アメリカで電子機器を販売するためにやったことまとめ 〜2/1から米国でLiveShellの販売を開始〜
シリコンバレーのベンチャーマンセーみたいな風潮が好きだの嫌いだの、アメリカに行って起業みたいなのがいいだのわるいだの、グローバルに通じるサービスだのどーなどまぁ連日アメリカ×ベンチャー×日本みたいなワードで盛り上がってるのを横目に、Cerevoは粛々と日本発テク系スタートアップとしてUSAでもモノ売るように動いてて、1月のCESで展示やって、2月からLiveShellを販売開始しましたよと。
http://www.facebook.com/warenosyo/posts/168716953239905
んでまぁ、思った以上に「アメリカでモノ売るにはどーすりゃいいんだ?」って情報が転がってないので、これから起業するなり今すでに立ち上げ済みの企業でアメリカ向けにモノ出荷しようと思ったらどーしたらいいの?って人も多いだろうからやったことを簡単にまとめてみる。
製造段階/開発段階でやったこと
- FCC取得
- EMC対策としてのFCC
- FCCには2種類あって、EMC規程としてのFCCと電波利用製品としてのFCC。前者は微弱な電磁波みたいなもので、アナログテレビと一緒のコンセントに挿したらテレビの映像が乱れる機器とかがたまにあるんだけど、ああいうのを規制する仕組み。日本ではこれがVCCIといって任意なので認証取らなくても売って良いのだけれど、アメリカではNG。他の機器に変な影響を与えたりしませんよという証明を取らないといけないので、これを取る。どうやって取るかというと、そもそも設計段階でそういった毒電波を出さないように回路設計・アートワーク・メカ設計をきちんとしておくというのが大前提。外部の電気屋を使うときは、FCCクラスBを取れるような設計とすること、みたいな仕様書を最初から定義して、試験に落ちたら設計瑕疵じゃないの?と交渉できるような契約書・発注書にするよ、と最初から話しておけばシンプル。まぁ飲んでもらえるかどうかはさておき、マストなんだね、というのが最初から通じていると時間も金も節約できる。
- と、やっておけばすんなりいくだろうと思っていたら、FCCクラスAは通るけどクラスBのEMC試験をどーしても通らず、日本での発売はすでに終わっているんであとはFCCに書類出せば終わりという状況だったはずなのにもしや基板改版をして追加開発費投入しないといけないか、どうか?というところまで追い込まれてばたばたやって @boonies が焦燥しつつあれこれやってくれた結果何とか通ったというハプニングがあった。こういうのがあるから認証系は怖いんだよな....と。
- EMC対策としてのFCC
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- 電波法?対策としてのFCC
- 前述のEMCとは別に、積極的に電波を出し受けするような機器はFCCの中での日本でいう電波法にあたる部分で問題ありませんよーという認証を取らないといけない。無線LANや3Gなんかを使う機械の場合で、LiveShellは無線LAN搭載しているのでここに該当。これ、設計がシビアでミスれば試験通らないばかりか性能が出なかったりとやばい部分なので、CerevoではアリモノのWiFiモジュールを活用する方法を取った。既にFCC/CE(ヨーロッパの規格)を取得済みのUSB接続型WiFiドングルを仕入れてきて添付する、という手だ。LiveShellのWiFiモジュールがどこかで見たような形をしているのも、取り外しできるのも、このためである。スタートアップは端折れるところはとことん端折ってコストだの手間だのを削っていく。
- 電波法?対策としてのFCC
- ACアダプタのUL/cUL取得
- 英語版パッケージの制作
- 当たり前だけれどちゃんと制作。ネイティブイングリッシュスピーカーによるProof reading(推敲)をきちんと入れ、違和感ない文章となるようにした。ベースの文章は日本側で制作。お金があればアメリカ人デザイナーにデザインさせなおすんだけど、さすがにスタートアップでそんなことやってられないので日本人デザイナーの @microcoppepan ががんばった
- 英語版マニュアルと保証規定の策定
- アメリカは訴訟社会なんでこのへんはちゃんとしないとね、ということでちょっと高いがアメリカの弁護士に保証規定はちゃんと見てもらって英語版ペーパーマニュアルと保証書を作成。ペーパーマニュアルはパッケージと同じく日本で作ってネイティブスピーカーの推敲を受けるという形にした。オンラインマニュアルも基本的には同じアプローチだけれど日本人英語であってもいいから分量を充実させよう、という方向にした。オンラインマニュアルはあとでいくらでも修正がきくので。
- 悩ましかったのは用語の選定。Proof readingと翻訳あわせてお願いしたら「有線LAN」が「Wired LAN」とかに翻訳されて帰ってきちゃって、いやいやそこは「Ethernet」だろって話なんだけど普通の翻訳やる人はそのへんわかんないよなーと。
- パッケージもそうなのだけれど、紙はスペースが有限。んでもって日本語は漢字というスーパースペシャルなツールが使えるのでたった4バイト(漢字2文字)に複雑な意味を込めることができる。そんな日本語ベースのパッケージや紙マニュアルを英語化しましょうとやると、スペースが全く足りない。結果、日本語版より若干情報量を落としてフォントサイズも小さくして何とか詰め込むことができたが、今度やるなら先に英語版作ったほうがいいなぁこりゃ、と思った。
開発とは別で手配・調整したもの
- 輸出入手続き
- Liability insuranceの契約
- 米国法人登記と住所・電話番号・TIN・USA側銀行口座の準備 ※マストではないけれども僕らは実施した
- 米国法人を作らずに販売することも勿論可能なのですが、今回は諸事情あって米国法人としてCerevo USA LLCをワシントン州に登記してアメリカ国内にて納税を行えるような体制を作った。※TINはTaxpayer Identification Numbersの略
- 米国法人を作っておくと色々と楽。維持コストも何やかや入れても年間10万円以下程度なので、あると便利。今回は半年契約で4万円ぐらいの、住所だけ貸してくれるレンタルオフィスを利用することでコストセーブ。電話番号はGoogle voiceを使えばタダでGETできる。固定電話のように見える番号なので、外からみるときちんとしているように見える。日本でいう東京03が手にはいる、的な感覚。
- 住所と法人登記があれば米国で銀行口座を開設できる。米国での取引時に毎回日本の銀行口座から送金していたら振込手数料がばかにならないというのもあるし、アメリカの口座がないと利用できないサービス、取引できないところなども出てくる。住所、電話番号、銀行口座、TINが揃えば外見だけは純然たる米国企業として振る舞えるしサービスなども通常の米国企業と同様に受けることができるので、不自由することがほぼない。また、商品を購入してくださるアメリカのお客様から見ても『怪しい輸入商品』ではなく『まがりなりにも米国に拠点を持ってビジネスをやっている会社の商品』として見えるので商品購入時にいらぬ不安を与えなくてすむ、というのも大きい。
- ユーザーサポート体制の構築
- これはメールサポートが現実的だろうということで、日本側からメールサポートを実施することで解決。一定件数を超えてオーバーフローしそうになったら一次受けをアメリカの会社に委託すればいいや、とした。結果的によかったなぁと思うのは、一次受けを面倒だけれど自分たちでやることで、アメリカの顧客がどういった悩みをかかえていて、どんな商品の使い方をしているかというのが直につたわってきたこと。短期的でも自前でやる、ということのメリットだろうがものすごいプロモ費を突っ込んで垂直立ち上げをやるような場合はやめたほうがいいと思うw
- CESで発表した直後はサポート業務やってくれている @mhr のメールボックスのほとんどが英文メールのSubjectで埋まる事件などが発生して嬉しい悲鳴となったりしてどたばたはしたのだがw
- RMA体制の構築
- 不良品は発生しないのがベストだけれど、量産される工業製品である以上ゼロにすることはできない。そこで、メールサポートにて不良品かどうかの判定を行い、これは不良品の可能性大となったらある住所に送付すると新品を送り返してもらう、という仕組みを構築。企業でやってくれている会社もたくさんある。今回はUS市場が立ち上がるまでは内輪でやりましょうということでCerevo USAの仕事をお願いしている方に実際のオペレーションをお任せすることにした。
- そういうわけなので念のためアメリカへの出荷台数の2-3%程度の個体はRMAオペレーションをやる拠点に配送してストック。勿論不良率が1%を超えたりなんてしないように設計しているので、余りの品はRMA倉庫(RMA拠点)から販促機として販社さんとかへ出荷することで数を調整することにした。
- Amazon USAとの契約、FBAの利用
- アメリカ国内でECの仕組みをゼロから構築とかやってられないのでAmazon.comのFBAサービスを利用することにした
- FBAサービスってのは国内でもやっているサービスで、Amazonの倉庫にモノ(LiveShell)を送りつけてオンライン上のコントロールパネルで値段やら商品説明やら記入すると、Amazon.comが発送/決済を全て代行してくれてお急ぎ便も使えるという便利なサービス。利用料はざっと8%ぐらい(LiveShellの価格の場合,送料込み)と大変お得で、楽。
- 全てオンラインで済むのでAmazon.com担当者と話すことすらない。フォームに会社情報やTax information numberを入力して進めてゆけば終了。その後、Amazon,comが指定する倉庫住所に、指定されたラベルを貼りつけてLiveShellを送りつければOK。
まとめと謝辞
以上、かな? まとめると項目少ないんだけど、実際やるとなると法人登記関係と銀行口座関係が大変だった。お金はあまりかかっておらず、登記関係&保証書の推敲を弁護士に頼んだのでそこで30〜40万円ぐらい発生したのみである*1。素晴らしきことは、インターネットとオンラインサービスのお陰で、従来であれば事務方の社員が1-2名しかいないようなスタートアップでもアメリカにてモノを売るということが無理せず現実的にできるような時代になったということだ。Amazon FBAの存在は大きいし、メールやオンラインマニュアルによるユーザーサポート業務もしかり。アメリカ側で手伝ってくださる方とSkypeで無料にて何時間も電話会議ができることもそうだし、Google Voiceで固定電話番号を無料でGETできることもそうだ。無理にアメリカに行こうという話をするつもりはないが、日本で1日1個売れる商品を2カ国に展開すれば2倍売れるようになるかもしれない。3カ国にすれば3倍売れるようになるかもしれない。チャレンジしてみるのは悪くないのではなかろうか。
とまぁやってしまったあとなので色々薀蓄を垂れることができているわけだが、試行錯誤しつつも何とかきちんと発売にこぎつけることができたのは、Cerevoの社員が頑張ってくれたことに加え、元マイクロソフトの古川 享さんから良き支援者をご紹介頂いたから、という要素がめちゃくちゃ大きかった。アメリカでの販売を考え始めた2011年頭に『誰かアメリカに住んでいてCerevoのアメリカ展開を手伝ってくださるいい人いませんか、紹介してください!』という無茶振りをしたところ、某有名国際企業の立ち上げなどに関られた経験豊富な方をご紹介頂くことができたのである。古川さん、ありがとうございました。
おまけ
CESでContour社のブースの端っこを間借りして展示したら、何が起きたか? という話を少しだけしておきたい。これまで述べてきたように、英語ドキュメント作ってアメリカの法規制クリアして売るってだけでも結構たいへんだなーと思ってCESに出展してみたら、アメリカ以外の実に12カ国から『xx国にてLiveShell売りたいんだけど』という問い合わせがマシンガンのように来ちゃったのである。アメリカすげーというつもりは全くないけれど、英語すげー、というのは間違いないなと。
.....で、南アフリカ*2で売るには一体何の規制をどうクリアしたらいいんでしょ?w
苦難の日々はまだまだ続きそう、である。
*1:Liability insuranceの$2,000/年はここから発生していくけど
*2:本当に南アフリカの家電ディストリビューターの方からコンタクトがあって、売りたいというお話を頂いた
ASUSの「Zenbook UX31E-DH72」はMacBook Airより安くて速い。これは買い! 日本最速レビュー
と、タイトルで煽ってみたが本当に最速かどうかはしらない(w まぁDH72と同等モデルとなるUX31E-RY256は11月下旬なので、まぁコンシューマーとして手にいれて日本語でレビューするのは最速といえなくはないだろう。
詳細な写真やSPECなどはITmediaに譲るが、MacBook Airと同等のコンセプトで少しSPECが高い超薄型モバイルノートPCだといえばそれ以上の説明は不要かもしれない。
どうせうちのBlogを読んでくれるマニアックな諸氏にとってMBAのスペック説明なんぞ不要だろうから一番気になるMBAとの差異はどうなのか?について簡単にまとめる。結論からいうと、信者はMBAに行けばいいが、彼の信者となることが自己のアイデンティティとなりえない者についてはZenbookを選ぶのは必然だろう。
ちなみにAppleはすごい会社だ。なぜなら、これとほぼ同じスペックのPCを半年前にリリースしているのだから。筐体デザインという意味では1年前だ。ASUAが1年遅れのコピーメーカーであることに疑問の余地はない。ただ、ここ数週間から3ヶ月でPCを新調したいと考えている諸氏にとっては、Zenbookのコストパフォーマンスとスペックの高さは認めざるをえないということだ。
MacBook Airと比べて優れている点
- ディスプレイ解像度が1段上(13インチモデルにおいて)
- これはでかい。思った以上にでかい。DPIでいえば、MBA11インチのDPIで13インチのZenbookが表示されると思うとよい。Zenbook13インチのディスプレイ解像度は1600*900。MBAの13インチと比べると、1割も表示可能情報量が増えている。
- USB3.0搭載
- バッテリー公称時間が+1時間
- 所詮公称...ってのはAppleもいっしょ
- SSDの読み出しがMBAの2倍早い
- Cyrstal disk markで計測。ITmedia社の計測によるとMBA現行モデル13インチでシーケンシャルリード223MB/sだが、Zenbookは431MB/s(実機にて実測)。倍速い、といっていいスペックだろう。なお、シーケンシャルライトは222MB/s。ほぼMBA13inchと変わらず
- D-Sub15ディスプレイコネクタへの変換アダプタと、有線LAN変換アダプタが付いてくる
- MBAだと別売り。特に前者は高い。Zenbookはご丁寧にこれらアダプタをまとめて収納できる小型ポーチ付き
- CPU同スペックのMBAより3万円以上安い
- Zenbook 13インチ最上位モデル(国内ではRY256、USAではDH72)の定価は129800円。対するMBAの店舗販売最上位モデルMC966J/Aは138000円。ついでにいっておくと、ヨドバシやビックのポイントはApple製品は5%しかつかないが、ASUS Zenbookは10%つく。実質16000円の差額。更に言ってしまうと、MC966J/AはCore i5の1.7Ghzモデル。Zenbook最上位モデルと同等スペック(i7 1.8Ghz)と同等にするには、直販限定となり5%のヨドポイントを捨てた上で定価もあがることになるため、実質的にZenbookと同等のCPUクロックにするには3万円以上の差額が出ることになる。Zenbook安い。こういう日に限ってAppleStoreがメンテ中で1.8Gh版MBAの価格が調べられないんだけどw
- 内蔵スピーカーの音量がかなり大きく、社外でDemoをしたりする際に便利
MacBook Airと比べて劣っている点
- 最厚部で1mmだけ分厚い
- 内蔵Webカメラの画素数(MBA1.3M、Zenbook0.3M)
- デザイン性
- Zenbookは思った以上にかっこいいし、アルミ削り出しボディの質感もすばらしい。ただ、ロゴマークのつけかたやらフォントの選び方やら、内蔵端子とボディのチリ合わせやら、内蔵端子のカラーまで調整してデザインを詰めてきたAppleと比べると、劣っていると言わざるを得ない。もの作りをする仕事をしている視点から見ると、Macbookはそのデザインを作るために相当見えないところで金をかけている。それがわかってしまうからこそ、ここはあえて劣っている項目に入れたい。以下、ものづくりしてる人しかわからない超絶細かいデザイン上の劣等点
- ヘッドフォンコネクタと筐体のエッジが0.2mm程度合ってない。MBAはぴしゃり。
- SDとUSB端子のエッジが0.3mm程度のテーパーになっている。MBAは0.1mmテーパー。はるかにシャープ
- ボデイ下部を止めているトルクスネジがあるのだが、当該ネジ頭を埋めるためのホールに遊びが大きすぎる。MBAは0.2mm程度、Zenbookは0.5mm程度
- UX31 Series Ultra Slimというシルクが筐体内にあるが、フォントがダサすぎる
- キートップを含めて筐体内側にフォントが3種類(ASUSロゴ、キートップ、Bang&Olufsen表記部)もあって統一感がない
- ASUSロゴがでかすぎる&ほぼポリッシュ仕上げに見えるヘアライン仕上げでださい。ここはトーンを落としたサンドブラスト仕上げのほうが落ち着きが出てよかったはず
- キーボード面とボディ裏面はマットシルバー仕上げ、パームレストはアルミヘアライン仕上げ(縦方向ヘアライン)、ディスプレイ背面はなぜかラウンドヘアライン。なぜ、なぜ、なぜ? ディスプレイ背面も縦方向ヘアラインだろJK
- Zenbookは思った以上にかっこいいし、アルミ削り出しボディの質感もすばらしい。ただ、ロゴマークのつけかたやらフォントの選び方やら、内蔵端子とボディのチリ合わせやら、内蔵端子のカラーまで調整してデザインを詰めてきたAppleと比べると、劣っていると言わざるを得ない。もの作りをする仕事をしている視点から見ると、Macbookはそのデザインを作るために相当見えないところで金をかけている。それがわかってしまうからこそ、ここはあえて劣っている項目に入れたい。以下、ものづくりしてる人しかわからない超絶細かいデザイン上の劣等点
同等スペックなんで信者に惑わされないでね、という点
- USB端子の給電能力
- 起動スピード、スリープからの復帰スピード
- シャットダウン状態から15秒で起動、スリープから2秒で復帰。MBAとほぼ同じ
- キーボードはどっちもひどいから同等w
- 最近の薄型PCにキータッチの素晴らしさを求めてもしょうがない。MBAも相当ひどいからここは同等
- ディスプレイ輝度
- 内蔵スピーカー性能
- 個人的にはzenbookのほうがよくできていると思うが、多分に感性的なところなので多くはコメントしない。特に音質については。ただ、最大音量はあきらかにZenbookが大きい。会議室などでなるたけ大きな音量を出したい(電話会議やビデオを使ったDemoなど)ときはZenbook有利
ふぅ。とりあえず今日(購入初日)に感じたことまとめはこんな感じかな。
結論から言うと「単順にスペックと価格でみて、今モバイルノートPCが欲しいなら買い」である。
2012年夏以降まで待てるなら次期MBAだろうし、1年待てるならIvy Bridge世代のUltrabookがまた出るんでそれを選ぶことになるはずだ。
...超どーでもいいことなんだけど、ASUStekってブランド名をASUSに変えてドメインもASUS.comになってたんだねw アサステックとかいうとおじさん呼ばわりされるよ!w
あと、MBAと同じくシャットダウン状態から15秒起動するところの実証ビデオを撮影しておいたので参考にしてほしい。
CEREVO LIVEBOXとGoProで”歩きながらFPS視点で酔わないUSTキット”を作ってみた
International CES 2011に来ている。勿論CEREVO LIVEBOXを自慢するためだ(違 で、本来の目的はさておき歩きながらCES会場の雰囲気やしゃべってる内容をひとりでUstream配信してやろうじゃないかというのがこの企画。GoProはその目的で個人的に購入したのだw
で、LIVEBOXとGoProはカクメットというカクカクしたヘルメットに装着。補助バッテリーのEneloop mobile booster(KBC-L2BS)を含めて全てをヘルメット上に取り付けてみた。
後ろから見るとこんな感じ。こちらはEneloop増槽つきなのでごちゃごちゃとしているが、これならば7時間程度の連続配信が可能だ。なかなかPCとビデオカメラで7時間配信やろうとすると骨が折れるものである。Smartphoneだと充電しながらでもバッテリ減って行くし。
で、こんなものを被ってInternational CES 2011の会場をちょろっと1時間程度だけうろついてみたら、人生でこんなに写真撮られたことねぇyo、ってほどに写真を撮られまくって取材されまくった。びっくりw まぁある程度は予想範囲内だったが、ここまでとは。アメリカ人こういうの好きだねぇ。
取材されてる模様はこんな感じでUstream配信されていた。3G電波状況が宜しくなく、厳しいフレームレートだがそこは気にせず見てほしい。明日(日本時間1/8 AM4:00頃-AM10:00頃)もCES 2011会場からこのスタイルで配信するので朝早起きな方は是非みてみてほしい。ネタとしても面白いし、CES会場の生の雰囲気を楽しんでいただけるはずである。
新Firmwareで16:9に対応したCEREVO LIVEBOXとGoPro HD HERO 960でのモバイルUstream配信は新感覚のFPS風人間視点配信
本日、Cerevoの新商品「CEREVO LIVEBOX」の最新Firmwareをリリースした(Version4)。16:9の配信に対応したことと、リニアPCMでの音声配信に対応したこと、そして何といっても解像度が1段UPし、最大 704×576pixelでの配信が可能になったことが大きなUpdate点だ。
でまぁ、ここは「こんなにいい画質で、こんなにいい音質なんですよ!」と高級機材を使ったDemo映像なんかを紹介するところなんだけれども、昨日GoProネタをやったのでLIVEBOXとGoProでどんな映像が配信できるのか? をご紹介したい。GoProのコンポジット出力は4:3なんだけれども、LIVEBOXのVer4 firmwareではスクィーズとレターボックス両方の方式でNTSCアナログ映像を16:9化できるため、GoProの出力映像もレターボックスを選べばばっさり上下カットして16:9化できる。
で、某宗教団体のヘッドギアっぽいと言われるコレ↓をつけて中継。GoPro HD HERO 960に同梱されているヘッドマウントストラップである。
耳の後ろに行っているケーブルはRCAコンポジットケーブルで、そのままCEREVO LIVEBOXに刺さっている。コンポジット端子なので絵はダメダメだし、ましてやこの配信は3Gで配信できる程度まで画質・音質・フレームレートを落としての配信だったため、ハイクオリティを説明する資料にはなりようもないが、手のひらに乗るサイズの配信BOXと、おでこに付けられる超ワイドアングルカメラでの「お外中継」セットでこんな絵が撮れますよー、というサンプルを是非みてほしい。
...釣りな @AyanoTDO のサムネイル画像はさておき、是非Clickして映像を見てみてほしい。GoProは手ぶれ補正など一切ないカメラだが、スーパーワイドなその画角のせいで、ヘッドマウントしてもほとんど不快に感じることはない映像に仕上がっている。本当はもっと高音質なマイクを付けてちゃんと音量調整してやるべきなのだが、取り急ぎこんな感じで。
尚、GoPro内蔵マイクは色々とアレで、通常の会話を録音するには使い物にならない。が、LIVEBOXは別途マイクを付けることができるので、高音質マイクを繋げばGoProならではの映像表現と高音質なAudioを両立することができるはずだ。この配信でも小型のダイナミックマイク(あまり性能は高くない)をLIVEBOXに取り付けてGoPro側マイクはOFFとしている。
家電メーカーは3D対応テレビで地上波の呪縛から逃れ、価格下落に歯止めをかけられるか?
テレビはコンテンツに引っ張られる。これは業界特性上当然のこと。そういう意味ではハリウッドでの3D映画製作の流れに対してテレビ受像機メーカーが3Dに進むのは当然といえば当然。2009年1月のCESでSamsung、LG、Panasonic、SONYがそれぞれ一挙に3D映像デモンストレーションを行ったことからも、その潮流は見てとれる。
と、こう書くとえらくきれいな話のように聞こえるが、国内では地上波D放送、USではBlu-rayをそれなりにきれいに写せればテレビなんてなんでもいいじゃんという流れで価格下落に歯止めがかからない、という現状を何とかしたいメーカーの苦悩が透けて見える。ディスクメディアの規格更新頻度と放送波の規格更新頻度とはかけ離れたスピードでデジタル家電のコモディティ化、価格下落が走ってしまう現状に対する藁をもすがる回答が、ハリウッドの最新コンテンツを再現するテレビの登場、というわけだ。
3D映像技術の概要
感覚器官を"だます"ことになる3D映像は目が疲れることは確かだが、得られる感動が大きいのもこれまた事実。同様に感覚器官をだますことによって実現しているドルビーDTSのような立体音響とそう大きな差はない普及になるのでは?と予想する。といっても現時点でDTSを楽しめる世帯なんて10%もいないだろうから、当面はその程度の数値が上限になるだろうが。
立体的にものを見せることのアプローチは大きく分けて2つ。徹底的に解像度を上げて行き、実物と見紛うばかりに仕立て上げるか、左右の目に強制的に別の絵を放り込んでやるかだ。
前者は目が疲れないが、後者は目が疲れる。前者には画面から飛び出してくるような奥行き感は出せないが、後者には(目をだましているとはいえ)それがある。マニアには評価されにくいが、シンプルな感動と言うべきか、割と誰にでも「おおっ!」と言わせることができる技術である。
もっとも、最近はアクティブシャッターメガネ方式が主流になり、ディスプレイのリフレッシュレートもあがり、目の疲れがだいぶ減って完成度が高まってきている。残像を削減するための高リフレッシュレート液晶/PDPの技術がたまたま生きた、というところだ。
現状の進捗とPanasonicのリード
そして何よりも、4k2kなどの高解像度アプローチと違い、3D映像再現にはディスプレイパネルそのものを新規開発する必要がなく、すぐに市場投入できるというメーカー側の都合がある。先日行われたAMNのイベントにて、Panasonicで3Dディスプレイを開発しているPAVC社の末次さんの話を聞いた。曰く『今のテレビシステムに手を加えるだけですぐに、安価に実現できる』という。実際、Panaの現行テレビで採用されているPeaksPro2というプロセッサでそのまま動いているというから面白い。
残像処理とパネルの大型化ぐらいしか差別化要素がなく、メーカーが一番好まない価格競争一辺倒の世界に一直線……という嬉しくないスパイラルから脱するために、この方向性は一筋の光となることは間違いない。ま、簡単に実現できるということはすなわちまたすぐ今の状況に戻ってきてしまう、ということでもあるのだが……。とはいえ一時的には状況を打開できるわけで、デジタル家電の世界はこのプロセスの繰り返し、ともいえるのでそう悲観的になることもなかろう。
余談だが、Panaはなかなか展示会に面白いもの(コンセプトモデル等)を出してこない。が、出してきた時は実際に家電のプラットフォームで曲がりなりにも動いていたりすることが多いのが特徴だ。家電の、というのは中身がCore2Duo+GeForceとかだったりしない、ということ。
通常こういった「CE Platformか?」といった質問にはなかなか答えてくれないものだが、あっさりとPro2、それも複数個搭載といった裏ワザを使わず1個のPro2でちゃんと動いてまっせ、という点を教えてくれたことから自信のほどが伺える。えてしてちゃんと動いてるときは動いてると答え、そうじゃないときは『答えられません』としらばっくれるからだww
閑話休題。
放送とディスクメディアの遅い規格更新ペースから逃れられるか?
ちょっと爆弾発言的になってしまうが、日本のマーケットにおいてはテレビコンテンツが地上波放送に依存しすぎているところがある。Blu-rayコンテンツを購入してもネット配信で購入しても、同等クオリティの映像が地上波で流れてくる。そういう意味では、受像機の3D化は地上波放送の進歩ペースを超えて映像表現を進化させ、地上波から離れやすくする、言い換えれば地上波では得られない+αの価値をわかりやすくユーザに示すための1つのパーツにはなることは間違いない。なぜなら、データ量が倍増して電波での配信が困難になるうえに、(当面は)一部受像機でしか再生できない3D映像を広くあまねく電波配信するわけにもいかないからだ。
わかりやすい感動を生む技術と新しいコンテンツの組み合わせ、という3D映像表現のアプローチは巻き戻し・早送りが不要な高音質音楽メディアであるCDが登場したときに近いかもしれない。ぜひとも高品位な3D映像をBlu-rayやネット配信によって供給し、地上波の進歩の遅さに引っ張られることなく映像表現を進化させていってほしいものである。また、ネット家電推進派として、試験的でもいいので3D映像のネット配信を是非、とお願いしておきたい。ちなみにマーリンDRMによる3D映像のネット配信については『現状全くノープラン、規格も決まってない(Panasonic PFC後藤さん)』とのこと。
個人的には3D化による没入感UPが確実に得られるゲームコンテンツに期待がかかるところではあるが、映像表現でゲーム界をリードしているSONYが3D対応テレビで1歩出遅れている現状ではまだまだ先の模様。まずはPHLチューニングによるハリウッドコンテンツを堪能してから、という流れになろうか。在籍していたことがあるからと肩を持つつもりはまったくないが、PHL*1でチューニングされたPanasonicのハリウッド画質はこういった"初モノ"には滅法強いので期待したいところだ。
余談
Panasonicのイベントにいったら昔の先輩方が何人もいらっしゃってとっても恐縮したorz とはいえあえていち招待者としてCC本部*2の皆様にコメント申し上げると、技術的に濃ゆい人とそうでない人をごちゃーっとまぜてまとめてポン!という感じでイベントやるのはいまいちな感じ。折角AMNさんを交えてやるんであれば、もう少し細かくブロガーさんをセグメント分けすることもできたはずじゃないかなぁと。技術的に濃い人には薄っぺらい感じで、薄い人には濃すぎる感じというどっちつかずのイベントに落ちちゃった感じが(中で頑張っていた開発者の皆さんを存じ上げているだけに)とっても残念。
また、本会の解散後に末次さんをぐるりと取り囲んだ「濃い人達」と末次さんの間での、実に深くおもしろいQ&Aの嵐が、Panasonic某氏の時間切れコールで中断されてしまったのもとっても残念。もし何なら二次会にでも移動して...というご提案とSETだったが、夢から覚めてしまったかのように皆さんその場で解散してしまたのはPanaさんにとっても勿体なかったんじゃないかなぁと。
あと、テレビの技術面に話をフォーカスしたかったのはわかるが、映像制作に関係したメンバーがいなかったのも残念。新しい映像コンテンツを再生するという仕組みの関係上映像側に興味を持つユーザが多いのは必然だ。テレビ開発系部署から1名、映像コンテンツ制作/チューニングに携わった部隊から1名、といったラインナップでやるべきだったんじゃないだろうか。次回以降の参考としていただければ幸いである。
2万円で快適デスクトップPC生活を楽しむTips 〜トロいネットブックはサブにしろ!?〜
ML115に中古激安グラボ積んでDDR2満載してRAMディスク活用すれば相当快適、しかも2万円前後。ネットブックブームではあるけど、安さと快適性*1を取るならやっぱりデスクトップだよね、という話。
- ML115G5を買う 11000円
- DDR2メモリを4Gぶん買う 4000円
- SoundBlaster 5.1VXを買う 2000円
- 中古格安グラフィックカードを買う 2500円
- WindowsXPを入れ、適当にドライバを入れる
- BOOT.iniをいじってOSの管理メモリを3Gにする
- このへん参考。MAXMEM=3072 とする。
- RAMディスク利用のためにおまじないをする
- スタートからファイル名を指定して実行にて以下のコマンドを入力、OK
- RUNDLL32 ERAMNT.CPL,StartupFastfat 1
- ERAMをインストールする
- マイコンピュータ右クリックでプロパティ、詳細設定→環境変数 から TEMPとTMPをそれぞれz:\tempに変更
- Firefoxでabout:configをして、空欄にて右クリック、新規作成(文字列)で「browser.cache.disk.parent_directory」を作る
- この辺参考
- 設定文字列はz:\
以上。シングルコアCPUだけどブラウズしたりちょろっとOffice動かしたり動画見たりする程度なら超快適。マルチコアじゃないといやだと駄々をこねる人はPhenomでも積んでください。+13000円ぐらい。
追記: OS持ってない人は買うべし。だいたい10kぐらい。 ※あまりに指摘が多いのでムカついて追記...。OS持ってる人対象だってのは見ればわかると思うのだが...。どーでもいいけどUbuntu desktopはWindows並みに楽ちんになっててOS代けちりたい人にはおすすめ
フルHDのビデオとか再生したいんで安くていいディスプレイはないのかという諸氏にはSamsungの2233あたりをどうぞ。+18000円
雑感
ML115搭載のAthlon1640は思ったより速いという印象。オンボードのグラフィックはフルHD出力すらできず、デスクトップPCとしては使い物にならないので注意。神ドライバとかでそれなりに使える状態になっていたSC420からの移行だったのでびっくり。
中古格安グラフィックカードでもネットブックなどと比べると比較にならないほど快適な2D描画・動画再生支援が得られる時代になったのがありがたい。 DDR2メモリの激安度合もかなり効いている。+1万円円出せばクアッドコアのPhenomに入れ替えることができるので、上記構成を試してみて『もっと力を!ハァハァ』となってからPhenomの追加購入を検討すればよいだろう。
あと、このスペックでできることをざっくりと。うちではGeForce6600GTを差しているので動画再生支援機能は用いていない。
- 1920*1080のMPEG2-TS再生(何かは聞くなww)
- まったく問題なし。CPU使用率は40〜65%
- 1440*1080/30fpsのH.264圧縮mov(QuickTime)
- CPU使用率80%以上まで上昇するが再生可能
- USB接続地デジチューナーでの2番組同時録画
- 録画しつつブラウズなども可能
- YouTubeやニコニコの720p HD動画再生
- こちらも問題なし。50-70%ぐらいのCPU負荷で遷移
- これとか→http://www.youtube.com/watch?v=rbdZSLmfsXg&feature=hd
ゲーム? そんなものはゲーム向けグラフィックカードとDDR3のトリプルチャンネルが載ったメインマシンでやるべし。
*1:処理速度や画面の見やすさなど
次期ATOMプロセッサは組み込み用途の夢を見るか 〜ATOM vs Cortex A8〜
たまには超業界的な話を書くのもよかろうて。会社(Cerevo)の技術陣との会話のなかでATOMプロセッサとCortexA8コアベースのARM系プロセサがアツい。ミニノートPCが売れてるよねーとかそういう話じゃぁない。組み込み系がPC系CPUに近づきつつあり、PC系CPUが組み込み系CPUに近づきつつあり、そしてIntelと組み込み系陣営が火花を散らすのか、そうじゃないのかという話し。
業界諸氏には説明も不要だろうが、身の回りにあるパソコンというパソコンはインテルのCPUで動いているというのに、身の回りにある家電という家電はほっとんどインテルのCPU(86系)で動いていない。家電製品ではARM系やSH系などと呼ばれる組み込み用途に特化したCPUが使われることが一般的である。iPodも ARM系だし、ニンテンドーDSもARM系だ(かなり特殊だけどw)。
ARM系に限らず、組み込み用CPUってのは低消費電力で動くうえに安価で量産に向く。また、多数の派生品がありチップ内部にUSBだのLANだのSDだのを組み込んだモデルがあり、それらは周辺チップ*1なしでそれぞれの機能を実現できるため、さらに安上がりとなる。『周辺チップなんて数百円のもんでしょ』と言うなかれ、3〜400円のチップ4つで約1500円。その4つのチップぶんの基板面積UP、抵抗や電源などを調整するための微小な電子部品類、それらを駆動するためのバッテリー容量の+αぶんなど諸々考慮すると材料費ベースで\2000近くのUPになったりする。これは定価にして+6000円相当になるわけなので、5万円以下で販売する商品にとっては致命的ともいえる価格差になるのだ。
勿論専門的なことを言い出せばARM系が組み込みに向いている理由などほかにも星の数ほどあるのだが、まぁざっくりといえばこんなところだ。勿論組み込み用に開発された86系CPUなんてものもあるが、まぁARMだのSHだのが主力だったよね、というのがこれまでのところ。
だがATOMプロセッサの登場で状況はだいぶ変わってきた。驚くほどの低価格と予想以上の低消費電力で組み込み用途という可能性が(現状のATOMでは難しいとしても)将来的に見えてきた。さらに面白い要素としては、PCの爆発的な普及により、PCワールドで培われてきたソフトウェアがそのまま通用するような組み込み機器が求められつつあるということだ。こういう方向を向き始めると、Intelのx86アーキテクチャが俄然強くなる。「ちょと高いけど、PC用のソフトがそのまま動くメリットを考えると開発期間短縮のためにもATOM後継CPUを使おうか...」なんて検討方向になる可能性が出てくるわけだ。
対して組み込み用途CPUはというと、より高い処理能力が求められるようになってきて、むしろインテル86系プロセッサのようなものに近づこうとしている。組み込み用チップベンダーは「そんなところには向かっていない」と否定するかもしれないが、方向としてどう見たってそっち行ってるよね?というのは明らか。TIが出している携帯電話向け最新鋭CPU OMAP3530なんかはその典型だ。先日行われたDemo2009でもAlways Innovating社がOMAP3系ベースのネットブックをリリースしたばかりだが、こういった組み込み系がPC系に仕掛けていくようなアプローチがどんどん出てくるだろう。*2
超シンプルな$200ウェブタブレットが欲しい。プロジェクト参加者募集中
http://jp.techcrunch.com/archives/20080721we-want-a-dead-simple-web-tablet-help-us-build-it/
結果、価格帯的には夢物語でしかなかった上記TechCrunchエントリーのようなプロジェクトが、現実味を帯びてきている。これは面白い。そしてこれを ATOMベースで実現するのか、ARM等組み込み系チップで実現するのかがこれまた興味深いものとなってきた。まぁチップそのものの価格だけで全てが決まるわけではないものの、ATOMで行くのかCortexで行くのかとなると、レスポンス・バッテリライフ・価格・重さあたりのPros/Consを取って商品企画の勝負になるはず。つまり高価で重く、バッテリーも持たないが様々な強力なアプリが走るATOM系端末にするという案が1つ。それなりに安くて軽く、バッテリもよく持つもののよくチューニングされた専用アプリがいくつかしか動かないようなCortex A8系端末にするかという案がもう1つ。この場でどちらがいい、悪いの議論をするつもりはないが、これら2つの選択肢が比較的近い価格帯でせめぎ合うであろう現実が面白い、というわけだ。
PC系アプリ資産を活用しやすいという強みがインテル系にあるとはいえ、ARM Cortex A8コアを採用したOMAP3、i.MX51などのパワフルさは逆にネットブックぐらいの市場なら食いにかかってやるぞというぐらいのパワーがあるのもこれまた事実。OMAP3が内蔵するOpenGLアクセラレーターやDSPなどを活用したときの底力は、N270採用ネットブックの動画再生においての弱みを突いて花開く可能性もある。
さてはて勝負の行方はどちらへ転ぶのか。
飲んだ勢いでとりとめもないエントリーになってしまったが、パワフルな組み込みプロセッサと安価なPC用プロセッサが火花を散らしてくれることは、われわれのようなハードウェアを絡めたスタートアップ企業にとってうれしい話であるだけでなく、面白いガジェットを望むガジェットフリークなユーザにとっても良い方向であることは間違いない。