リビング用機器として売れるモノは『家族で共有』できるものだけなのか!?

前エントリのコメントにて『家族という視点が抜けてるんじゃ?』とご指摘を頂いた。

私を含めて家族全員(子供2人と妻)、PC,ケータイ,Internetのいずれも使いますが、リビングでは使いません/使わせません。理由は、リビングが家族にとってパブリックスペースなのに、現在において、PC,ケータイ,Internetが個人利用を主とするものであり、その利用は家族で共有したいものではないからです。

売れるリビング機器は、その瞬間を家族で共有できるものだけであり、現在においてそれが成立しているのは、インターネット系機能ではなく、大型画面テレビと大容量録画機器だけなのではないでしょうか。

是非、本業のほうで調査をかけてみたいなと思わされるコメントである。実際社内で商品企画会議・サービス企画会議といった企画屋さんが集まる会議となると、決まって『それはファミリーユースに対応するものか、否か』『この商品のユーザの何%がファミリーユースだからファミリーをターゲットに云々』という議論で紛糾することが多い。そこで私がいつも出す反論は『あなたが帰宅後寝るまでの数時間の間は"ファミリーで"使っているのでしょうが、使用時間の大部分は昼間にご家族の方が"個人で"使っているのではないでしょうか?』というものだ。勿論、子供の年齢・配偶者の職の有無などによって大きく変わるはずであり、この反論は正論ではない。だからこそ、調査をかけてみたいのである。TV購入者(あるいはDVDレコーダーやゲーム機)の何%が同居人を持っており、うち何%がリビング用途(not 個人部屋)で、さらに総使用時間のうち何%の時間を複数人で同時利用しているのだろうか。Internet上に調査結果が落ちていればここから議論を拡大できたのだが、残念ながら見つからなかった。

同居人いる率×リビングで使ってる率×共有利用率を弾き出すと、予想していたよりも低い数字が出てくるような気がする。根拠も何もないが、15%といったところだったりしないだろうか? H12国勢調査によると未婚率16%、単身赴任なども考慮して18%と仮定すると同居人いる率を82%とする。リビングでTV使ってる率はこちらの調査によるとまぁだいたい75%ぐらい。最後の共有利用率を仮に50%とすると、TV総利用時間の3割ほどしか共有利用していないことになってしまう。仕事をしている人の観点からすば最後の数値は80%を超えるかもしれないが、専業主婦や小学生の子供などにとっては20%を切るかもしれない。


PCケータイの普及により、家電にも個人向けの機能・サービス(以後機能と総称)が爆発的に増えた。メジャーなところではソニースゴ録に搭載されている趣味趣向別「おまかせ・まる録」機能であったり、パナソニックのプラズマTVに搭載されている「インテリジェントEPG」であったりする。ご存じない方に説明しておくと、前者はDVDレコーダーの機能で、何を予約し何を再生しかたで利用者の趣味趣向を判断して「あなた個人の」気に入りそうな番組を自動的に録画するもの。後者はTVに搭載された同様の機能で、何を視聴したかによってEPG画面におすすめ番組を提示するものである。勿論コメント主さんの仰るように家族で共有して使う部分を疎かにしてはいけないだろうが、リビングで使う家電って意外にパーソナルユース率高いよ?という仮説を実証することができれば、もっとパーソナルユース""考慮されたリビング用家電が登場してくるのではないだろうか。そこで課題となるのが、やはり先のエントリに書いたとおり、例えパーソナルユース時であっても従来のTVにはなかった機能を活用してくれないユーザ層の問題は解決しないのだが。EPGを使わず新聞のラテ欄見てるアナタ、アナタのことですよっ(w *1



最後にちょっとだけ話題を変えて、コメント主さんのリビングでInternet使いません/使わせませんという話について。リビングでインターネットを使わないって人は何と少数派で50%以下だそうな。結構みんなリビングでネットしてるのである。家電量販店の販売応援などでお客様のご自宅に伺ってエアコンやPCのセットアップを行う仕事をしていた時、驚くほど多くの人が広いリビングの端っこにPCラックを置いて家族共有PCとして使用していた実態を見ているので頷ける結果ではあるが、数字で見せられるとなかなかインパクトがある。

参考URL:http://dr1.biglobe.ne.jp/business/report/re031216/001.html

*1:まぁこれは半分ネタで、実際はEPG画面の情報量が少ない,UIがよくない,一覧性に欠けるなどの理由からTVのEPG機能は使わない、というポリシーを貫くGeekも多い