ソフトバンクのY!ケータイは既存CPと自社コンテンツのコンフリクトをどう回避するのか

ちょっと前の話になるが、ソフトバンクボーダフォンライブをY!ケータイに改名し、携帯端末にはY!ボタンをつけてワンボタンでYahooに繋がるようにするそうだ。って、それどっかで作ったような...と思ったら以前本Blogエントリで予想してたやつがそのまま実現した模様。まぁ誰もが考えるネタではあったものの、エクスクラネーションマークを付けていれば完璧だったなぁと自画自賛ww

さて、ソフトバンク・グループが一体どこまでの携帯電話向け情報サービスを自社提供するつもりなのかが大変興味深い。ざっとYahoo Japan, Yahoo mobileをチェックしてみると、着メロ、占い、ニュース、天気、テレビ番組表、路線案内、地図、ショッピング、オークション、出会い…とまぁ何でもあると言ってもいいぐらいの品揃えだ。これらコンテンツが、ケータイの機能と連携するような形で提供されてこそ、ソフトバンクグループならではのシナジーであると言えるが、逆にそれをやってしまうと、現在ボーダフォン公式コンテンツプロバイダー(以下"CP")として名を連ねている連中からしてみれば商売あがったりであり、そんなことならウチのサイトはソフトバンク対応をやめてしまおう、となりかねない。そうなると『ソフトバンクのケータイは着メロとか少ないしぃー』なんて評価がなされて競争力を失ってしまう可能性が高くなる。

「Y!ケータイ」=「Yahoo! mobile」だとは誰も言ってないわけで、各CPとの調整期間などを考えると、10/1時点では現在ボーダフォン携帯に付いているボーダフォンマーク(ボーダフォンライブ接続用ボタン)がY!マークに変わり、接続先サイトの名前が「ボーダフォンライブ」から「Y!ケータイ」に変わるだけかもしれない。つまり中身はほとんど手を加えないのではないかと思うわけだ。100歩譲って、Y!ケータイのトップメニューの最下部にYahoo mobileの検索窓が追加され、そこからOpen internet siteに出て行くことができる...といった小変更あたりでお茶を濁してくるのではなかろうか。



私のような企画マンが一番注目しているのは、携帯電話ネイティブアプリとしての電話帳やスケジューラー、カメラ撮影機能などがWebサービスとして提供される可能性である。具体例を挙げると、ユーザは従来どおり携帯電話のスケジュール帳に予定を書き入れるのだが、実際はWebアプリとして提供されており*1、入力した予定はPCベースのブラウザ画面上で見ることもでき、またその逆も可能といったサービスが考えられる。また、携帯電話内写真一覧表示アプリが、WebベースでYahooフォトを表示するアプリに置き換わるというケースもありえるだろう。ソフトバンクがこれらサービスをにいちはやく実現できる組織体制,既存サービスPFを持っているのは疑いようもない事実だが、そうすることでCPから総スカンを食らってしまうリスクが一番大きいのもまたソフトバンクなのだ。

Blogospereでは「Y!ケータイ」というネーミングや「ソフトバンク」というブランド名に否定的な意見が多いようだが、私は逆だ。彼らこそPCとケータイをWebサービスによって横串を刺すことをもっとも得意とするキャリアであると考えている。DoCoMoauにとっては逆に苦手な領域だろう。よしんば急ごしらえで似たようなサービスを作り上げたとしても、日本のPCベースWeb界におけるデファクトスタンダードとも言えるYahooと比べれば、足元にも及ばないサービスとなってしまうことは想像に難くない。追いつくには何年もの月日が必要となるだろう。


まとめると、以下4点が気になって気になってしょうがないわけだが...

  • 取り急ぎ10月1日のリニューアル直後の「Y!ケータイ」サイトの体裁,Open Internetへの出口がどうなるか
  • Yahoo mobileとして提供中のサービスと現ボーダフォン公式CPコンテンツのコンフリクトをどう回避するか
  • Yahooサービス群と携帯電話本体内アプリケーションの連携をどう実現するか
  • 「Y!ケータイ」サイトにおいて(ユーザに対し)「公式コンテンツプロバイダー」をどのように見せるのか

焦らずゆっくり月見の用意をしつつ、10月になるのを楽しみに待つこととしよう。


関連エントリはこちら:
 http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20060305/p1
 http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20060306/p1

*1:あるいはローカルアプリなんだけど入力されたデータは非同期でサーバと通信してスケジュール内容を同期する、等