簡単に社内Goが出ちゃうマーケティング施策では爆発的話題にはならない

少ない予算しか持たない小さな会社が、ユーザーによる口コミなどをうまく使ってマーケティングをするときのことを考えてみたい。大企業における小さな部署が、と読み替えてもらってもいい。

少ない予算なりに、自社マーケ担当者や広告代理店などから、商品の特性を活かした様々なマーケティング施策が出てくるだろうが、そこで自分の上司やそのまた上司あたりから"それならよし"と1回の会議で簡単にGoが出るような企画はまぁ、バズらない(クチコミとして弾けない)だろう

上司から罵詈雑言を浴びせられ、そんなマニアックな企画に反応するのはたった数百〜千人程度のユーザーであり、もっとジェネラルに、一般の人でも理解できるようなことをやれとたしなめられる……それぐらいの企画でないと弾けない(爆発的な話題拡大とならない)と思うのだ。といっても、数百人だけで盛り上がって終了、というケースが8割以上を占めてしまうのは確かだが。


マーケティングプランを立てるとき、1つの施策(例えばTVCM)にすべての予算を注いだりはしない。Web広告にタイアップ記事と、複数の施策で組み立てるのが一般的だ。というわけで、プラン組み立てにあたり必ず1〜2個はピンピンに尖った、いわゆる”ぶっ飛んだ”企画を入れるべきだと私は考えている。

そんなのだめだと思う関係者が10人いようと、たった1名であってもターゲットユーザー相当の担当者が鼻息荒く提案書を手汗でくしゃくしゃにしながら握りしめて300%絶対ハマります!と叫ぶ企画でなければ、尖った企画とは言い難いだろう。皆がそれなりに納得したような顔でふんふんと頷いているような案では、本当に刺したいユーザーにずばりと刺さって爆発飛散して周りまで被害甚大……なんてことにはなりえない。だって、ありきたりなネタをネタにするほど、"マニアックな発信者"達は情報に落ちぶれていないからだ。


これは、本命に8割の金を掛けつつ、のこり2割で穴馬馬券を買うようなもの。本命は本命であり、何万倍という倍率がつくことは考えにくい。無難にバナー広告とAdwordsを買って、雑誌でパブ記事を1〜2本・・・なんて展開で話題になることはまぁ稀だ。特に小予算となればなおさら。ダイヤを何千個も配れたり、SIMフリーの携帯電話を1500台配れたりするような予算があるなら話は別だが。*1

"マニアックな発信者"たちが「そ、そう来たか、くっ・・・w」ってぐらいに反応してくれるぐらいの局所的話題作りを徹底的に小コストで行う。それには「わかってるねぇ、企画したひと(にやっ」ってな反応を局所ユーザーの心の中に生ませなければならない。"同類でない人"の意見が入ったような企画に"マニアックな発信者"が「おおっ!」と反応してくれるわけがないのだから。


マーケ施策だけではなく、商品企画サイドも重要だ。マーケ施策連動型商品企画……なんて造語を作りたくなるが、そういう感じのやり方である。そもそもプロモ費なんてほとんどゼロでっせ、なんて商品においても前述したような尖りかたができればそれなりの勝機は十分にあるはず。メジャーなところでは萌え米なんてのは確実にこのパターンだろう。ちょっとマニアックなところではタカラトミーが発表したけどなぜかイーレボリューションから発売されたツンデレワンセグTV*2など。イーレボ社(現ワコー社)は家電業界にいる私ですら知らない会社だったわけだが、ツンデレワンセグの情報だけは局所的に有名となり、目にした方も多いはず。惜しむらくはこのハードウェアをうまくマニア層に差し込んで行く"局地戦的"マーケ施策が伴っていなかったことだろう。

繰り返しになるが、アニメやゲームといった方向に振れというわけではなく、局所的にしか理解できないが、局所では多いにネタになるような施策を突っ込むべし、という話である。

あ、そうそう。もう1つだけ重要なポイントがある。メーカー側の施策をネタにしてくれるユーザーさん達が、ネットコミュニティなどでの発言頻度が高く、発言力を持っている、というのがとっても重要なファクターだということ。某うめっちが日本のWebはサブカル系が強すぎて残念とか言っていたが、それだから故に萌え米女子高生キムチで勝負していく、という流れが目立つのは致し方ないというか正攻法というかなんというかそのへん。


大企業が100万台販売を目指す機器のマーケティング施策ではないことは明らかだが、十数万台狙いぐらいまでは十分に効果的な穴馬の買い方なはずだ。

...ってな話を、数日前別のうめっちと話した。


※執筆BGMは↓
D

*1:勿論、本命筋でうまくやって話題を作る例もあるので、それはそれで素晴らしいことなのだがとっても難易度が高いという認識

*2:確か声優は非公開だけどくぎゅっぽい、という噂だったはず