タニタのネット家電「からだカルテ×フレッツ」は超楽チン!でもWeb側は改善の余地多数

ここのところ、タニタ社の最新鋭ネット家電を試用させてもらっている。ネット接続型の体組成計、血圧計、歩数計(万歩計)がセットになったもので、専用のベースステーション(タニタ用語ではレシーバ)を介してカラダカルテというwebサイトに接続されるシステムだ。

おっと、レビューに入る前に、先に私の健康に対するスタンスを明確にしておきたい。身長体重ともに平均値近く、食っても運動しなくても大して変動しないという有り難い体質であり、体脂肪率は標準より低い。よって健康に対する意識は相当ひくい。

当然ダイエットはしたことがなく、スポーツジムには行ったことがない。ただし血圧だけはちょっと高めで、通院するほどではないが、少し気にしているという状態である。

いいところ

tanitashot1とまあこんな風に健康だのダイエットだのに興味のない私だが、風呂あがりに脱衣所にある体重計に乗ると一切の操作なく体重、体脂肪率などがウェブに転送されるのは便利極まりない。血圧計も従来品とほぼかわらない操作でウェブに計測値がロギングされる。専用ウェブサイト「からだカルテ」では過去すべての計測情報が記憶されており、グラフにして推移を確認することが可能だ。面倒な数値メモの必要もなく、みづらい液晶画面で数値を確認する必要もない。とにかく乗るだけ、はかるだけ、過去データとの差違等の細かな数値についてはあとでpcの前で考えればよかろう、というスタンスは、1グラムの増減に一喜一憂しないユーザにはぴったりだ。グラフの確認が外出先の携帯電話から出来るのも、最近忙しい私には丁度いい。電車にのってから、そういえば...と確認して悔い改める(?)わけだ。

こういったネット家電にありがちなのが、消費電力が大きい無線lanを駆動するが故にacアダプタ接続の必要があったり、電池の持ちが悪かったりすること。本システムでは機器とベースステーションの間の通信に特定省電力無線を使用することで、従来通り乾電池での長時間駆動を実現している。2400bps出るかもあやしい転送方法だが、体重や血圧値を送るだけなら速度面での不満はない。さらに、広い建物内でも確実に届く特性を持っているので、設置場所を選ばないという大きなメリットがある。

ただ、歩数計については赤外線によるデータ転送となっており、数日に一回は転送ボタンを長押しして転送モードに切り替え、ベースステーション前に置いてやる必要がある。体組成計と血圧計がフルオートマチックなだけに、こいつは少々残念だ。小型化を優先したか、省電力を取ったかの結果だろうが、充電クレードルと組み合わせ、クレードル側に転送ロジックを仕込むなどの工夫で面倒な転送操作を省いてほしかったところだ。ただ、さすがは専門メーカ、歩数計そのものの出来は非常によい。2軸加速度センサを仕込んだ最新型の歩数計は、自転車やバイクに乗ったときの振動を誤計測することなく、正確に歩数をカウントしてくれる。体重計と血圧計については精度を語れるデータを持ち合わせていないが、特に使いにくい部分はなかった。

いまいちなところ

tanitashot2問題は、初期設定とweb側のui、対応回線などだ。ネット家電に参入したばかりのメーカーがよくぶちあたる壁にもののみごとにぶちあたっている節がある。あとはやっぱり価格か。まぁ実験的な取り組みだと思うのである程度は致し方ないと思うが、体組成計とベースステーション(レシーバ)とのセット価格が45,480円するというのは面白がって買えるレベルではない。

  • 名前がダメ。この商品のブランド名は何なのさ!?
    • 私もPanasonic時代に1度ハマったパターンなので、古傷をえぐるように自戒の念をこめて書く。この、ネットにさくっとダイレクトで繋がる超イケてる体重計とか血圧計の商品名は何というのか。本エントリーを書くためにじっくり調べて、まだわからない。光ダイエット? からだカルテ・レシーバータイプ? からだカルテ×フレッツ? 今回のネット直接接続タイプ以外に、PC経由で同一の健康管理Webサイト(名称は"からだカルテ ??")にデータ転送できるモデルもあるため、まじめに欲しいと思ってもユーザが混乱することは必至だ。とはいえ、大手メーカーの実験的プロジェクトではブランド名を容易に使わせてもらえなかったり、後に色々な商品を繋ぎこみたいのでブランド名はなるべくわけたいなど、難しい内情があるのだろうとは思うのだが、やっぱり顧客視点で見てわからないものはわからないのである。
  • Bフレッツ限定
    • 初期設定を不要とするために行った処置と推測するが、一般回線であっても大きな問題は起きない。宅外からnatを越えてベースステーションにアクセスする必要性のあるシステムではないのだから。回線限定することで量販ルートでの販売ができなくなる。このデメリットのほうが大きいだろう。
  • idを自分で決められない
    • flets0001234といった通し番号が振られる。覚えられねっつのw
  • にもかかわらずID/passwordを保存出来ず、毎回入力を強いられる
    • いわゆる「パスワードの保存」機能がないということ
  • Web側画面がすぐにタイムアウトする。先のパスワード保存についての課題とあわせてとっても大変。
  • ログイン直後の画面に必要な情報が揃っていない
    • 体重グラフなど、一番見たいと思う情報が出ておらず、毎度毎度画面遷移して複数回のクリックを強いられるのはちょっと苦痛
  • web側が雑然としていて何をやらせたいのか、何が売りなのかがわかりにくい
    • メインコンテンツであるカラダデータ管理機能が、サブであろうその他読み物系コンテンツに埋もれてしまっている
  • 携帯電話サイトとPCサイトのIDが別になっており、理解が難しい。携帯サイトIDとPCサイトIDを紐付けることはできるが、理解が難しい
  • メール等によるプッシュ機能がない
    • 体重増加が一定のラインを超えた際にメール通知がくるなどのプッシュ機能に欠ける。毎日能動的にアクセスさせる類のwebサービスではないはずなのだが...。
  • 楽しい要素が歩数計イベントぐらいしかなく、全体的にライトユーザーお断りオーラがでている
    • うまく言えないが、真面目に作りすぎた印象。今すぐダイエットしないと成人病の危険がある、夏までに意地でも何キロ痩せる!といったユーザーには良いのかもしれないが、私のように大して切羽詰まっていないユーザーにとっては、全体的につくりが堅く、真面目すぎて引いてしまう。
  • 外部サイトとの連携機能がBlogパーツぐらいしかない
    • 貴重なデータを外に出してなるものか、何とかこのデータでサーバー維持費分以上に儲けてやろう、という姿勢のように思えてしまう。大手メーカーは「囲い込み」というキーワードが大好きなのだが、これではなかなかインターネット文化とうまく交われない。APIを切ったら途端に儲かる、なんてWeb2.0コンサルタント(笑)みたいなことは言わないが、折角のデータをシステムの中に閉じるのではなく、もっと面白いことに使っていけるような施策を打ってほしいものである。当然、社内でやるには限度があるし、倫理的にも一部上場企業にできることは限られている。

といったところか。まぁ文句をいうだけならだれでもできるので、私ならどう作るか? と考えてみた。

  • フレッツ以外の回線に対応。dhcpでipをとり、サーバにプッシュする仕組みであれば、問題ないはず
  • IDは自由に取れる仕様とし、パスワードなしでログイン可能とする(パスワード保存機能の追加)
  • eメール通知機能を組み込んだエンタテインメント要素を含める。体重連動型シムシティだったり、歩数連動型キャラクター育成ゲームだったり。
    • 体重増減が一定範囲内のときはすくすく成長するが、急激に増えるなどすると災害が発生したりするわけだ。


などなど。商品をご好意で借りておきながら好きかって言ってしまい大変恐縮だが、こういうのは部外者がパブリックな場でぶちまけることで、先進派の社員が動き易くなる、という経験をしてきたので、歯に衣着せぬ感想とした。ご理解いただきたい。

安くてもっとOPENなら...買う!?

送料込み1万円以下で、シンプルに体重だけに絞ってWeb(PC/携帯)で体重管理ができて、APIがOPENになってて色々とWeb連携させて楽しめる体重計が出たら、買いますか? 外装素材とデザインには少しお金をかけて、お洒落に仕上げるとして。欲しい!という方はコメントいただければ幸いである。


 例えば...

 こんなデザインなどで。

初期設定がメンドウなんだよねー。という諸氏には月額500円ぐらいお支払いいただければ、W-SIM内蔵モデルを作れるかと思うのだが、さすがに毎月500円払うなら最初の設定を頑張る人のほうが多い、かな?

逆にこういうハードが出てくることで、じゃぁ俺もいっちょ体重や血圧、歩数をキーファクターにしたWebサービスを立ち上げてやろうじゃないか、という人も出てくることと思う。iPhoneがAppStoreで注目されたように、健康家電においても小さな1歩からOPEN Platformのうねりが起こってくれば面白いことになるだろう。

まだまだOPENではないとはいえ、ネットワーク連携型健康家電のはしりという点で、タニタのからだカルテFletsには注目していきたい。

参考URL: http://flets.com/life/hikari-diet/index.html



※ちなみにこのエントリは、画像差込部以外はひたすらiPhone 3Gを使って書いた。相当高速に打てるようになったが...疲れたorz