スタートアップのPRバナシ (2) 〜 スタートアップのメディア露出はStep by stepで信用積み重ね。できることなら起業前から積んでおこう 〜

まえがき

スタートアップが広報をやっていくにあたり、だいじなことをシリーズ化しようと思ってはじめた『スタートアップのPRバナシ』シリーズ。なんと連載1回目がいつだっけなーと思ったら2年前という衝撃よwww
広報マーケティング Advent Calendar 2016【4日目】 の書き手が居ないってぇ話しだったので、じゃぁ2年ぶりにこのネタやるかぁということで。

用語(PR≠広告)

ちなみに当然だがPRはPromotionの略ではなくPublic Relationsの略。日本語でいうとこの『プロモーション or 広告』とは全く違う概念なのでお間違えなきように。スタートアップやるぞーという人の中にはこの用語辞典ですでにミスってる人が結構居るので注意。まずその時点でメディアの人には寒めの視線で見られてしまう。

(本題)スタートアップがメディアとの関係を深めていくには、そのステップが超だいじ、というハナシ


NHKスペシャルとかガイアの夜明けみたいなTV番組をみていて、いいなぁああいう番組で取り上げてもらったらどかーんと売り上がが上がるんだろうなぁとか思うわけじゃないですか。


でも、物事には順番があるというのが今日の話題。起業したばかりの謎のスタートアップが*1、こういったテレビ番組に取り上げられることはほぼない。


先日某Webメディアの方&某TV局の方と飯食ってたときにこれはぜひBlogネタにしてくれと言って頂いたのでネタにするが、まずテレビ番組ってもんは手間がかかる。テレビの取材をもう数え切れないほど受けたが、ほとんどのテレビ番組は取材すると決めた時点で放送が決まっている。勿論ボツもあるのだけれどWebに較べて極めてすくない。なぜかというと、そもそも取材するコストがめちゃくちゃ高いからである。実際にテレビ取材を受けたことがある方はわかると思うが、カメラマンに音声さん、インタビュアーにディレクターさんと最低でも4名はいらっしゃる。ちょっと豪勢パターンになると、ADさんと照明さんが追加されて6名体制、これだけの機材を輸送するということでハイエース&運転手さんが追加される。スタジオ撮影となると最低でも15名体制だ。これだけの手間をかけて、しょうもない内容だったんで放送やめます、というわけにはいかない。使用機材の減価償却のことなども計算すると、いかにテレビ屋が『ハズレの取材をするわけにいかない』かがわかるだろう。




なので、テレビに出たいという明確な目標を置いているとしても、まずはWebや紙といった媒体で何本もの記事を書いていただくというステップを踏むことをおすすめする。TV局の人たちは何か特殊な情報収集ネットワークを持ったCIAみたいな集団....なわけはなくて、彼らも日々ネットや紙(新聞や雑誌)のニュースを見ながら、どういったテーマで誰を取材しようかと考えている。テレビという特性上どうしても取材コストが高くなってしまうので、誰かが取り上げたネタを取材しにいらっしゃる傾向がとても高いというわけだ。実際局の人にヒアリングしても、やっぱりWebとか日経とか見て(どこを取材するか)考えていくよね、というコメントが多い。


こう言うと『紙ならやっぱり日経に』『WebならアスキーとかTechCrunch Japanに』と、またいきなり一流どころの名前が出て来るわけだが、これも我慢してStep by stepで。有名なメディアになればなるほど、マイナー企業を取り上げるデメリットが大きい。縁起でもない話しだが、詐欺だったら? 法に反することをしている企業だったら? なんてことは当然どのメディアも考えるわけだ。あなたが清廉潔白に頑張っているとしても、それを証明するいい方法ってものは存在しない。所属企業が有名上場企業であれば、企業がその安全を保証してくれる。残念ながらスタートアップにそこの信頼はないのだ。


じゃぁ、どうするか?

もう起業しちゃってるケース

おおきくわけて2つのステップがある。あなたがもう起業してしまっているなら、ちいさなメディアさんやブロガーさんからの取材依頼でも断らず、少しづつ少しづつ、メディア業界の中でのトラック・レコードを積み重ねていくことだ。名もないブロガーさんが記事にしてくれたら、それを見たちょっと有名なブロガーさんが記事にしてくれるかもしれない。そうすると、ちいさな商業Webメディアさんから取材依頼が来るかもしれず、それを見て1年後に中堅紙メディアからの依頼がくるかもしれない。この流れを続けていくと、有名Webメディアや地方新聞にたどり着くことができ、そこまで進むとやっと有名新聞系からお声がかかり始める。有名Webメディアや有名新聞に何度も掲載されているんだけどテレビからお声が掛からないんだねー、ぐらいに言っているころにやっとこさ地方のテレビ局だったり、ちょっと小さめのTV局の深夜番組あたりからお声が掛かりはじめる。コストの問題と、信用力の問題。これを理解してStep by stepで粘り強く進めていくことが、すでに起業してしまっている人にとっては重要である。

まだ起業してないよケース

あなたがまだ起業していなくて、それなりの信用力のある会社にいる場合。これは、今の会社にいる状態で『あなた自信』をしっかりとPRしてメディアの皆さんに知ってもらおう。怪しい人ではないことを理解してもらい、所属企業ではなく『1人の人としてのあなた』を理解してもらう。トヨタに勤めているカーデザイナーのAさん、自動車ベンチャーを立ち上げたいが....という状況を想像してほしい。『トヨタのAさん』ではなく、『Aさんはいまトヨタにいる』というふうにメディアの方に理解してもらうことが大切だ。具体的にやること? うーん、まずはメディアの知り合いを作るところからはじめたい。仕事のなかで出会うメディア系の方と仲良くなってもいいし、何か趣味を持ってオフ会に行ってたまたまそこにいたメディア系の人とつながるなんてのもあるだろう。気が遠くなるようなステップだって? そんなの、いくらでも手はある。いきなりNHKスペシャルの担当者さんと知り合いになりたい!というから難しいのであって、例えば先週行なわれていたAMN主催のブロガー大忘年会に遊びに行くというのでもいいはずだ。参加条件はブログをもっていること、それだけなわけで。じゃぁ来年のブロガー大忘年会(実施されるかどうかはさておき)のために今からブログを書こうでもいいわけだ。あるいは同じようにメディアの人と仲良くなりたいカーデザイナーを集めて『大手自動車メーカーのカーデザイン担当数人が語る飲み会』なんかを設定したら、面白いなと思ったメディア系の人が来てくださるかもしれない。


この辞める前に人としての信用力....は言い過ぎかもしれないが、どこの誰とも知らないヤツではなく、どこそこの企業で何をやっている人、というのがしっかりメディアのみなさんに理解れている状態で起業する人ってのは起業直後から有名メディアにばんばんと載りやすい。もちろん、取材に値するだけのネタを持っているという最低条件をクリアしていればの話しだが。


先日FacebookではShareしたが、元マイクロソフトの砂金さんがMSを退職されるにあたり、アスキーがその送別会を記事にした( http://ascii.jp/elem/000/001/240/1240501/ ) 。これはすばらしいことだし、砂金さんがメディアの皆さんと『MSの砂金』ではなく『砂金さんという人そのもの』をしっかりとメディアの皆さんに認知させたからだと思う。砂金さんはLINEに移られたが、仮に彼が起業をしますとなっていたら、初っ端から各大手メディアさんが記事にしたことだろう。元AWSの玉川さんしかり、である。




おっと時間がきたので記事を公開してしまうが、とりあえず言いたかったのは『いきなりNHKスペシャル狙いじゃなくってStep by stepで信用積み重ねていこうぜ』ということ。

*1:後述する個人としての信用が無いケースにおいて