ニコニコ動画に見る和製動画CGMの勃興 〜ただTVのコピーをUPするだけではなくなった!?〜

一昔前のYouTubeまわりの論調は『日本人はTV番組のコピーをUPするしか能がない』『欧米と違って和製UGC*1で面白いものはほとんどUPされていない』などと言われていた。だが、ここ数ヶ月で大きく風向きが変わってきているように思う。きっかけはおそらく、ニコニコ動画だろう。

厳密に著作権侵害か否かを問われると、大半が侵害コンテンツであることに変わりはないのだが、単にTV番組を録画したものをUPし、人類共用ハードディスクレコーダーとして使うような使い方ではなくなってきている。これは大変面白い。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm66840
http://www.nicovideo.jp/watch/sm92487

まずは上記2つのビデオを見てほしい(ニコニコ会員でないと見れないが...)。それぞれ「シルエット化した格闘ゲームのキャラを当てるクイズ映像」と「アニメ絵と実写で似たような美少女の絵を同時に出し、どちらが可愛いか皆で投票する」というもので、ニコニコ動画ならではのコメント機能をうまく使った"ゲーム/クイズ出題"方式のUGCである。もともとのコンテンツが版権モノだったりするので、UGCというよりはコンテンツ・リミックスと言ったほうがよいかもしれないが、とにかく"新し"くて"面白"い。

Web2.0CGMといった観点から面白いのは、これらの動画は投稿時点では未完成品であり、閲覧者からのコメントが付与されることではじめて完成品となっていることだ。作者が投稿した時点では未完成品だったものを、視聴者が完成品に昇華させているわけである。

完全なるオリジナル創作ではないものの、TVや映画の単純なコピー、切り出しだけではなくなってきていることと、作成者と視聴者が協力してコンテンツを作り上げてゆく様は投稿動画サービスの未来を感じさせるものである。

日本の同人誌は世界一...かどうかベンチマークしたわけではないが、コミックマーケットワンフェスを毎年のように眺めに行っている限り、日本人はコンテンツをアレンジ・リミックスし、それらを他人と共有して楽しむことに長けているように思う。権利保有者がどういった動き方をするかまだわからないが、先に挙げた動画程度の引用・二次利用に関して多めに見てもらうことができるのならば、意外や意外、コピーしかできない国ニッポンから、アレンジ大国ニッポンとなれるやもしれない。


※最近一番のお気に入りはこちら↓の相撲動画。元はどう見ても放送コンテンツなので権利まわりの問題はあるものの、
 アレンジセンスの光る一品である。 高画質版は作者さんのサイトから(http://check-it.org/14/)。

  http://www.youtube.com/watch?v=7GAyUeyerR8

*1:日本でいうところのCGM