大手メディアが報じない、新型MacBook Proの重要なデザイン変更点は『コネクター』にあり

去る2012年6月に発表された新型MacBook ProRetinaディスプレイ搭載と薄型化ばかりがフィーチャーされるが、筐体にはデザイン性を大きく向上させる重大な変更点があった。が、各PC系メディアはこれを取り上げない*1。気づいてないんかねー?というレベルで。ライター諸氏はAppleのデザインは今度もクールだなんてぼんやりしたことを書くんじゃなくて、クールに”見えるように”こういうことをやってきているんだよってことを書いていただかないと。もっとも、プロダクトの設計やデザインの専門家ではない方が評してることが多いので致し方ないのだろうけれども。本Blogでは今後も気になる製品の細かな設計上・企画上のポイントみたいなものを取り上げて行きたいと思う。

・・・・閑話休題。まぁよい、とにかく大変更があったんだと。で、それは何か? というと基板に実装されている各種IO類のコネクタ*2が『デザイン性向上目的で』一新されたことである。『USB3.0に対応したからコネクタが変わるのは当たり前じゃん』なんて思った輩は糞して寝ろw 従来から採用されているThundervolt & DisplayPortのコネクタ、SDカードスロットのコネクタを含め、USBコネクタも3.0対応したこととは全く別方向で設計変更され、いちからデザインされなおしているのである。

それによってデザイン上どういった変更点があったか?は、下記の写真をみてほしい。

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上記がMacBook Air 2011年版。コネクターの奥まり具合というか、アルミ製の筺体部の厚み(図で赤く示した部分)に注目。

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上記がMacBook Pro 2012年版。コネクターの奥まり具合(図で赤く示した部分)が旧モデルに比べて大幅に大きくなっているのがわかるだろうか。実測値でほぼ倍である。このコネクターそのものについて語り始めるとそれだけでまた長文Blogエントリーが1本かけてしまうので割愛するが、どんなコネクタであったとしても、筺体を削り出しの一体パーツで作っている以上、コネクタが奥にあればあるほどデザイン上の統一感は増す。見る角度によってコネクタ部が見えない確度というのがあるが、コネクタが奥まっていればいるほど『見えてしまう確度』が限定されるからである。

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単に奥に配置しているわけではない。当たり前だがDisplayportやThundervolt用オスケーブルの突き出し量は世界標準規格なわけで、コネクターを新規に開発し、コネクターのエラ部分(上図参照)を削り取った2012年型MacBook専用の特注品を作りなおさなければこんな芸当はできないのである。

続いてSDカードスロットを見てみよう。

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上記は旧MacBook ProのSDカードスロット。

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上記は2012年版MacBook ProのSDカードスロット。こうやって比べると驚くほど『奥まって』いることがわかるだろうか。


SDカードのほうが計測しやすかったので具体的な数値を測ってみたが、旧MacBook ProのSDカードスロットの奥まり具合は3.15ミリメートル。新MacBook Proの同一箇所は何と6.19ミリメートルと、約2倍もの奥まり具合を実現しているのである。Thunderbolt/Displayportも同様に約2倍、USBコネクタも同様に約2倍の奥まり具合であることが確認できたことから、新型MacBook Proは外装上のデザイン性を向上させるべく各種IOコネクタを奥まって配置することを決め、コネクタ類を全て新型専用品として再設計して起こし直した、といえるだろう。*3


皆さんがなにげなく見て、何気なくかっこいいね、と感じたりしているものには必ずかっこいいなりの理由がある。こんなちょっとしたコネクタと筐体の合わせ具合ででも、見た時の印象は大きく変わる。個人的にApple製品は好きではないが、このデザインに対する拘り具合は敬意を払うに値する。さすがだ。でも、そんな私の愛機はZenbook! Ultrabookもっと頑張れw

*1:取り上げてたところがあったら教えてください、例外として追記します

*2:厳密にはレセプタクル。あとタイトルはわかりやすくコネクターと書いたけどコネクタと表現したい派なので本文ではコネクタで統一w

*3:厳密には3.5mmヘッドフォンジャックのみは旧型と同じ