YOUTUBEは電波塔2.0となったらテレビは消滅する...ってことはない。

家電メーカーの中の人として大変面白いネタを振っていただいたようなので軽くジャブ打ってみる。1行でまとめると、YouTubeにキー局コンテンツが流れるようになったと仮定するとTVなんてデバイスは衰退するんじゃなかろうか?って意見に対し「んなわけねーじゃん?」という主旨である。

元ネタとなった
http://app.blog.livedoor.jp/dankogai/tb.cgi/50557836
小飼さんの「YouTubeは、電波塔2.0である。」に対し
http://d.hatena.ne.jp/ululun/20060708/YOUTUBE
ululunさんのエントリで以下のような予想が。

仮にYOUTUBEもしくはYOUTUBEのようなところに放送局がテレビで放映したコンテンツを「公的」に流すようになったとしたら、私はどうするかを基準に根拠無しに妄想してみました。<中略>
YOUTUBEでのテレビ視聴が当たり前になった結果として、テレビ、ビデオと言った放送家電の衰退が考えられます。テレビやビデオはテレビを視聴する為に必要な電化製品ですが、パソコンがあればテレビもビデオも不要と考える人が増えれば「壊れたらもう買わない」人が増えて来る可能性もあるものと思われます。その代わり「YOUTUBEだけを見て楽しむ」低スペックのパソコンがプレステ3並の価格で販売されるようになるかもしれません。<中略>
このようにYOUTUBEが「公的」なインフラとして利活用されるという事は家電メーカー、映像配信会社などを揺るがしかねない大きな流れとなり、20年くらい先には「昔はテレビという機械で映像を見ていたんだよな」とか言って、その時代の小学生に「テレビって何」とか言われたりしているかもしれない。まぁ、テレビもビデオも無くなりはしないと思いますけれど、市場規模は極端に小さくなって高級化の方向に向かっていくかもしれません。

http://d.hatena.ne.jp/ululun/20060708/YOUTUBE

まず、YouTubeを視聴できるTVってのは簡単に作れるし、そこに参入障壁はないと見ている。AdobeからFlashのライセンスを買ってきてTVのファームウェアをちょいちょいちょいっとイジってやるだけのはずだ*1。材料費がUPするわけではないから(既に大手のTVにはLAN端子も付いてる)、どれだけボッタくるかは別としてAdobeに支払うライセンスフィープラスアルファ(ソフト開発費・サポート費のプール分)ぐらいの価格UPで提供できるはずだ*2
http://d.hatena.ne.jp/TERRAZI/20060707/p1
さらに、こういう処理をハードウェアとして実装することだってできる*3

ってなバックグラウンドの上で、TV買わなくなるの?ならないの?論を展開してみたいと思う。まずリビングという場所に特化した場合、デカい・キレイ(高精細)ってテレビのディスプレイ部のメリットはコンテンツがどうなろうと消えることはない。家族みんなで見る or ソファーにふんぞり返って見るならデカくないと見辛いわけで、どのみち大画面ディスプレイは必要になる。それが地上波チューナー付きであるか、YouTubeチューナー(?)付きであるかどうかは別にして、やっぱりそのディスプレイデバイスはテレビと呼ばれてテレビ売り場で売られるのだろう。なに、BS、CSだってそうだし最近ではIP-VODだってそうだ。CEメーカーとしてはそのときそのときの時代に合ったメディアを受像・再生できる機能を組み込んだディスプレイデバイスをテレビと呼んで販売し続けるのである。

もう一つの需要である自室TVは、既にテレビパソコンの猛攻を受けてシェアを落としている。が、YouTubeにキー局コンテンツが流れることでその流れが加速するかと言われれば、そんなことはなかろうと思うわけだ。だって現在テレビパソコンでもTVでも地上波コンテンツが見れる、というイコールの状態であるのが、YouTubeだってどちらのデバイスでも見れる、という状態にシフトするだけで『どっちの機器でも同じことができます、どっち買います?両方買います?』とユーザに尋ねている状況にかわりはないわけだ。

とまぁ色々述べてきたが、一番大事なことは


YouTubeだってキー局だって家電に対応してほしいと切に願うだろう


ってことだ。YouTubeにとってもキー局にとっても、視聴者が増えれば増えるほど・視聴機会が増えれば増えるほど嬉しいビジネスモデルなのだから。というわけでYouTubeにキー局コンテンツが流れるようになったとしても、テレビ離れ*4が沈静化することはあっても激化することはないのではないかと思うわけである


あとおまけでもう1つ。「YouTubeだけ見て楽しむPS3価格並STB」という話が出てきているが、本当にYouTubeにキー局コンテンツが流れるようなら、家電メーカーが9800円で売り出しちゃうだろう。今出てる地上波デジタルのチューナーが3万円程度でLAN端子・ブラウザ付き。ここからB-CASカードとデジタルチューナーが一式ゴソッと抜けるとなると相当な費用ダウンが可能だ。まぁ最初は3万円で売り出して、台数の見込みがついたら戦略モデルを9800円で投入ってとこだろうか。

*1:実際TV開発者に聞いたわけではないが...。

*2:実際は「なんとプラス1万円払うだけであのユーチューブ対応テレビが手にはいる!」とかやるんだろうけどまぁそこはビジネスってとこで

*3:デジタルTVの何億色!とかCMでやってるアレはまさにチップレベルでこういった処理をしてるわけである

*4:ここではテレビ局のコンテンツからの離れ、ではなくCE機器としてのTVの前で過ごす時間が減ることを指す