マーズフラッグの「旬ワード」に見るネットサービスにおける商標問題
マーズフラッグが検索エンジンへの入力Keywordから注目語を抽出してトップページで紹介する「旬ワード」という機能?サービス?を提供開始した*1....と聞いて『ん!?どっかで聞いたことあるぞ』って思った人はわりとネトヲタかも。Niftyが1年以上前から提供してるサービスとして「瞬ワード」なるものがあるのだ。サービス内容も酷似しており、どちらも検索エンジンの検索フォームに入力された言葉を集計し、急上昇した言葉を「注目のワード」としてユーザに提示するものだ。
わたしゃ法律だの知的財産だのはまったくもって門外漢だが、自らが企画したネットサービスの商標調査や出願ぐらいは勿論やるので、最低限の知識ぐらいはある。そのつたない知識だけでも、明らかに同種のサービス(指定役務で35類,38類,42類といったところ)において発音が同じ商標は出願してもNGとなり、訴訟されると非常に不利な状態に陥ることぐらいはわかる*2。あーこりゃマーズフラッグさんロクに調査もせずにやっちゃったねぇカワイソウに...と思って『ネットサービスだからって権利関係なめてかかってっと、いつか訴訟されて名前変えなきゃいけなくなるぞ』ネタでエントリを書こうとおもったら....
Niftyが商標「旬ワード」を出願してなかった
ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!
ソウキタカ。大手企業になると細かいサービスメニュー名称まで商標をしっかり押さえてビジネスをするのだが、Niftyぐらいの規模でも微細なサービスメニューまでは商標を押さえない、というスタイルのようだ。例えばソニーのPLAYLOGというサービス*3があるが、その中に出てくる「Webうた」なるメニューがある。PLAYLOGだけでもドマイナーなサービスなのに、その中のさらにWebうたである。まぁ「着うた」の次を狙って付けたのだろうが....こんなものまでも商標登録されているのだ。
【出願番号】 商標出願2005−86638
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【商標(検索用)】 Webうた
【標準文字商標】 Webうた
【称呼】 ウエブウタ
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【出願人】
【氏名又は名称】 ソニー株式会社
まぁ商標出願にはお金がかかるし、訴訟するつもりがそもそもないのなら出す意味もないが、こういったWebサービス会社の商標管理状況を見るにつけ、大手企業としては『先に商標押さえてからサービス後出し』なんてのもアリかと思ってしまう。具体的には『にちゃん』なんて掲示板サービスとかどうだろう(笑
「にちゃん」が含まれる商標「1〜4/4件」のリストを表示しています。番号をクリックすると詳細な情報が表示されます。
項番 出願/登録番号 商標
1. 登録3203730 毛がにちゃん
2. 登録4533588 ぱくぱくうにちゃん\pakupakuーuniーchan
3. 登録4904410 「なーにちゃん」
4. 商標出願2005-103247 のにちゃん以上
いけるぢゃん!
....アホな話はさておき、Niftyの「瞬ワード」は1時間ごとにTOP10のRSSを吐いてくれるもんだから、合コンなどでマスな話題に乗り遅れないための情報源として、結構重宝していたりする。昼間はワイドショーネタになった芸能人名などが多く、ゴールデンタイムになると放送中のTV番組タイトルなどが多く、夜中になると雑多なワードで溢れる。これを何とか家電と組み合わせて面白おかしく使えないかと検討していたりもするのだが、現状の知財状況を見るにつけ実現は難しいのかなぁと思ってしまう。まぁ特許のほうの話は横へ置くとしても、例えば「ソニーのとある機器が旬ワードと連携してこんな面白い機能が付きました!」なんて事が実現したとして、誰かが「舜ワード」なるサービス名で、今ホットなAV女優の名前を教えてくれるサービスを始めちゃったりすると、途端にコールセンターは『お前のところはアダルトビデオ関係の業者と連携して何かやりだすのか!』何て勘違いのお怒り電話が殺到する、などといった厄介事が発生しかねないし、100歩譲って発生するのは不可抗力だとしても、鎮静化が大変難しくなってしまうのである。