mixiをGREEが逆転するか!? 鍵を握るのは「招待制」とマーケティング手法の関係

いきなり最終結論から話をすると、招待制サービスは宣伝広告が大変難しいので劇的な加入者数増加は期待できないが、EZ GREEは招待制ではないことを発表したため、急速なサービスの立ち上げと劇的な会員数となる可能性を秘めているんじゃぁないか、もしかするともしかして、1年少々でmixiGREEが会員数において逆転、なんてシナリオもあるんじゃないかってぇ話。

10/30、GREEKDDIの本格連携が発表された。サービス名は「EZ GREE」。意外だったのは予想していた au My Pageとの密連携はどうやらサービスイン時点ではなさそうだ、ということだ。が、予想通り「招待制ではない」サービスとしてきた。当然といえば当然なのだが、これは招待制SNSのウィークポイントを突いたうまい戦略だ。

招待制SNS マーケティング観点からのディスアドバンテージ

  • マス広告が打てない or 打っても効果がない
  • 弱いセグメンテーションを補強する術がない

招待制SNSにはこういった側面がある。「今mixi入会すると5000名にiPODがあたるキャンペーン中!」なんて車内広告を打ったところで、招待されないと入会できないのでは応募のしようがない。「注:mixiは招待制です。身近な友達に声をかけて招待してもらいましょう」なんてジョークとしか思えない注釈を付けるわけにはいくまい。

また、可処分所得が高いユーザを集めたいであるとか、シルバー層向けの広告市場が熱いらしいからシルバー層を取り込みたい、なんて計画を立てたところで、シルバー層に受けるUIやコンテンツを用意した後は、ただただ当該ユーザ層が厚くなることを祈って指をくわえて待つしかないのである。

非招待制SNSが取れる戦略

非招待制SNSであれば、欲しいユーザ層向けの機能を充実させると同時にプロモーションを行えば、ユーザがすぐに増える可能性があるわけだ。先の例でシルバー層を厚くしたいなら、盆栽ダイアリーでもゲートボールスコア管理でもデカ字版UIでもなんでもいいので機能を実装、プレスリリースを打つと同時に時代劇枠でTV-CMを打ったり、シルバー層向け雑誌に広告を打てばいいのである。新聞やラジオといったメディアも60代以上には効果的かもしれない。

コミュニティの安全・安心については?

招待制SNSのアドバンテージとして以下2点が良く例にあがる。

  • 非招待制よりは安全安心なコミュニティが形成できる
  • 「僕も仲間に入れて欲しい」欲求、あるいは「選ばれた人なんだ」感を刺激することで会員を増やすことができる

非招待制SNSに対して『招待制じゃないとコミュニティの質が下がってロクなメディアにならないよ』という指摘はもっともだが、GREEはこの点を「携帯電話顧客管理台帳」という強力なユーザー認証手段で回避した。回避したというよりむしろ、招待制以上の安全性を確保したと言えるかもしれない。KDDIからの増資を引き受けた田中社長の胸のうちが見てとれる。これで前述した招待制SNSにおける1つ目のアドバンテージが消滅する。

招待制SNSに残る最後のアドバンテージは「そこに僕も入れてほしい」という羨望感によって会員を増やし、「選ばれた人たちだけのコミュニティにいる」という優越感によって顧客を繋ぎとめるという精神的な枷なわけだが、会員を増やしてメディア価値を高めたいという運営企業側の思いとは二律背反する難しい要素だ。現にmixiは500万人を越える会員を擁することで、こういった羨望感・優越感を感じることは難しいコミュニティとなりつつあるように思う。

おわりに

とまぁそんなわけで、EZWebのトップやTV-CMで、仲間幸紀恵が「EZ GREEでトモダチ作ろう!」なんて言い出した日にゃぁ、mixiの会員数をあっという間にGREEが追い抜いてしまうかもしれないなぁと思った次第。プロモーション費用にどれだけのコストを投入できるか否かという理論じゃぁなく、SNSの特性としてmixiにはこういったプロモーションができない状況にいる、時代の流れに鋭敏に反応できないサービス仕様なんですよ、という点を強調しておきたい。

mixi先行者であるという最大の強みをどう活用してこれらの課題に対処してくるのか、今から楽しみである。SoftBankのYahooDaysも気になるし、一切CGM方面での動きを見せないDoCoMoがどう出るかも要注目であり、目が離せない分野となりそうだ。