匿名Blogを書けば会社であなたの意見が通りやすくなる!?

ビジネス系Blogを実名で書くメリットは良く語られるが、匿名のメリットについてはあまり論じられない。が、匿名ゆえのメリットは多分にある。変なことを書いているのが上司にばれて昇進に悪影響を及ぼさぬようリスクヘッジできる....なんて消極的なメリットの話をしているのではない。今日ははポジティブな側面から匿名ビジネスBlogのメリットを紹介しよう。

階級(役職)がわからないことがメリットに

ステレオタイプな大手企業において、若造が声を大にして喉を枯らして「ネットの世界では△△なんてもう時代遅れ」「先進的な人達の間では〜がはやっている」「だからこういう仮説を立てた!」などと力説したところで、悲しいかな耳を貸してもらえるケースは稀だ。しかし、Blogを書き、ソーシャルブックマークや検索によって当該エントリーが周知されることにより、何処の誰ぞやとわからない人の1意見として既にネット上で話題になっている、という既成事実化させることが可能となる。

まずここで、ぺーぺー平社員の意見から「匿名だがもっともらしいことを言っている業界通っぽい人の意見」ができあがる。

同業他社はもうこんなことを考えているのか!? と焦らせる

Blogを作る際のポイントは、プロフィールに具体的な企業名ではなく所属業界を入れておくことだ(私であれば『家電メーカー社員』など)。大企業の幹部になればなるほど、(コンサル会社等)外からの声や、同業他社からの声には弱い。搭載したくない機能であってもライバル会社が搭載し、市場が「積んでで当然」の機能として認識するようになれば積まざるをえない、というケースも多々あるためである。

自社製品ばかりを取り上げたり、ライバル会社叩きをするなどもってのほか。如何に具体的な会社名がわからないようエントリーをチョイスするかが重要なテクニックとなる。こいつはソニー社員かもしれない、パナソニック社員かもしれない、うーんでももしかしてシャープ社員!? いずれにせよ業界の人間に間違いはなさそうだ...ぐらいのカラーを出すことができれば、あなたの会社でネット上の意見を収集している人のアンテナには『気になる人』として必ずや引っかかっているはずである。

これで「同業他社社員(っぽい人)による一意見」ができあがるわけだ。

コメント,トラックバックを誘発してBlogosphereにあなたの意見をばら撒け

ここまでくれば下地は十分整ったといえる。社内上層部が意固地になっているポイントや、勘違いしているポイントを(守秘義務違反にならない範囲で)ずばずばエントリー化していこう。ポイントは「社内上層部はAと言っているがBlogosphereではBという意見が多いはずだ」と感じたポイントを突くことにある。

あなたは介護用品メーカーの社員。一部メディアに踊らされ、いざSecondLifeに出陣せん!なんて言ってる上層部。

そんなものは今の日本のPC環境やユーザの嗜好を考えるとうちの会社のポジション、対象とするユーザー層(50代)を考えると効果があるとは思えないあなた。

ことあるごとに『うちのユーザー層を考えるとコストメリットはほとんどない』と力説するも、まったく耳を貸さない上層部。そこであなたは帰宅後、ある長文エントリーの執筆にかかった。

セカンドライフをエンジョイしたい50代が"Second Life"で遊ばない10の理由

まぁベタな例で恐縮だがこんな感じだ。たまたまネガティブな方向の例を出したが、賛成意見側に誘導したいときは『遊ぶようになる10の理由』としてBlogosphereから賛成意見を募ってもいい。いずれにせよ重要なのは、あなたの意見に対する賛成者をコメント、トラックバックという形で集めることだ。どちらかというとBlogosphereではポジティブキャンペーンよりはネガティブキャンペーンのほうが意見が集まりやすい傾向にあるため、先の例において『SecondLifeマーケティング活動をやってみたい』という意思を持っているのであれば『今介護業界でSecondLifeマーケティングに使わない奴らは遅れてる』みたいな切り口にしてやるといい。

ここでも匿名性が重要になる。あなたが、あなたの意見を押し通したいがために賛同者を募ったように見えてしまっては効果半減....どころかマイナス効果になる可能性もある。匿名でやることにより、誰だかわからないがこんな意見を言い出したBloggerがいて、しかも同業者っぽい感じの人で、その意見に賛同する人もどうやらそれなりにいるらしいぞ...。という状況をうまく作り出すことができるのである。

高等テクニックとしての『釣り』も匿名だからこそ効果がある

匿名ゆえに可能なテクニックとして、『釣り』を使うことも可能だ。Blogosphereの意見が殆ど皆Bだと知ったうえであえて『Bなんて考えてる奴らはアホだ。わかってるやつなら当然Aだよね』という趣旨のエントリーを投下、大量の『馬鹿モン、時代はBじゃボケ!』的コメントやトラックバックを集めるという手法だ。但し、色々と物議をかもす手法のため、ご利用は計画的に。

※少なくとも私はこのBlog(キャズムを超えろ!)ではこの手は使わない。

おわりに

さて、ここまで下準備をすれば「○○ってBlogに書いてありましたよ!」なんて自作自演したくなるだろうが、そこはぐっと我慢。『Googleで評判を検索してみたらそういった意見をたくさんみましたよ』程度にとどめておくのが大人なやりかただ。賢い賢いGoogle先生が、上司や関係先をあなたのエントリーへと誘導してくれることだろう。

で、お前はどうなんだよ、と言われると確かにこういったことを少しだけ意識してエントリーを書きまくっていた頃が一時期あった。が、その弊害か「Blogにくわしい○○さん(本名)に質問なんですが、キャズムを超えろ!ってBlogの作者さん、どこのメーカーの人かご存知ありませんか?」なんて社内メールが度々届くようになってしまったため、少々自粛中だ。くわばらくわばら....。

※というわけで、今後も匿名で書き続けるつもりなので、所属を知っている方々は上記のようなメールが届いたら『知りません』と答えていただけるとありがたい