着信あったふりができる FOMA「D702iF」 俺ならこうマーケティングする!?
FOMA D702iFがユニークな機能を搭載して発売されるらしい。が、ニュースサイトでの取り上げ方は無味乾燥としている。
サイドキーを押すとあらかじめ設定したメロディが鳴り、まるで着信したかのようなカモフラージュができる「ほっとメロディ」の機能を備える。
http://japan.internet.com/allnet/20060905/1.html
ま、恐らくだがショボ〜い投げ込みパブを打っただけなのだろう。こんな広報だけじゃその昔のセパブル*1のようにすぐに忘れ去られてしまう可能性大だ。
大変面白いマーケティング素材になりうる可能性を秘めている筈なのに!
- 付き合いで出た飲み会を切り上げるための言い訳
- (会社からの着信を演技)『すいません、会社でトラブルが起こったみたいなのですぐオフィス戻らないといけなくなっちゃいました』
- 二股かけてるときの都合いいデート途中キャンセル
- (母からの着信を演技)『ごっめ〜ん、お母さん風邪ひいちゃったから夕飯あたしが作らなきゃいけないみたいなの*2』
- 上司の小言を中座する
- (お得意様からの着信を演技)『お話の途中申し訳ありませんが、上得意様からのお電話ですので...』
- 国際的&英語ができる風を装う(カッコつけ)
- (10秒ほど英語でカラ電話)『あ、ちょっと英国人の友達から電話でね。』
確かにどれも魅力的なユースケースだが、嘘をつくことを推奨している!やら、不倫・不貞を推奨しているようにも取れる!なんて横槍が入りそうなのは想像に難くない。悲しいかなベンダーもキャリアも大企業。機能が機能だけに、三菱電機なりDoCoMoなりの企業倫理からして、ユーザが魅力的と思えるような具体的活用事例を挙げてCMを打ったりすることは困難なのだろう。以前ケータイを使って操作するネット家電向けサービスを担当していた際は、パンフレットに『通勤中の暇つぶしに最適!』なんてフレーズと電車の絵を組み合わせただけで、「混雑した電車内での携帯利用を推奨しているように取れ、我が社の広告として相応しくない」と、保守派のマネージャー層から集中砲火に遭ったことがある。どう考えても通勤電車中の利用が一番多いサービスであったのにもかかわらず、だ。それほど大手企業における広報,宣伝広告には足かせが多い。
私がマーケティング・プランナーなら、ユーザーから「ほっとメロディ」機能を使った面白い活用事例を募集し、ユーザーに投票させる。で、得票数トップ5をショートムービー化してYouTube配信、なんて策を打つだろう。CMで流すとなると放送倫理問題や映像クオリティを一定以上確保する必要があるなどいろいろ課題が出てくるが、YouTubeで公開するぐらいであれば激安映像製作会社にお願いしてしまってもいいはずだ。キャンペーンWebの立ち上げにかかる工数などを含めても、コード・デザインすべて社外に委託する前提で数百万の前半ぐらいあれば十分に実現できてしまう試算である*3。
映像製作コストすら出ない、という状況であっても、デイリーポータルZで取り上げてください!とお願いをしてみる、なんて手も残されているかもしれない(個人的にはこっちのほうがみてみたい...)。デリポが委託記事を受けてくれるのかどうかは知らないが....。
いづれにせよ、勿体無いのは『これまでなかった』『さまざまな応用の可能性を秘めた』機能が搭載された携帯電話を、たいしたプロモーション施策もなく売り出してしまったことにある。CGM全盛のこの時代、大企業はもっとユーザーさんの力を借りて機能をプロモートしてゆく取り組みを取り入れてゆくべきではなかろうか。