Chumby(チャンビー) 初期登録UIの"おもてなし"が素晴らしい件について

WebサービスとのペアリングUI

ガジェットレビュー第3弾は2007年末ごろから話題のChumby(チャンビー)というデジタルガジェット。だが今日はガジェットとしての評価は横において、このデバイスの初期登録ユーザーインタフェースのすばらしさについて、日本の家電設計者に知ってもらいたく紹介することにした。

Chumbyを簡単に説明すると、WiFiでネットに繋がる「iGoogleを表示する、ただそれだけ」みたいな家電。詳しくは http://blog.bulknews.net/mt/archives/002230.html などを参照のこと。

iGoogleをイメージしてもらうとわかりやすいが、自分の好きなウィジェットを設定しないといけない。iGoogleの場合はPCで設定してPCで見るからわかりやすいのだが、ChumbyはPCじゃぁない。マウスやキーボードといった複雑な入力装置を持っていないので、PCからChumby-Websiteにログインして『自宅の無線LANにぶらさがったChumbyにどんなWidgetを表示するか』を設定するというスマートな設計になっているのだが、このスキームを用いるためにはChumby-WebsiteとあなたのChumbyを1対1で紐付けないといけない、というわけ。

Life is beautiful の中島御大の言葉を借りると『その紐付けUIの"おもてなし"が素晴らしい』というわけだ。


とまぁ引っ張ったが、すごいってのは1点のみ。普通こういうのは機器側にパスコードみたいなものが表示され、それをPC用Webサイトで入力するのだが、タイプミスをしたり、入力が面倒なほど桁数が多かったりして面倒なものだ。

それを「PC用Webサイトの画面に表示された5×4のオセロ盤(一部がランダムに黒く反転している)を見ながら、Chumbyに表示された同様の真っ白なオセロ盤を指でタップして、PC画面と同じように黒く反転させる」だけで完了するというのである。言葉で書くと難しいが

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つまりこうやってPCと同じようにオセロ盤を黒くしていけばいいだけである。この図では、Chumby側の左下ボタンをタップして黒く反転させればOKというわけだ。

TimeZone設定UI

TimeZone設定UIも秀逸だ。よくあるあの長ったらしい縦長の都市名リストからTOKYO JAPANを探さなければならないのかと鬱な気分になっていたところに出てきたのがこの画面。
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世界地図からお前の住んでるところを指で押して選べ、というわけだ。しかも、Clickすると当該地域が拡大されてゆく。
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アジアが拡大され、さらに日本をClickすると東京と大阪が( 時差ないけど(ぉ )。これならスクロール機能のないタッチディスプレイOnlyのデバイスであっても快適にTimeZoneを設定できる。購入した直後、たった1回のことではあるものの、簡単に設定ができることは良いことだ。

終わりに

ほんのちょっとしたユーザーインタフェースだが「あ、この機械、ぼくでも簡単につかえそうだ」という印象を与えるに十分な2つの"おもてなしUI"ではなかっただろうか。外観のチャーミングさも相まって、"ITガジェット好き"以外にも普及しそうな機器であることを痛感した。*1

Chumbyが登場してはや4ヶ月がたとうとしている。日本語のブログも多い中で、本件について高く評価しているBlogが見つからなかったので、少々遅いがここに記しておきたいと思う。アップルや任天堂といった超大手企業以外にも良きUIを作るハードベンダーが出てきたことは嬉しい限りである。

今後、たとえば家の電球1つとってもIPを持って、ネットに繋がっていく時代になると思う。「あはは頭わりーこいつ」という人もいると思うが、長期ビジョンを立てるというのはそういうことだ。そうなると、Webサービスネット家電のペアリング手法は、現在のWebサービスにおける会員登録フォームだったり会員登録システムだったり(空メール登録とか、ね)と同じく"おもてなし"競争が行われることだろう。そしてその争いがWebと大きく違う点は、特許が成立しやすいということ。Chumby.incがどういった特許を保持しているのか現段階では明らかではないが、この入力方式はキャズム社でなきゃ使えない、なんて縛りが出てくることだろう。一般人の立場としては、この点を特許で縛るのはどうかと思うものの、いちハードウェアベンチャーの代表としてはこういった特許をしっかり取りにいかないといけないなぁと思う次第。

※まぁ実際のところ、2003年ぐらいからもう結構な数出てるけどね。

*1:と、ほめてみたが、実はWeb側のUIはいまひとつ。改善されることを期待したい