フラッシュ撮影を極める。\300で作る超大型ディフューザー 〜デジタル一眼レフ用〜
以前名刺1枚で内蔵フラッシュの光をコントロールするアイテムを紹介したが、今度は300円かけてもうちょっと大掛かりなものを作ろう。自然光を極めるのがプロ...なのかもしれないが、現実的にはフラッシュ(ストロボ)の光を自在にコントロールできるようになるほうが作例の幅は広がる。だいたい人の写真を撮る場合ほとんどが屋内なのだから。
百聞は一見にしかず
左が何もなしで外付けフラッシュを直接当てたもの。右が自作巨大ディフューザーで影を消したもの。通常こんなに背景と被写体の距離を近づけたりしないものだが、わざと近づけた上に縦位置撮影とすることで、影が出やすいようセッティングして効果を検証してみた。
外付けフラッシュ+縦位置撮影+背景が白で被写体に近い、という影の出来やすさという意味では最悪のシチュエーションを作ってみたのだが、2枚目の写真では驚くほど影が薄くなっていることがわかる。後ろに写る影にばかり目がいく絵だが、重要なのは被写体に落ちてしまう影のほう。下記写真を見ると、左手や左腕による胸への影・リボンによる右腕への影などがほとんどわからないレベルまで落とされていることが見てとれるはずだ。
当然だが、内蔵フラッシュと組み合わせても効果的に使うことができる。ディフューズするイコール拡散させるということなので、遠くにある被写体にフラッシュ光を当てることは難しくなる。パワーのある外部フラッシュであればそこはそれフルパワーで何とかこなせたりもするが、内蔵フラッシュ+大型ディフューザーという組み合わせるになると1〜3m以内の被写体が限度となってしまう(カメラ感度による)。
作り方
用意するものは以下のとおり。
- 取り付け穴があいたスチール製のステー(30cmぐらい)。ホームセンターにいけばまず100%扱っているはずだ。\200ぐらい
- ダイソーに売ってるA4書類を入れられる乳白色のトレイ(B5書類が入るぐらい)。\100
- 適当にそこらに転がっているビスとナット。\0
カゴの底だけを切り取って乳白色の下敷き状態にする。サイドに穴を2箇所あけて折り曲げたスチールステーと組み合わせ、ビス止め。ちょっとデカすぎるかな? ぐらいでちょうどいい*1。あとはデジタル一眼レフカメラ下の三脚用穴にネジ止めして完了だ。サンプルでは、安物三脚についてきたクイックシューを利用して共締めしてある。
まぁ見てのとおり超絶に格好悪いいのだが、先に出した例のように驚くほどのディフューズ効果が得られるので、そこはぐっと我慢して使ってほしい。製作にあたって重要なのは、表面積をしっかり取るということと、透明すぎる素材を使わないこと、そして3枚目の写真にあるように発光部とディフューズ板の距離をしっかり取ることだ。
- 透明すぎる素材とは
- こればっかりは何が良くて何がだめとは一概に言えないのだが、100円ショップに行って「思ったよりこれ、光通さないんじゃない?」と思うぐらいが丁度いい。100人に聞いたら100人ともが「乳白色」と答えるぐらいの透明度でなければ、ディフューズ効果を期待できない。1名でも「透明」と答えるぐらいではいけないということだ。小学校のときに使った乳白色の下敷きの色を思い出してほしい。
- 発光部とディフューズ板の距離について
- 最低でも4cmはあけたい。この距離が長ければ長いほどディフューズ効果が高く出る、と覚えておいてほしい。理想は6cm以上だが、広角レンズを良く使う場合は6cmは取れないことが多い。
自作は面倒という方や、このカッコ悪さや取り回しの悪さが許せないという方は、ケンコーの影とりJUMBOを使うとほぼ同等の効果が得られる。ただし3,500円ぐらいするが。ちなみにコスプレイヤーだのイベントコンパニオンだのの撮影に来る輩はなぜかいつも影とりではなくてルミクエスト。でも、この手の商品は『ストロボ発光面からの距離とディフューズ面の表面積』が全て。フードなしパンケーキレンズのように発光面からの距離が稼げないような装備でもない限り、ルミクエストよりは影とりJUMBOをお勧めする。
勿論、ここで説明したように自作するほうが安上がりで、かつ超巨大なディフューズ面積を自由に作ることができるので自作推奨が大前提なのだが。
ツカエナイ商品にご用心
デジタル一眼レフ専門フロアに行くと、
こういったストロボにかぶせるキャップ型の品と、こういったストロボに被せる帽子風の品が必ず売っているが、要注意。確かにコンパクトで持ち歩きやすい商品ではあるが、ほとんど影取り効果がないからだ。
帽子風の商品はたまたま持っていたので同条件でテストしてみた(下記右側写真)。左側の外部フラッシュ直射サンプルと比べ、ETTLがうまく作動せずちょっと露出オーバーに写ってしまったので影が薄くなっているように見えなくもないが、大差はないことが見てとれる。
天井バウンスとの比較
フラッシュなんて直射しなくて天井にバウンスさせりゃいいじゃん、という意見も多いかと思うので同じ条件にてバウンス撮影したサンプルも出しておく。ワイドパネルを使わずやや後ろ上方にバウンスさせたものだ。先に挙げた正面からフラッシュを当てたものと比べると、顔が暗い・髪の毛に立体感がない・その他全体的に立体感に欠けるなどの欠点が見えてくる。
どういう絵が好みかは被写体や撮影角度によるが、フラッシュ直射する際はなるたけこの種のディフューザーを活用するようにすることで、デジタル一眼レフ写真のクオリティをぐっと引き上げることができるはずだ。
内蔵フラッシュ+ディフューザーにスレーブ発光を組み合わせる
内蔵フラッシュの直射を自作ディフューザで和らげつつ正面から当て、外部フラッシュはスレーブ発光機能(内蔵フラッシュの光を受けてリモート発光する機能)を使って違った角度から当てる。この組み合わせだけで相当凝った写真を撮ることができる。
左が内蔵フラッシュ直射写真、右が内蔵フラッシュ+ディフューザー写真。
そして上記と同じ構図でスレーブフラッシュを上方から炊いた2灯ライティング。フィギュアではなく実際のモデルさんだった場合、こうすることで髪の毛に綺麗な天使の輪が浮かび上がる。
最後のおまけは、内蔵フラッシュ with ディフューザーと、右遠方(モデルの立場からすると左後方)からのスレーブフラッシュを組み合わせた2灯ライティング。教科書的な写真ではないが、ちょっと味がある感じに仕上がっている。夕日を背中に鶴屋さんがにっこり、といった感か。
安くてスレーブ発光などが楽しめるストロボはSIGMA EF-500 DG SUPERなどがおすすめだ。 ※EF-500 DG STはスレーブ発光対応していないので注意
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参考情報
本エントリーの写真は全て下記撮影条件による。
- 電球色蛍光灯下
- EOS Kiss x2カメラを使用
- レンズは全てTAMRON SP90mm F2.8 MACRO Model 172
- ホワイトバランスは「フラッシュ」固定
- 外付けフラッシュはSIGMA EF-500 DG SUPER
- JPEG1発撮り
*1:サンプルはA4サイズで作ったが、さすがにB5でもよかったなと後悔