検索エンジン会社がWebのルール作りをする日 〜Google独裁への布石〜

CyberBuzzとGoogle Japan、そしてGoogle本体の騒動から1週間が経った。各方面でさまざまな議論が展開されているが、個人的には一番恐れていた事態が現実になったなぁと思っている。

それは、表題のとおり「Webのルールはオレ(Google)が決める!」という動きがまかり通り、その圧政に皆屈せざるをえないことが(日本においても)明らかになったことだ。


「PayPerPost(以下PPP)はダメよん、違反者へのペナルティはPageRank下げね」という"Google帝国のオレオレルール"の是非はおいといて、いち営利企業がルールを定めることでWeb全体の方向性をイジれてしまうというのは如何なものかなぁと思うわけだ。リンクファームへの対応など、誰が見ても明らかにGoogleルールが正しいと思うような要素については誰も気にしてこなかったわけだが、今回のPayPerPost問題は誰が見ても明らかにGoogleが正しいと思えるわけではないから問題が明るみに出ているのだろう。

個人的には先日の記事にも書いたように、ペイパーポストであること=マーケティング手段として悪い、という話ではないと考えています。
http://blog.tokuriki.com/2009/02/post_409.html

私はAMN代表の徳力さんと同意見。PPPという手法そのものは(SEO効果面を除けば)雑誌の記事広告やテレビ番組におけるプロダクトプレースメント、テレビ番組や雑誌で「使ってみたらすごくよかった」なんてコメントしている芸能人や局(制作会社)に雇われたサクラと同じであり、従来から存在してきたものと変わらない。

中でもCyberBuzzはガイドラインを規定して案件を進めていた会社であり、彼らの案件として参加しているポストであることを記事中で明確に示すことがルールづけされるなど、従来からあった手法よりはクリーンなやり方をしてきたように思う。これは実際にCyberBuzz参加Bloggerとして私が案件参加してきた経験からも言えることだ。


だが、これに帝国は突如としてNOを突きつけた。

インターネットを使った口コミマーケティング手法はまだ発展途上でかつルールづけも(暗黙のルールなども含めて)明確化されていないこの時期に、オレオレルールを振りかざして芽を摘んでしまう帝国の横暴...と私は受け取った。勿論Googleが"悪い"というつもりはない。横暴だなぁとは思うものの、彼らには彼らのビジネスがあり、彼らのビジネスモデルを揺るがすものには彼らの手が及ぶ範囲で制裁を加えるのは至極当然のこと。太古の昔、音楽レーベルがコピーコントロールCDを導入したあのときのように。


私が憂いているのはそんな一企業が自社事業防衛のために取ったアクションが、Web全体のルール付けに等しい行為となってしまう現状である。これを機にPPPサービスの参加をやめるブロガーも多いだろうし、何よりこれだけニュースになってしまうとPPPを使えと薦める代理店も減るだろうし、薦められても使わないというクライアントも増えることだろう。幾ら広告に携わる沢山の人々ががんばってルール作りをしたところで、Google帝国の意向ひとつで無意味な行為と化してしまうこの現状が大変歯がゆい。

繰り返すが、CyberBuzzは正義、Googleは悪などと言っているのではない。CyberBuzzをみんぽすやPR TIMESに、GoogleをYahooに変えても結論は同じ。Web2.0時代は群集の叡智で・・・なんてのはいち側面でしかなく、1社の独裁によっていとも簡単にルールが決まってしまう事柄が今のWebには多数ある、そしてこれからも多数具体例が出てくるだろう、ということを述べたかった。特に結論もなければオチもなく恐縮だが、ネットにかかわるビジネスに携わる諸氏はこの現状をしかと心に刻んで明日からの業務に望みたいものである。





ま、じゃぁお国が絡めばことは簡単なのかというと青少年ネット規制法やらダウンロード違法化やら、そう簡単な話じゃないよねーという流れになるのだが。


追記:
もともと米GoogleはPPPを否定していたし、米国ではもっと露骨にペナルティを与えると宣言したうえでペナルティ付与している。別にここ1週間で始まった話ではないのだが、いよいよ日本でもそういう話が具体化してきたねー、だから今一度考えてみたいよね、という話。