GoogleによるOpenSocialはネット家電にとって福音となる 〜SNS連携家電の夜明け〜

家電メーカーの視点からみると、複数コミュニティを渡る統一APIが整備されるのは喜ぶべきことである。

家電はPCや携帯のような高い汎用処理能力を持たないため、各種SNSを使う為の汎用Webブラウザはまだまだ快適には動かない。また、家電はPCや携帯電話と比較してシンプルさを売りにするケースが多いため、複雑さという観点からも汎用ブラウザは向かない。となると、SNSと連携する家電を作るには組み込みLinuxのコードでごりごりと連携機能を作るなどすることとなる。当然、一旦組み込みコードとして機器にインプリしてしまうとあとから変更することは大変困難である。

例えば「SNSの友人が公開した写真をスライドショー表示する」機能を搭載したTVを作ることを考えてみよう*1。これまでであれば「MySpaceと交渉して独自APIを公開してもらってそれを叩く」といったアプローチを取っていたはず。だが、これではMySpaceAPIを変更するリスクや、MySpaceがサービスを終了してしまうリスクがあり、先に述べた「あとで変えづらい」特性ゆえになかなか実現できなかったのが実情だ。

そこへきてOpenSocialである。汎用的なAPIがあることは実装面で楽なだけでなく、保守という観点からも扱いやすいものとなり、結果的にSNS連携機能に関して経営判断でGoが出やすくなるはず。MySpaceの去就が「TV代返金」という最悪のクレームにつながる、というケースを避けることができるからだ。


ちょっと消極的な話になってしまったが、つまるところ家電メーカーが自社運営ではないSNSと連携する機能家電に実装するためには、対応したSNSサイトがサービスを終了してしまう,突如アダルト系に走ってしまう,ある日突然APIを変えられてしまう、などの不測の事態を想定してリスクヘッジしなければならない。

そういう意味で、業界最大手ともいえるGoogleによる共通APIの提供は、下記3点の理由によってSNS連携家電の実現可能性を1歩押し進めたことになるだろう。

1. 一つや二つSNSが潰れても他のに対応すればOK
2. まずい方向に進んだSNSがあれば対応からはずせばいい
3. これだけ業界巻き込むのだから下位互換のないAPI変更などはまぁやらないだろう


とはいえネット連携機能には及び腰の家電メーカー各社から、いったいいつ、どんなHWが登場するのか。SNS連携する面白い機能を真っ先に取り込んだ家電メーカーの株を買ってみる、という長期的投資は面白いかもしれない。

*1:OpenSocialによって定義されるAPIの範囲に日記更新情報フィードのようなものが含まれるかどうかは別として