元F1ドライバー語る「日本企業には大きな決定をできる人がいない」!?
元トヨタF1ドライバーのアラン・マクニッシュの悲しいコメントには泣いた。簡単に言えば、日本の大きな企業は"大きな決定"に及び腰なんじゃないのか、という問いかけだ。企業組織は大きくなればなるほど鈍重になり、それが"大企業病"だと言われたりする。
F1チームにおいては、大きな決定を必要とした時にそれができる一人の人間を必要としているんだ。
それは例えばフェラーリならジャン・トッドであり、マクラーレンならもちろんロン・デニス、ルノーならフラビオ・ブリアトーレといった具合にね。握り拳を乱暴において決断した彼らには、そのあとその結果を見守る用意が出来ているんだよ。しかしトヨタという日本の企業は、その構造上そうした人間がいない。大きな予算を持ってはいても、それはお金だけのこと。トヨタよりずっと小さな予算のチームがタイトルを勝ち取って来ているのに、ね
F1の世界ではビッグ・ネームのチーム代表やテクニカルディレクターがカリスマ性を発揮して大きなディシジョンをざくざくと決めていってしまう。ともすれば恐怖政治的経営と見られなくも無いが、こうでもしないと尖ったもの(F1というコンペティション・チーム)は生まれない、という話。トヨタは金はあるけどこういう経営ができないからF1で勝てないのさ、という言い分だ。
皆で足を引っ張り合って尖ったところが1つもない製品を作ってしまうよりも、一貫したグランドデザインに基づく尖った製品開発ができたほうが、いくらかマイナス要素があったとしても高い値段で売れて粗利が取りやすい時代だ*1。
なんとなく、アップルと日本の家電メーカーの違いをマクニッシュに指摘されているようで悲しくなってしまった次第。あーでもない、こーでもないという会議のなかで、誰が何といおうとその人の"思い(コンセプト/グランドデザイン)"ひとつですべてを決定することができるスーパー権限を持った製品担当責任者を1名置く、といった製品開発を日本の家電メーカーでも実験的に取り組めないものだろうか。
※てな話を書いてる間に、ジャン・トッド引退しちゃってドメニカリに引き継がれちゃいましたなぁ。ホンダはビッグネームとして熊さん(ロス)を引き当てたわけで、来年のトヨタ・ホンダのチーム力がどうなるか興味津々である
*1:台数が掃けるかどうかは別