618gのドライヤなんて軽くないぞ! メディアよ、ダイソンのPR戦略に踊らされるな! ...という話し

ダイソンがきらいなわけではないが、ダイソンのPR戦略に踊らされる人と、そういった人を生み出しているメディアがきらいだ。これはアップルにも通じるものがあるけどまぁまだあっちはテクノロジー企業度合いが高めなんでいいか。

ダイソンがマーケティング(ここではPR, Public Relationsの意味合いを含む)がうまいのは認める。だが、伝える側のメディアがその適当な宣伝文句をそのまま何の知識もなく伝えるのはどうなんだ?

重量バランスも自然で、618gと軽量でもあります。だから頭の上に持ち上げたとしても、楽。
http://www.gizmodo.jp/2016/04/dyson_supersonic.html

Gizmodoさんはいちおうガジェットメディアなんだから『重量618gと軽量!』なんて提灯ネタ(ここでいう提灯とは、メーカーが言った宣伝文句を調査なくそのまま書くことの意味)書いてないで『重量618gで軽量とかよくわかんないこと言ってたけど多分それはUKで売ってるクソ重いドライヤーの話しであって国内で一般的に売られているドライヤーのほとんどは400-500g台であってダイソンの新製品はたしかにオサレかもしれないけど決定的に重たい、重すぎる』って書けばいいのになー。 

ライターさんを責めるつもりはなくて、そこは編集がちゃんと見ろよという話し。編集が見ないなら見ないで、ダイソンは適当なこというからこの記事はダイソンの発表会を彼らの言葉のまま書くから読者のひとは惑わされないでねとか頭に書けばいいのにー。

デモンストレーションを担当したヘアーメイクアップ・アーティストの加茂克也氏は、「一般的なドライヤーと同じ1200Wでありながら、3600Wのプロ用ドライヤーよりも風量がある」と指摘。
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1604/27/news131.html

こちらはITmediaの記事。3600wのプロ用ドライヤーってどんなモノの話しをしてんねんw

恐らくGizmodoの記事を見るに3000wの間違い何じゃないかなぁと思っているが、そもそもね、日本のAC100vのコンセントは1500w以上のものを引いちゃだめなわけで、1500wを超える機器なんて存在していない(PSEもあってそんなものは売れない)。200vを引いて使う特殊な髪の毛乾かし器具があるのかもしれないけど、少なくともテクノロジーメディアであるITmediaさんはそこは質問で突っ込まないと。発表会のあと体験会があったっぽいので、そこで関係者に質問取りはできたはず。

『3000wって通常日本のAC100vコンセントからは引けませんが、サロンでは200vを引いて使うような特殊なドライヤーを使われているのでしょうか、ぜひ比較してみたいのでメーカーと型番を教えてください』ってね。

ちなみに家庭用ドライヤーは詳しいけど業務用は詳しくないんで200v仕様の3000wするヘアドライヤーを探してみたが、Google先生ほど優秀な検索エンジンでも見つけることができず。提灯記事なんて書いてないよっていうメディアのみなさん、よくわからない怪しげな宣伝文句をそのまま書くのも一種の提灯記事ですよ!


んでもって各社大風量だってことを書きなぐっているけど、みなさま小泉のモンスターとかちゃんと知って書いてますかと。ダイソンのいう2.4m³が本当に小泉と同じ計測方法だったらそれはすごいことなんでもっと持ち上げればいい。でも、数値が全てではないとはいえ、2.4m³は2.0m³の1.2倍でしかないわけで、3000wクラスより風量があるってのは明らかなメーカー側の勝手な言い分(うまいことだまくらかして凄そうに見せるセリフ)であってしかもそれをメーカーが公式に言うんではなくてデモ担当のヘアアーティストに言わせてるあたりが狸だなぁと。

そういうことを突っ込んでいくのがメディアの役割ではないかなぁと思うので、突っ込まないにしてもせめてそこはふーんと聞き流して記事には書かないとか、もうちょっとなんとかならんかったのかと。ちなみに小泉のモンスターは結構重たいので、モンスターよりは軽くてちょっと風量があるからすごいっちゃーすごいんですが、その程度差でしかない。個人的にはいつも適当なことをいってだまくらかしにかかるダイソンだけに、2.4m³の計測根拠はきちんと示してほしいなぁと思うし、そこは記者さんとしては追加取材でぜひ突っ込んでほしい。小泉はWebで計測方法を(ざっくりとはいえ)公開しているので、比較してみてほしいなぁと。


ちなみに全てのメディアが適当かというとそうでもなくて、日経トレンディさんとかはかなりしっかりした記事。3000wの変な話しもないし、重量が軽いという適当アピールも華麗にスルー。重心位置にフォーカスして『軽く'感じる'』という点をフィーチャー。まぁ「パワーは '一般的なドライヤーのモーターと比べて約8倍'(ダイソン)」ってコメントを使ってるのはおいおい感がなくはないが(8倍もあったらそんな消費電力で収まるわけはないし2.4m³とかで収まるはずがない)。ちなみにこの8倍ってのは多分回転数の間違い。


ほんとは温度の話も書きたいんだけどもう疲れたよママン。秒間20回サンプリングなんてデジタルセンサなら当たり前の数値だし、そもそもサンプリングしてどの程度フィードバック制御かけてるのか不明だし、何より『78度より上がらない』ってそれ制御とも言えないレベル。ドンキでノーブランド2000円で売ってるドライヤーですら温度制御ぐらいついてる。誤差何度以内で推移するよう制御をかけているとかならまだ頑張ってるね感はでるのだけれど。そもそも東芝なんかは五段階温度切り替えを実現していて、50−110度ぐらいで幅広く調整できる。パナだったか忘れたけど他の国内機も最近のトレンドは頭皮保護を目的とした60度モードを搭載してる。夏は脱衣所内気温が高いので毛髪に当たるときの温度が冬より上がるからって論理で細かく調整ができる機種もある中、ダイソンはなぜ後発でありながら単一温度としたのかとかズバッと嫌らしい質問して見てほしい、記者さんには。テクノロジー誌読む人はそういうの求めてると思うんだよなー。



まぁ何というか毎回ダイソンは適当なこといって惑わすのでみんな惑わされないようにねという話し。
どーでもいいけど11万回転回るモーターがほんとにちゃんと11万回転回っているならこれはこれですごい話しなんで、そこはもっと突っ込んでいいと思う。CNC用でも10万弱が一般的なぐらいなので、そこは素直にすごいねーと。エアータービン並みのレンジだもの。


さて、話もながくなってきたので最後はこの画像で締めたいと思います。