんだ!一日たった15分のトッレーニングでほーら、こんなにウェストがシェイプできるんだぜーYeah! 今なら専用のカートリッジが3つも付いてたったの299ドルさ!』ふーん...てなもんである。

放送局の方々はネット時代のユーザ行動をこれっぽっちも理解していないので、彼らには「ネット世代の知識欲・購買欲」を刺激させるサービスアイディアは出せないのであろう。だったらネット世代の人間が集まって、ビビットなサービスを作り上げて行きたいものである。ぶっちゃけ、ワンセグ映像の下に「当該番組の2ch実況板」が表示されるアプリのほうが、何百倍も面白いし、そこで取り上げられた商品をamazonなり楽天なりから買えるほうが何十倍も購買欲を刺激されることは想像に難くない。でも、彼らにはそれがわからない or 立場的に実現できないのだ。


だったらひろゆきさん、こんなアプリ、一緒に作ってみませんか?(www
  or
UIEngineで似たようなuser experienceを提供してみませんか?UIEJな方々(www

※某ブラジル社,及び某Evolution-J社の皆さん、いつでも訪問しますのでご興味があればお誘い下さいwwとか書いてみるテスト

どうすればワンセグが面白くなるか

さて、愚痴ばかり言っていても仕方がない。もっとクリエイティブな思考をしよう。「現状のワンセグがダメダメなのはわかった。じゃぁどうすれば面白くなるんだい?」と。

Web2.0的には「折角放送と通信が1デバイスに集約されているのだから、Webプラットフォームと融合させ、ユーザー参加型にしたらどうだい?」というアイディアが、ベタではあるがが賞賛されるのだろう。具体的には先に述べたように2ch実況板と放送が並んで表示されるような「ワンセグ視聴アプリ」の提供や、番組ごとにmixiの「〜〜が好き」コミュニティへのリンクが設定されており、当該コミュニティの過去ログを閲覧できたりする仕組みの提供などである。

でもこれって、放送局にとってはこれっぽっちも美味しくない。表示されるCGMにて番組についての否定的コメントが掲載されていたり、他局の番組を推薦するような情報*3が掲載される可能性があるからだ。

また、必ずしも万人にとって2ch実況板が面白いわけでもない。嫌悪感を示す人も勿論居るだろう。mixiのコミュニティであっても同様だ。そんなものはいらないから、劇中で使用されていたBGMの情報や、俳優が着用していた服飾品などの情報を得たい人も居るだろう。比較的高収入で時間のない人にとっては、それらをその場でオーダーできることも重要かもしれない。


で、何が言いたいかというと、「"ワンセグ視聴アプリ"を誰でも作って配布できるようにするべき」ではないだろうか。放送を視聴しながら得たい情報は千差万別ロングテール。ユーザセグメンテーションに合わせた情報を提供するアプリを、セグメンテーション毎のプロフェッショナルが提供することができれば、ワンセグそのものも、周辺Webビジネスも大いに活性化するのではないかと思う次第である。

具体的なイメージがわかない人は「阪神ファン専用アプリ」あたりを想像してもらうとわかりやすい。阪神ファン向けに阪神グループが提供するアプリで、阪神タイガースの試合時にはこのアプリを利用することで、阪神ファン同士でコミュニケーションを取りながら(例えばCHATしながら)試合観戦をすることができるわけだ。勿論アプリケーションの背景はトラ柄だったりするわけである。セグメンテーション限定された空間ゆえに、このアプリの中では相手チームを罵ることも許されるし、相手チームのエラーを賞賛することもできる。これがパブリックな(阪神ファンに限定しない)「阪神巨人戦CHAT」などであればそうはいかない。

DoCoMo,auともにこういったアプリケーションを開発できるよう規制を緩和してゆくことで、さらなる「パケット定額制」顧客を獲得できる可能性を秘めているように思う。

で、家電メーカーの人間としては、携帯もなんだけどできればこんな世界を「テレビで」やりたいよね〜、と思うわけである。まぁ色々と布石は打っているので、公開できる時期に来たらこのあたりについてもエントリを上げてみたいと思う。

乞うご期待

*1:SEED世代の方にとっては、フラガ少佐が自らを盾にしてアークエンジェル,しいては魔乳たん^H^H^H^Hラミアス艦長を守ったシーン、とでも言おうか...

*2:ぱっと固有名詞が出てこないあたり、きっちりとマーケティングできていないねぇ...

*3:ex. 「これだったらXXXX局の○○って番組のほうが面白いよね」「こんな糞番組見るのやめて、裏でやってる○○見ようぜ!」なんてコメント