iPhoneの2008年度中日本市場投入が可能であろう理由

キャリアはWelcome,電波問題は解決実績あり,他端末メーカは止められる立場にない


...反省はしてないが、飲み屋でぶちまける愚痴ぐらいのつもりで書いたエントリに色んな方面から反応があって正直びっくりしている。超長文エントリをつらつらと書きたい気分ではあるが、5時半起きでLasVegasからSeattleに飛ばなきゃいけないので重要な部分のみを箇条書きにて失礼させていただきたい(今もう2時...)。

Digital Town on the Webで書かれていたネタに対するTrackBackのつもりで読んでほしい*1
http://nextxp.net/archives/2007/01/iphone_gsm.html

  • GSM quadband/W-CDMA のDual端末は国内市場にありふれていて、政治的事情で導入できないということはない
  • GSM対応端末を日本国内に投入するためにW-CDMAサポートに変更することは、金があればできるし前例もある。HTC TyTNとHTC X01HT(hTc)や、Nokia6630とVodafone 701NK...と書いたがコメントで指摘いただいたとおりこれは誤り。M702iS / RAZOR V3あたりをネタにすべきだった。
  • Nokia online shopの前例もある。日本国内でSIMロックフリー携帯を売って、DoCoMoSoftbankの端末として使うことは今すぐにでも誰でもできる。
  • Jobsは外出先における携帯網を使ったコミュニケーションはさほど重視していない
    • Japanese Blogosphereのエントリを斜め読みしてみると、期待先行でちょっと勘違いしているように感じる所は、iPhoneの根底にある考え方はAppleらしく「Charge&Sync、すなわちPCにつないだ(あるいはWiFi hotspotで)タイミングでWebなりHomeなりと同期すればよく、always onlineである必要がない」という点だ。えーそんなの話のネタ的に面白くないじゃん、いつでもどこでもWebとシームレスにつながっていて最新の情報が常に手元にあってだねぇ。それがWeb2.0ってもんで...という話にもって行きたいのはよくわかる。私もそのクチだ。だが、彼らの考え方は一貫していて、外出先からiTuneStoreで好きな曲がいつでも買えるとか、撮った写真をリアルタイムでWebにアップしてコミュニケーションするんだ、なんてプレゼンテーションは一切無かった。ただし、ブラウジングやemailは携帯電話網を使ってできる必要があると考えているようだが。そもそもこういった使い方(Charge&Syncでデータ転送しオフラインで使用。携帯電話網は通話メイン)をすることが前提なら、クアッドバンドGSMを積んでシンギュラーと提携する、なんてありえなかったはずだのだ*2。もしそうなら、母数は落ちるもののベライゾンと手を組むはずだろう。
  • X01HTはヤフーケータイ非対応。これも許されてる
    • 意外に知られてないが、X01HTはY!ボタンがない。端末メーカーとキャリアが話し合えばこういったことが実現できる、前例がある、という状況。
  • 3キャリアとしてはiPhoneが自社で発売できることは歓迎こそすれ嫌うことはない
    • ここは専門ではないので深くは突っ込まないが、iPhoneを国内で1キャリアのみが提供できるとしたら、これほど強力な他キャリアからのユーザ引き抜き策はないだろう。既に「iPhoneが発売されるならそのキャリアに乗り換える」とBlogで宣言している人達が沢山いるように。

というわけで、まとめると

  • 物理的な開発は十分に可能だし他社(HTC,NOKIA,Motorola...etc)の前例あり
  • キャリアにとって悪い話じゃぁけしてない
  • Appleは携帯電話網を使っての速度や仕様に細かいクチを出さない可能性大

以上3つの理由からiPhoneは十分に日本市場への導入が可能だと考える。Jobsが日本市場などは08年以降の検討だとか言っていたが、端末のW-CDMA対応は1年あれば十分すぎる時間だし、一番時間のかかるキャリアとの政治的交渉については現時点で水面下の交渉が既にある程度行われていると見るならば、これまた1年あれば何とかなるだろう。

仮にソフトバンクだとするともうX01HTが先鞭をつけてる。ビジネスじゃなくってエンターテインメントに特化したX01HTがもう1モデルSoftbankMobileのラインナップに追加されるだけ。だと考えているので、既存供給メーカー(Sharp等)とのコンフリクトもそれほど起こらないのではなかろうか。

それと、id:ululun 氏からの質問に対しての返答要件としては

黒船だ云々の話は電波の話ではなくW-CDMA / CDMA2001 EvDoという条件下で端末の魅力*3, あるいは端末と連携するPCアプリケーションやWebサービス*4における「端末メーカーの」従来アプローチが井の中の蛙でありこれから厳しくなるよー、という話である。論点がわかりづらくて申し訳ない。

今回のiPhoneの発表は、携帯キャリアを作っている企業には物凄い脅威なんだけれど、日本の場合通信方式の違いを逆手に取って筐体制作会社が携帯電話会社に「まさかiPhoneを入れるなんてことはしないでしょうね」みたいなことを言って来たりするんじゃないかと思ったりします。
http://d.hatena.ne.jp/ululun/20070111

最後に上記引用部について一言だけ。

端末メーカーとキャリアの力関係は後者が遥かに上です。そんなことを言っても聞いてもらえませんorz  てゆーかお客様は神様ですからーっ!...残念ッ(古っ。でもバラエティではよく見るよね...)


現にDoCoMoではオンガクケータイはいつのまにやら全機種対応になり、ソフトバンクはビジネス用途向けにNokiaがあるのにHTCを突っ込んだりされています。コンフリクトしまくってくれてもキャリアとしては何も困ることはないわけです。

じゃぁお前のキャリアなんかに端末作ってやらねーよ、なんてことはそうカンタンにできることではない。


家電メーカー側としても、相当の痛み(移行期間の収入源、競争力の一時的低下、社内の組織改変などなど)を伴わないとDoCoMo向け端末開発をやめてau端末開発に特化する、なんてことはできないし、既に3キャリアに端末を提供しているシャープ、パナソニック*5などのメーカーにとっては単純に収入が2/3(DoCoMoをやめたら半分近く吹っ飛ぶ)になるわけで。iPhoneが来る→そのキャリアのシェアがUPする→まわりまわって自社端末が売れる、なんて好循環も十分にありうるはずだからだ。SoftbankからiPhoneが出たら、実家のとーちゃんかーちゃんをSoftbankに切り替えさせて定額通話を楽しむ若夫婦などは多いだろう。そうなったら薄くて軽くてメールができればいい端末として、パナソニック製のSoftbank端末を薦めた、なんてパターン。あるいは同様に彼氏がSoftbankiPhone使ってて、彼女をSoftbankに来させてLove定額にして彼女は女性的なデザインのシャープ製端末を買う、などなど。こう事例にしてみると、決して少なくないパターンであることがわかるのではないだろうか。真っ向からiPhone対抗の端末なんてどこも作ってないし、作れない。だからこうやってすみわけていくんだろうね、と。


というわけでiPhone導入を決めたキャリアに端末メーカーが待ったをかけることは、できないだろうけど仮にできるとしてもやらないんじゃない? というのが個人的見解。


※ぐあーやばい、書いてたら長くなっちまった。睡眠に使える時間が3時間しかねぇ.... orz

*1:TBを受け付けていないサイトだった為、TBできていないが

*2:シンギュラーはHSDPAなど高速なデータ通信網をサポートしていない

*3:キャリアが提供するキャリアオフィシャルサービスが黒船によって変わるかどうか、という話ではないということ。

*4:これもキャリアではなく端末メーカーが提供するもの。Softbank X01HTにおけるMicrosoft製Syncアプリケーションなど。

*5:http://www.kddi.com/corporate/news_release/2006/0525b/index.html