大企業でWeb2.0を語るならスーツを脱ぎ捨てろ!?

最近Blogosphereではトンデモレポートをブチ上げることでまことしやかに有名になりつつある野村総研が、先日ITロードマップセミナーと称してWeb2.0を題材にしたセミナーを開催した*1。是非出席して、しょうもないことを言おうものならBlogでコテンパンに叩いてやろうと画策していたのだが、仕事の都合で出席できず。こういうのは夜やるのがWeb2.0流ってもんだぜアンチクショーとか思ったものの、よくよく考えたら明らかにWeb2.0から遠い人たちをターゲットにしているようだから、この時間帯で正解なんだろうorz

閑話休題

で、私は出られなかったのだが会社の先輩が出席しておられたようで、後日レポートがUPされた。いつも辛口かつ的を得たコメントをすることで有名な方だったのだが、今回も例に漏れず素晴らく核心を突いたコメントが付いていた。

『ネクタイ締めたコンサルタントが論じても迫力が無く、面白みも感じられない』
ズガ━━Σ(○Д○ )━━ン!!

なるほどだから総研系の分析とか胡散臭いのか、と妙に納得。実際、Webサービスを生業とするITベンチャーに共同事業の提案に行ったりすると、明らかに「お堅い大企業の人が来ましたよ(ワラ」ぐらいの対応をされた経験も少なくない。その対応をどうこう言うつもりはない。相手の立場に立ってみると、明らかに「ギョーカイ外の人」であることも確かであり、さらに悪い事に外見からして「ギョーカイ外」であることを明示してしまっているのだから。秋葉原ラジオデパートに金髪お姉系ギャルがヒールを鳴らして表れようものなら、どの店の店主も『オメーにゃワカンネー世界だよ』と思うに違いない。例え彼女が大の電子工作ヲタであろうとも、彼女の口から『ニチコンKZEの2200μFを2本くれ*2』と発言が出るまではそうとはわかるまい。店主によってはそれでも『ねーちゃん、ヲタ彼氏のお使いかい?』とでも思いたくなることだろう。スーツ軍団の口から、JSON,Railsといった単語が出てこようとも、俄に信じられないのも、同じことである。対応を変えるなと言う方が無理がある。

で、私はこの現象にだいぶ前から気づきはじめていたので、ここ1年でファッションを大きく変えてみた。カジュアルファッション、それもある程度時流に乗ったファッションを意図的に心がけ、それを会社生活中貫き通すことで『Web2.0とかSNSとかCGMとかなんかそのへん詳しそうな人』であることの『第一印象(外見)による信頼感』を得ようとしたのである。まぁ、アホと言いたければ言うもよし。人を外見で判断するやつなんて云々と言うもよし。そんなことはわかった上でのトライアルだ。物事やってみることに価値があり、その結果を共有することにネットの楽しさがあるのである。

で、どんな格好かというとまぁ夏場はこんな感じ春秋はこんな感じで。勿論髪の毛の色もだいぶ落としてみた。はっきりいって、まじめな大企業においてこんな格好をするのは馬鹿げているの一言に尽きる。あらゆる面での評価が下げられることを覚悟しなくてはならないからだ。「(プラスかマイナスかはさておき)目立つ」という事を除いて。Geekはこんな格好しないよとか、いやいやいまどきのITベンチャーはみんなスーツだよとかそんなことは重要じゃない。「俺らと違うギョーカイ→IT業界→ホリエモン→TシャツGパン→俺らと違う格好」「Blog,SNS→若い人→イマ風のファッション→俺らには理解できない」といった連想ゲームが結構な数の人たちの脳内で出来上がっている以上、それをうまく利用して自分の得意分野を「外見でアクセラレート」するのである。ちなみに相手がエグゼクティブであっても、通常の業務である限りこの姿勢は変えない。但し、記念行事や頭を下げに行く仕事の場合はネクタイを締める。まぁこれは社会人としての常識。


で、実験結果だが、驚くほどの効果があった。社内では「BlogとかSNSとかそんなのを色々知ってるヤツ」として定着し、色々なところからマーケティングや企画の相談を頂くようになった。また、一度会議で会っただけの人に名前と顔を覚えてもらえる率も上がった。さらに驚くべき事に、ITベンチャー企業の方々が明らかにフレンドリーな対応をしてくれるようになったのだ。こちらの提案に前向きに取り組んでくれるばかりか、良かったら今晩飲みにいきませんかと誘ってくれる事もしばしば。Web2.0だの何だのとマスコミが盛り上げた影響も多少はあるとはいえ、ここまで対応が変わるとは驚きである。親しい間柄となったベンチャー勤務の当人に聞いてみたところ『いやー、○○社の社員であんな格好のひとはいないですから。最初にお会いした会議で、この人ならぼくらの話を理解してくれると思って踏み込んだ提案をしてみたんですよ』と嬉しいことを言ってくれた。重要なのはやっぱり「最初にお会いした会議で」ということろだろう。たった1時間程度の会議でこう思っていただけたきっかけが「らしくない格好」であったことは特筆すべき所だろう。

考察の結果、カイシャという無駄な事に時間を割けない空間においては、ファッションによる印象付けも馬鹿にできないのだろうという仮説に至った。また、「ちゃんと時流に合ったカジュアルファッション」はB2Cのウェブベース事業、特にユーザ間コミュニケーションを伴う物を"イメージさせやすい"格好であることもわかった。

最後に、大企業に勤務している方に向けてメッセージを送りたい。やれBlogを使ってBuzzマーケティングをしてみてはどうだとか、YouTubeにティザームービーでもUPしてネタをさらってみてはどうかとかそんな提案をしてみたい方・すべき立場にいる方、まずはスーツを脱ぎ捨てることから始めてみては如何だろう。周りの社員があなたの意見に真剣に耳を傾けてくれるかもしれない。ついでにノートPCもMacに変えてしまえと言いたいところだが、大企業では指定PC以外不可とかまぁ色々面倒なルールがあるので、We love Blogステッカーでも貼り付けておけばいいかもしれない。


...とまぁ、そんな建前をつけつつ、自由気ままにファッションを楽しむのが俺流。でも金も暇もないから買うのはヤフオク楽天、これはWeb流。

*1:http://www.nri.co.jp/publicity/seminar/060518.html

*2:多分世の中の金髪ギャルのなかにも数人はこんな人がいるはずだ。これぞロングテール(ぉ