青少年ネット規制は『早すぎる』!? 〜4人に1人しかマトモにWebを使っていない現状〜

CNETのオンラインパネルで青少年ネット規制についてのお題が出た。ちょっと思うところを書いてみたらスペース的に書き切れなかったのでこちらで補足したい。前半部分はCNETと同じ、後半部分から追加の内容がある

早すぎる、というのが第一印象。何が早いのか? は後述しよう。

コンテンツ提供業者とISP・フィルタリングソフト業者に国が規定を加えることで、"フィルタリングの有無を"、"段階的に"、"親が簡単にセレクトできる" という仕組みができるならばよいと思う。

ファミコン世代の人たちにはわかりやすい話にたとえると、ファミコンを許された家庭と許されなかった家庭が存在したはず。ファミコンは買ってもいいけどスパルタンXなどの暴力表現(?)のあるソフトは買ってもらえなかった家もあれば、好きなソフトを買っていいという家もあったはず。話をさらに過去へ進めれば、本や漫画でもそうだったはず。伝記は買ってもいいけどSFはだめ、という家もあれば本なら何でもいいが漫画はだめ、という家もあったはず。本も漫画もいいけれど、おぼっちゃま君とパタリロは下品だからだめ、という家もあったなぁ。

そういったセレクトができるよう、レベル1、レベル2、といったラベリング、あるいは「出会い系サイト」「グロサイト」みたいなラベリングを国家レベルで強要する、というのは悪くない。こういうページはレベル10(例:性行為画像あり、とか)、こういったページはレベル8(例:出会い系サイトに分類されるもの)などなど。そして、レベル10相当のサービスがレベル8とラベリングされていれば警告する、など。

R-18,R-15といった表現ではだめだろう。18歳未満はこれこれこういうサイトを見てはいけない、というのは親が決めることだと思うからだ。

レベル10の例、レベル9の例などをだして、親がセレクトする。当然だが、幼少のころからレベル10にだってアクセスさせたいという親がいても罰せられることは無いし、家庭の自由である、と。

中には「二学期も成績全Aを維持したら今の8から9に上げてやろう。但しどんなことがあっても10は大学はいるまではだめだぞ!」なんてローカルルールを作る家があってもいいかもしれない。


さて、ここで冒頭の「早すぎる」に戻ってくる。規制を入れるには、親側のインターネット・リテラシーが追いついていないと思うのだ。当然、法を決める人たちにしても同じ。上記の仕組みがきちんと回るためには、親側のリテラシーが求められる。国民の4人に1人ぐらいしかまともにWebにアクセスしていない現状では、まだ時期尚早ではないかと思うのだ。


まぁ、じゃぁどうすりゃいいのさ、という結論についてはまともにWebを使う"親の層"がxx%を超えるまでの暫定法案みたいなものを考えるとか...。残念ながら専門ではないので良い案が思い浮かばない。絶対やっちゃいけないことだけはある程度わかっていて、政府が公式に『10歳未満はLEVEL3、15歳未満はLEVEL5、18歳未満はLEVEL9を推奨する』といった名言をしてしまうこと。R-18、R-15といった表記をしていることと変わらず、暗黙の了解的に全国の親たちに刷り込みをしてしまい、多くの可能性が閉ざされてしまうかもしれないからだ。

国民の1/4って?

もっと普及(世帯普及率ではなく、使い込んだ人が普及する、の意)しきってしまってからの規制であれば規制側・規制される側とも知識が付いて変な流れにはならないと思うのだが...。と思って調べてみた。

総務省のデータから引用すると、平成18年度の動向調査において、パソコン又は携帯電話・PHSからのインターネット利用者(集計人数:9,507)を対象にした「過去1年間にインターネットで利用した機能・サービスは?」の質問(複数回答)に対し、「個人のホームページ・ブログ」と「企業・政府等のホームページ・ブログ」と回答した人の平均が53.1%しかない。

PC持っててネット繋いでて、過去1年間でWeb見たことある人が50%少々ってPC何につこうてんねん!? とびっくりするが、ネット調査ではなくかつ母数も結構多いので、割と信憑性の高いデータと言えるだろう。

さらに、過去1年間のインターネット利用経験者は67.6%(携帯含む) PCから「少なくとも週に1回はネットを利用する」人が70%。携帯から「少なくとも週に1回はネットを利用する」人が57.6%である。

前述したWebページを閲覧する人(53.1%)をかけあわせると、実に25%程度の人しか『マトモにWebを使ってない』ということがわかるので、1/4という数値を使ったわけだ。



※全て、15歳以下ユーザーは除いている

資料として、総務省による通信利用動向調査(世帯編)を用いた。
詳細なデータは下記より誰でもダウンロードして確認できる。

ネット利用動向におけるちょっとした数値で上司や客先を説得したいときにお勧めだ。エクセルデータなので計算もやりやすいが、各個人の名データはないのでクロス集計などはできない。この辺何とかしてくれ総務省。「独身女でネットを1年に1回以上使う人で、かつBS放送を受信してる人はコンテンツに幾ら落としてるか」とかのデータがほしいんだから。

http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/statistics/pdf/HR200600_001.xls