家電業界内部から見たCES2009雑感 その1
8時間ほど前、International CES 2009が終了した。速報性はEngadgetやらその他Bloggerさんに任せて、家電関係者らしい感想をじっくり書いていくことにしよう。なに、これから飛行機に乗って日本につくまでたっぷり12時間以上ある(w
というわけでざっくりとした感想は『AV系はCEATEC2008ん時から代わり映えしねぇなぁ』である。ここのところCESにあわせて面白いものの発表時期を重ねてくるメーカーが減ったのかなぁ。
- 人減ったなぁ
- 一番人が多い1日目(12/8)に現地にいなかったため単純比較はできないが、2日目・3日目の人の入りは例年より少なかった模様。といっても、ロイターの記事にあるほど小規模でこじんまりしていたわけでは全くなく、CEATECの数倍はあろうかという会場は1日で回るのは到底無理。2日あっても厳しいぐらい、という規模はそれほど変わらず。ただ、ブースに群がっている人の山がいつもよりちょっと薄いな?ぐらいの印象。
- 猫も杓子も3D
- ジェスチャー操作系多し
- テレビ薄型化は「もういいんじゃね?」ってノリ。外装系の話題はデザインに。
- いや勿論各社ブースにはこれでもかと薄さを強調する展示がなされていたが、関係者誰一人としてそのネタを話題にしないのがしゅーるww むしろ、韓国系テレビメーカーのベゼルデザインがよくなったよね、日本系は垢抜けないよね、という話が多し。先の安藤さんによると、勧告系メーカーはヨーロッパのデザイナーを積極採用してデザイン面を向上させているらしい。ちなみにSUMSUNGのブルーレイプレイヤーの新モデルBD-P4600はデザインがぶっ飛んでてなかなか面白い。
- ネット連携TVその1:Pana以外は全部YahooWidget対応!?
- Pana以外は片っ端からYahooWidget対応テレビを出してきたなぁという印象。SONYのBRAVIAは「It doesn't work yet. That's image demo hehe ;)」ってなフザけた展示でしたが、出す方向にはあるらしい。あとはサムソン、TOSHIBA、LG、あとCESには出展していなかったもののVIZIOが片っ端から対応。Sharpもそれっぽい展示をしていたけれど、WidgetEngine自体は積んでいなかったのかも。いずれにせよSharpはYahooとつながりが深いので、やるとなったら早いでしょう。ということは実質ほぼ全てのテレビメーカーが対応したことになる。あと、テレビメーカーではないが、テレビ向けCPUとしてCE3100をリリースしたIntelのブースでは、CE3100を用いたプロトタイプTVの展示があり、ここでもYahooWidgetが動いていた。
- 一見するとよさそうな話ではあるが、WidgetからTVをコントロールできるのか? テレビの現在状態などをWidgetに伝える術はあるのか? みたいな質問には一様に曖昧な返答かNo。これじゃネット×TVによる新しいユーザーエクスペリエンスなんて生まれるわけもなく。PC版のアプリ(Widget)数と、Widget管理の(コスト面含めた)リスクをメーカーが負えませんでした、という白旗に近い状況に感じて少々悲しかった。自分が関わっていたからという側面もあるが、ここはPanasonicのVIERA CASTに頑張ってもらいたいものである。
- あ、そうそう。Widgetがテレビ映像に重なって表示されていたあたりが『どっかの島国とは違うねぇ(w』と感じた。やっぱりこれが見やすい。シャープブースに展示されていたIPTVはネット情報が映像に被らずに表示されており、古臭い感じがするとともに「迫力削がれるしこりゃ使わんかも...」という印象を受けた。
- Android端末(not handset)がぽろぽろ。メディアや関係者が注目。小さな会社が先行
- Android-OSをケータイではない家電に積むというのは大変面白い話だが、ハードは誰でも買えるしソフトもオープンソースとなると、小さい会社のスピードがやっぱり強い。聞いたことがないような会社や、多少知名度のあるところではGinii社などがAndroidをポーティングした端末を展示。Giniiなどはそのまま売り出すらしい。ODMするよ!という会社もあったので、BuffaloやIOデータといったPCペリフェラル系メーカーから出てくる、なんて可能性もありそう。
- このあたり、今家電系ベンチャー面白いんだよなぁ、と再確認。ちなみにGiniiのスタッフに『で、何か1個でも専用アプリ作ったの?』って聞いたら『いや、ただAndroid乗っけただけ。大丈夫アプリはユーザーが書いてくれるから!』という投げやりな回答が...。それじゃぁイノベーター層にしか売れんでしょうにw
- WiFiフォトフレームを中小のメーカーが多数展示
- ただWiFiを積んだだけで、なかなか新しいユーザーエクスペリエンスを創出できているような商品は大手含めてChumbyぐらいしか出せていないんだけれど、数だけはいっぱい出てきた印象。WiFiチップを結構小ロットで売ってくれるようになったことが関係しているように思う。
- この関連で、MarvelからChumby互換機(にしちゃぁ異常にハイスペックだが)がつくれるようなDigital Photo FrameやPND用のSoCが登場、型番はPXA168。サポートしている液晶の解像度がWUXGAもあって、Flash/FlashLite3が動作保証されてる。こいつでChumbyを動かすDemoもしていたが、まぁ当然といえば当然だがi.mx21の本家chumbyと比べるとサックサク。このむき出しEVMを撮影しようとしたら、そこは撮っちゃだめ、となw じゃカバーしとけよと。
- ケータイ系は元気なし
- カメラ系はPMA待ちか? 例年どおりNIKONはブースなし
- ここ数年CESにブースを出していないオリンパス、ニコンはともにブースなし。Canonはブースこそあったが、デジタルカメラ系の新要素はなし。2月に開催されるPMAに向けて温存、だろう。
- SONYがWiFiとタッチスクリーンを搭載したCyberShot G3を出品。これはPMAという「画質や撮影方法」について語られてしまう場に出す商品ではないと判断してCESに持ってきたのだろう。回りの反応などを見ていてもこれは正しい選択だった模様。CerevoのカメラもCESとPMA(あるいはCEATECとPIE)のどっちに出す? と言われたらCESかCEATECなんだろうなぁと再確認。G3の詳細には「Panaが1年前に出したPZ50と大差ない...よね...」ぐらいのコメントにとどめておく。説明員に「各種WebサービスのID/PWを全部カメラ画面で手打ちするとかって...なくね?」と聞いたら「大丈夫、専用のスタイラスがついてくるから!」と満面の笑みで返されて苦笑。
- 北米ではホームサーバー受け入れられるかも
- 大手家電メーカーは実質的に商品化を諦めたともいえるホームサーバーだが、ここにきてPCペリフェラルメーカー先導で序々に市場が立ち上がるのかも?と思わせる展示がちらほら。NETGEARだけではなくLGなども手を出しはじめて、これはもしかして...と思えるところまできた感じ。802.11nがブレイクスルーの鍵になっていることは間違いなさそうだが、AmazonやNetflixのダウンロードサービスへの対応やWireless-HDMIなどとも絡めて面白いことになるかも知れない。なんで北米で、なの? というと、日本みたいに回線が早くないからと、DRMがゆる目なお国柄だから。あと結構ビデオ(ホームビデオ)撮る人がいるから。バッファリングあるいは事前にダウンロードしておいて見る、という使い方は日本みたく「ストリーミングでいいじゃん、DRMの問題もあるし」という逃げ口がないぶん可能性がありそう、というわけだ。
- 景気の面からも、エコブームの面からもエコ展示多数
終わりに
他にも色々あるのだけれど、そろそろ空港に移動してラウンジで続きを書こうと思うので一旦ここで終了。先ほどまで夕食をご一緒していた安藤日記の安藤さんなどの要点と比べてみていただくと面白いかもしれない。