第4回 ネットと家電のキャズムを超えろ!会議 まとめ

昨日(10/22)にネットと家電のキャズムを超えろ!会議、略して「キャズム会議」の第4回を開催した。130名の募集に対して100名きっちりの出席者と、大変高い出席率をいただき、感謝至極である。参加できなかった方も多数いらっしゃるようなので、ざっくりと内容を振り返るとともに感想を書いていただいたBlogへのリンクなどをまとめてみたい。

5行で言うと?

  • ヤフーとしては「PCを使ってない時間」を取り込みたい(ので、家電対応を積極的にやる)
  • ヤフー for AQUOSは結構頑張って作った
  • AQUOS EX SystemはPanasonic VIERA Cast systemに似ている。(Panaと違って)フルHD表示
  • UI面などのブラッシュアップは正直まだまだ。これから頑張る
  • 増井さんオモロイw

ちゃんとしたまとめ

まずはYahooデジタルホーム事業室のボスである坂東さんから、なぜヤフーはDTVやらカーナビやらへの対応を進めているのか、という点についてプレゼン。ちなみに坂東さんは元ソニーDLNA仕様策定やらCLIE事業やらを担当されていたとのこと。ここで、ネット家電系でオモシロいことやってるキーパーソンって、家電メーカーで(よく言えば)先鋭的な商品の担当していた人多いですよねー! などといった話でしばし盛り上がる。ヤフーとしては「PCを使ってない時間」を取り込みたいので、家電対応を積極的にやっているという話は納得。本Blogを見ている諸氏のようなヘビーなPCユーザーを除くと、PCの前に1日いる時間は平均すると1時間以下。それに比べてテレビ等家電の前にいる時間は4倍以上に長いのだから、そこでもYahooサービスに触れてほしいという戦略だという。

続いて同デジタルホーム事業室の菅泉さん、シャープの松本さんから、Yahoo JAPAN for AQUOSの詳細についてのプレゼン。Flickrの写真をスライドショーさせたり、天気情報、マップなどを見るサービスが並ぶ。『別にブラウザ積んでるTVならそんなん出せて当たり前じゃん』という意見は家電×ネットをよくわかっていない方の意見。リモコンでの操作に対応させることや、ブラウザと違ってテレビの大画面での表示に最適化するにはどうすればいいか、かなり考えて作りこまれている点が話題に。一例を挙げると、初期画面で放置しておくと、天気、写真、その他情報など順繰りにスクリーンセーバーのように情報が切り替わりながら表示されるモードを設けた点などだ。テレビ向けネットサービスには何らかのBGMがないと違和感がある、という点もよくご存知で全てのサービスにBGMが備えられている点などは「PC屋さん」っぽくない練りかたで好印象。よくよく聞いてみると菅泉さんも元ソニーロケーションフリーなどを担当されていたとのこと。なんだよー結局そーゆーことかよー!と、しばし盛り上がる。ちなみに壇上では紹介できなかったが、ゲストのシャープ 松本さんはガリレオリナザウと渡り歩いてこられたとのこと。全員同じような経歴かよー!と、しばし盛り上がったのは楽屋での裏話。


ここで私からいくつか意地悪な突っ込み。

  • Q「あれ? TV見ながらMAPとかNewsとか出せないんですか? 2画面とか」
    • A「機器(TV)仕様上、現状は無理」
  • Q「マップからフォトに切り替わるとBGMは途切れちゃうんですか?」
    • A「現状では各種サービスごとにBGM設定しているので切り替わるタイミングで途切れる」

当日に発表された新機能についてもDEMO。従来はログインしてパーソナルな情報を見るなどすることはできなかったが、22日からログイン機能に対応したとのこと。えーまさかYahooJapan IDとパスワードをTVリモコンで入力なんて糞UIじゃないですよねー? と突っ込んでみると、やっぱりちゃんと考えられていて好印象。ケータイでID/PWを入れると4〜6桁の数字コードを設定できるようになる。この数字コードを自宅TVに入力すれば、自分だけのアルバムなどの情報が閲覧できるようになる仕組み。テレビリモコンでの文字入力は難しいが、数字ならば簡単に入力できる、というわけだ。ちなみに同種の解決方法は家電メーカー系では意外にポピュラーな方法。Chumbyみたいな解決策でもよかったのかも?とは思ったけれどコメントはしなかったw このパスコードについては実家のAQUOSや友人宅のAQUOSなど最大5台までのAQUOSで有効にすることもできるとのこと。『そんなに周りでAQUOS使ってる奴いねーよ!』という突込みが聞こえてきそうだが、普及率が高まれば便利な機能やもしれない。

かなり時間が押してしまったが、会場の皆さんに聞いて見ると結構技術的な面にも興味があるということだったので、どういう仕組みで実現してるのさコレ? というところを私から質問。ブラウザで表示しているのかと思うかもしれないけどそうじゃないんだよー、という点について詳細に説明をいただく。ここではシャープの松本さんが前面に。

知ってる人はよーく知ってるが、テレビに乗ってるブラウザは結構ダメダメな出来だったりする。デジタルテレビ情報化研究会が定めたかなり制約のある仕様に則っているため、動きももさーっとしているし、フルハイビジョンの解像度を生かせない仕様になっている。そこでシャープではEXシステムというブラウザではないけれどもネットコンテンツを表示できる仕組みを開発。具体的にはサーバ側でUIを構築し、テレビに落とし込む仕組み。テレビはショボいCPUしか積んでいないが、ハードウェアJPEGのデコード機能などについては高いスペックを持っている。そのためYahooのトップメニューなどは1枚のJPEG画像としてサーバからダウンロードし、カーソルがどこに当たるのか、クリックでどういったアニメーションを行うのか、といった情報(一昔前のClickableMapみたいな感じ)についてはXMLのデータとしてサーバから取得し、それらをEXシステムで合成して画面に表示することでサクサク快適に動くUIで、かつフルハイビジョンの美しい画面が構築できるというわけ。第2回キャズム会議でパナソニックの池田さんからプレゼンいただいたVIERA CASTの仕組みによく似た方式である。

先の意地悪な質問についても詳細にフォローいただく。EXシステムを採用するなら、美麗でサクサク動くがTVとの2画面は(現状の仕様では)できない。ブラウザを使うなら2画面可能だが、もろもろ検討のうえEXシステムを使うことに決まったとのこと。

SoftBankMobile 923SHを組み合わせるともっと便利に使えるんだぜー!なんて情報なども説明いただく。サーバからケータイのブラウザに認証用データを転送(つまり普通のWebページ表示)、続いてケータイからテレビにIrSS*1で認証情報をForward、テレビは貰った情報をサーバに上げる、という連携で923SHとテレビの紐付けを簡単に行えてしまう仕組みなども搭載。うーんマニアック。ちなみにケータイとテレビが連携する系のサービスの普及率は、GML/IPG/D2CがやってるモバイルGガイド以外どれもいまいちなので、今後に期待したいと感じた。


続いて『何があったらTVをネットに繋ぐ?』『何があるから繋ぎたくない?』などのQを会場に振る。つないだはいいけど飽きちゃってもう使ってない!という参加者からは「これは見たい」と思わせるようなコンテンツがないからじゃ?という指摘が。ファームウェアUpdateで機能追加されるけど、それはネット繋いでないとUpgradeできないよー、というWii式のやりかたもいいんじゃないか?という意見もでた。TVの場合BugFixに相当するファーム更新はちょくちょくやられているのだが、地上波の電波に乗せてUpgradeできる仕組みになってしまっているのでネット接続が必須にならないという現状もある。ただ、電波によるUpgradeは電波使用料を結構支払わないといけないので、致命的なBugFix以外はネットにします!という割り切りはありなんだろうなぁーとも思った。テレビ番組に関連する情報を表示するとか、EPGCGM的要素を入れるとか...という提案については松本さんより『そこは権利関係など色々(ごにょごにょ)』という突込みが。わかっちゃいけるけどそこに踏み込むからイノベーションができるんじゃないですか!という(東芝RDのような)アグレッシブさを今後期待したい。

最後はブレストっぽい時間。ITジャーナリストの林信行(nobi)さんに登壇いただき、ケータイがテレビのリモコンになっていくんじゃないの?という話を中心に盛り上がる。従来のケータイ→TVの連携というとどーしても赤外線でチャンネルを操作する、ぐらいしかなかったのだけれども、ケータイ→サーバ→TVとかTV→サーバ→ケータイという経路を使えばもっといろんなことができるよねーという話。例えば今見ている番組に関連する情報が自動的に自分のケータイに出る、とかもできるわけだ。と、ディスカッションしている中で客席におられた元アップルの増井さんを壇上に引っ張り出させていただく、というサプライズが実現。

米国で生活されていた増井さんに『PC先進国の米国ではTVにPC繋いでたりする人多いんですか?』といった質問を投げる。IPTVとかぶっちゃけいらなくて、PCをTVにつなぎゃぁいいんじゃん!というこれまでの議論から180度アッチを向いたコメントに会場一同爆笑。でもPCのありあまる機能をリモコンで操作するのは無理があるんじゃ? というコメントには『だいたいの操作はApple Remote程度で事足りる』と。 AppleRemotoに対応してるアプリとか少ないじゃーん、という突っ込みには『対応してないなら(自分でコーディング)して作ればいいんですよ』という名言!? が飛び出しこれまた会場爆笑。いやいや作れる人なんてほとんどいないからっ!と。増井さんの発言で面白かったのは『機器を操作するための道具としての「リモコン」って呼称やめません?』という問題提起。音楽を聴きたいとか、こういうビデオが見たい、という指示をするデバイスにしてしまえばもっと使いやすくなるんではないかという話。それは確かにねーという意見も多かったが、必ずしも「やりたいことが決まっている」人は少数派じゃないかという意見も。

会場に聞いて見ると「明確に見たいコンテンツは特に無い」という人のほうが(微妙に)多数派だった。そういう人にとっては「今何やってんのかなー」とザッピングするような機能が重要であり、ToDoを明確に求められるようなUIはマッチしないだろうとの意見。



と、このあたりでタイムアウト。今回は百式の田口さんのideaにインスパイアされ「質問は随時メールで受付」という仕組みにしたのだが、時間配分を誤って質問回答タイムがあまりとれず。後日本Blog上でUpdateさせていただくとして会を終了させていただいた。

参加者のレポート

Future Insight
安藤日記
bopperjp の日記
something surprise
workshop PCエンジンおしゃれ計画 ※なんか俺の立ち方がホモっぽくてキモいw
Schi Heil と叫ぶために

*1:赤外線転送の高速規格