リビングルーム機器として、Wiiのネット接続率は驚異的な数字になる!?

Wiiバーチャルコンソール機能をお父さん世代向けに提供することによって、世のお父さん達がWiiをネットに繋ぎ、子供がその接続を利用して新しいゲームを知ったり、より深くWiiの世界を楽しんだりすることを期待しているのではないか? 上手い戦略だなぁコンチクショウ、という話。

リビング機器のネット接続率は低い

家電業界でネットサービスの企画なんつぅもんをやってる身として、リビングルームネット家電最大の悩みはネット接続率が低いことだ。回線を引いてる人間が少ないって話じゃぁない。機器販売台数にしめるネット接続されている割合が低いのである。一度でもネットに繋がれば接続台数に数えるという集計方法でも決して高くない数値なのに、ここ1ヶ月以内に一度でも通信した端末、という集計にするとそりゃぁもう目を覆いたくなるほど低い数値なのである。

根本的な問題は2つあると考えている。責任転嫁だと言われそうだが1つ目は物理的な環境面だろう。「TV&ビデオ設置場所にネット接続環境がない」「WiFi使うにはイーサネットコンバータ別途購入が必要」といったところだ。よしんば機器側がWiFiを搭載したところで「WiFiの設定は面倒」というおまけがもれなくついてくる為、抜本的解決にはならない。2つ目は完全に家電メーカー側の失態、というか力不足により「繋いだら何ができるようになるの?どう嬉しいの?が明確じゃない」ことにある。

繋いだら「どう楽しい?嬉しい?」が不明瞭なネットTV

ソニー TVホーム,松下 Tナビ、ともにテレビから使うことに特化したWebサービス群であり、以下のようにきちんとWebサイトを作って何ができるかを説明している...ように見えるのだが、まるで接続欲が出てこない。多少の障壁などものともせず乗り越えて、よしこれを使うために面倒だけれどTVをネットに繋いでやろうじゃないか、という気合がまったくといっていいほど出てこないのだ。

http://www.so-net.ne.jp/tv-service/
http://www.tnavi.net/

20キロ離れた山奥のスーパーのチラシがたまたま自宅のポストに投函されていたものの、とりたてて騒ぐほどの特価品があるわけでもなし、店に特徴があるわけでもなし、という状況に似ている。山奥に店を開くなとは言わない。水がキレイだとか、眺めがいいとか、そういったメリットを活かし、町からはるばる足を運んでもらえる店作りをすればいい。展望レストランを併設するとか、美味しい水がタダで飲めるとか。さらに激安品を設定して客寄せする、といったマーケティング策を併用すれば万事OKだろう。

ふとSoftBankMobile(実際はJ-Phone時代)のステーション機能を思い出した。コンテンツの種類は色々あるのだけれども決め手が無い、あるいは色々用意してしまったがゆえに個々のコンテンツを訴求しづらい、ユーザとしては何ができるのかよくわからず、結局契約しない・契約しても使わない、という悪循環が起きていた。

繋いだら「どう楽しい?嬉しい?」が超明確なWii

恐らく今、TVホームやTナビを推進してきた人たちは任天堂の戦略を知って地団駄踏んで悔しがっていることだろう。彼らの取った戦略は「何でもできる」というアプローチをしなかったことだ。一点集中突破型、Simple is bestとでも言おうか。

Wiiをネットにつなぐと、懐かしのファミコンゲームが楽しめます
以上!

一切の画像も要らなければ、詳細なコンテンツの紹介文も要らない。が、ファミコン世代の大人達に無線LANコンバータを買いに走らせるは十分すぎるベネフィットであり、またそれが大変明確になっている点に注目したい。

この戦略のもう一つうまいところは、子供はLANを引いたりWiFiコンバータを買ったりすることはできない(あるいはその権限が与えられていない)が、父親には与えられている、という点だ。子供が欲しがったためWiiを買い与え、子供のためと思ってセットアップしようと説明書を開くと、前述のフレーズが目に飛び込んでくるわけだ。そして父親がネット接続を担当し、子供がネット機能を使ってWiiワールドをより深く楽しむことになる、という美しすぎる戦略である。

先の例で言えば、山奥のスーパーに懐かしの昭和グッズを集めた大人向けホビーショップを併設したようなものである。そこに行きたいがためにわざわざ遠出する父親、そして家族は普通に日用品を購入してスーパーにしっかりと金を落とすというわけだ。

品薄感を煽ることによってPS3が快調のように見えてはいるが、果たしてPS3のネット接続率はどんな数字になるのだろうか。また、Wiiのそれはやはり驚異的な数字となりうるのだろうか。販売台数でどっちが勝つ?というベタな議論はさておいて、リビング機器としてのネット接続率競争が今から楽しみである。私は勿論Wiiがぶっちぎり勝利というシナリオを描いてはいるものの、ソニーが裏技を駆使してきた場合はこの勝負どう転ぶかわからない。

裏技ってのはまぁ、あれだ...






「不具合出ました。ネットに繋いでUpdateしないとFFもグランツーリスモもプレイできません」