実力十分!? 激安PND XROAD RM-C3500(キャズムを超えろ!ガジェットレビュー)

ガジェットレビューがかなり溜まってきていて消化しきれていない今日このごろ。本日は、流行りのポータブルナビ(XROAD RM-C3500 楽天最安値24,000円ちょい)を使ってみたレビューだ。色んなところでちょくちょくポータブルナビの情報をみるにつけ、ほんとにアレって使い物になるのか? 安物買いの銭失いにならないのか? という疑問を持った方も少なくないだろう、ということで。結論からいえば、ふつーにカーナビとして使うぶん、またバイクに取り付けてバイク用ナビとして使うぶんには"目的地から数百メートル以内"にたどり着くという目的については国産カーナビ並みにこなしてくれる。なんだよその数百メートルってのは! という点については後述。

PNDってぇもんについて

折角家電屋の私がレビューするのだから、ちょっと業界の話に触れておこう。ポータブルナビってのは、いわゆる20万円とかする高級カーナビから、シンプルに道案内機能のみを抽出した小型・安価なカーナビのこと。ちなみにアメリカ市場では2万円以下のモデルが主流。昨年のブラックフライデーには$99という破格の値札をつけた量販店もあったぐらい。

日本では最近出てきた新手のデバイスのような触れ込みで報道されることが多いが、北米市場ではPND(personal navigation device*1を新車で買う奴ぐらい...ってのは流石に言いすぎかもしれないが、カーナビ市場の大半はこのPNDが占める。あのパイオニアクラリオンパナソニックですらPNDを主流商品に位置づけるぐらいの流行りようなのだから、国が変われば何が流行るかわからない。ま、だから家電って面白いんだけどね。

メーカー名を見てみると、パナソニックサムスンではなく、ガーミン(GARMIN)やトントン(TomTom)といったPND専業メーカーが幅を利かせているのも面白い。メインプロセッサにGPSユニットと1Gbyte程度のメモリ、3〜4インチの液晶ディスプレイという構成はネジとボルトというレベルでコモディティ化してしまい、OSもWindowsCEベースのカーナビ専用OSみたいなのがほぼ完璧に整備されている現在、本当に誰でも作れてしまい、ファブレス生産による価格競争しか勝負どころがなくなってきている為、給料が高い正社員を多数食わせていかなければいけない&流通の中間マージンが多い大手メーカーは参入しづらいのだろう。

というわけでPioneerが北米で出している下記PNDだが、価格帯的にはハイエンドに位置する設定のみという格好だ。
AVIC-F500BT(パイオニア北米サイト)

※厳密には大手のほうが値段を下げられる可能性があるのだが、市場が細分化されており物量作戦によるコスト低減策を利かせにくくなってしまっている為。また価格が下がりすぎておりバッファがもうあまりない、という可能性も高い

XROAD RM-C3500レビュー

あぶないあぶない、PNDの紹介と業界動向だけでエントリーを終わらせてしまうところだった。さて本題のRM-C3500。まぁアメリカでPNDが売れてることからもわかるように、ぶっちゃけこれがあればナビゲーションという意味では事足りる。カメラつきケータイがあればデジカメがなくても事足りる、という例に近いイメージだといえば分かりやすいかもしれない。

液晶は最大輝度にすると350cd/m2と明るく、真昼間にバイクに取り付けて使用しても問題なく見えるレベル。ルート案内は一般道優先や有料道路優先など一通りそろえており、案内精度もまずまず。当然最近流行りの3次元ジャイロセンサーだのスピードセンサー直結だのといった機能は積んでいないので、立体駐車場で迷子になるとかトンネル内で分岐があった時などに一時的に変な動きをするなどはあるものの、ちゃんと目的地に付くことが出来る。


ただ1個だけ、こりゃ絶対だめだろ、というポイントがある。


それは地図データに番地"号"が入っていないことだ。東京都渋谷区3-13-20という番地があったとして、東京都渋谷区3-13 までしかたどり着けないということだ。これは意外なほど痛い。個人的なカーナビの使い方が、およその場所までたどり着くことよりも、およその場所から具体的にどのビル?どの家? までたどり着けることがカーナビの売りだと思って購入したクチだからだ。およその場所(最寄駅前とか)までなら地図見て行きゃぁ十分だったりするからだ。

技術的な見かたをすると、1Gbyte程度のメモリーに番地情報まで含めたデータをぶちこめというのは無理があるのだが、それなら4Gにして番地情報入れろよと思ってしまうわけである。


良いところ、悪いところ(使いにくいと感じたところ)をまとめて締めくくりたいと思う。

良いところ
  • 安い。実売25000円以下(下記楽天リンク参照)で買えるのは魅力。ソニーやガーミンの国内モデルは3万円超え。
  • 取り付け工賃がかからない。置いて、電源を繋ぐだけ。
  • バッテリ内蔵していて3時間ほど動く。バイクに取り付けてちょっとお出かけ、という使い方や、車で目的地についたらカーナビを取り外してカバンに入れておき、歩きながら使うといったことも可能(但しフル充電には6時間ぐらいかかる)
  • 車のエンジンかけれたら自動電源ON・エンジン切ったらOFFに対応
  • 思ったよりヤスモノ感がなく、車に常時取り付けしていてもダサくない。むしろ小さくて高性能でおしゃれな感じ(少なくともオンダッシュの7インチモニターを載せるよりスタイリッシュ
  • 小さいので(車種によるが)ダッシュボード右上(運転席右側前)に取り付け可能。助手席側に取り付けた場合に比べて右手で簡単に操作できる
  • 付属ホルダーのデキが割といい。
    • 吸盤でガッチリ固定できるし、ネジ類が大きくノッチを切っているため緩んでこない。ガチガチに足回りを固めて強化エンジンマウントを入れたうちの車でも、ボロボロで振動のひどいうちの原付バイクでも問題なかった
    • ただし、調整可能箇所が2箇所しかないので、3次元的に傾いた場所に取り付けた際は適切な角度を保つことが難しい。できれば3箇所ほしかった(現在使用中のソニーXYZ77では3箇所調整可)
  • オービス地点データが最初から入っており、警告してくれる
悪いところ
  • 番地まで入った地図情報がなく、最終目的地"付近"までしかたどり着けない(先に述べたとおり)
  • 一番良く使う「拡大」「縮小」ボタンが小さく押しづらい
  • ナビ画面で音量調整ができない
    • こういう類のナビはカーステレオとは別途使うため、一人で大音量BGMをかけて走るときと、誰かを乗せてBGM音量小さめで走るときではナビ側の音量を変える必要があるからだ。
  • 標準付属1Gカード(地図入り)の残り容量が50Mしかない
    • ナビと音楽を両立させようと思うと、2GぐらいのSDカードを買ってきて付属カードから地図データをコピー、その上でmp3を転送しないといけない。メンドウだしコストがかかるコメントで購入者さんから指摘をもらった。地図データはプロテクトされているので大容量ディスクにコピーして云々というのはできないらしい。むぅー。『mp3部は使えねぇ!』が結論かなww
  • ナビしながら曲を聞く、という操作ができない(mp3プレイヤとして使うか、カーナビとして使うか2社択一)
  • 全体的に一画面に要素をつめこみすぎていてボタンが小さく、タッチ操作しにくい。もうちょっと良いUIデザイナーを使ったほうがいいとおもう...。
本質じゃないけどちょい微妙なポイント
  • 電源挿入口が側面にあるのでケーブルが見えてしまってカッコよくない
  • 付属シガーライターケーブルが超絶イケてない。いまどきカールコードとか流行りませんよほんと...。シガーライターからDC5v(ミニUSB)を供給できるアダプタは色々売っているので、このへんは気に入らなければ変更するしかない
  • ホワイトモデルがあるのにケーブルが黒でダサい
  • 韓国製
    • サムソンのオーディオプレイヤユーザーだったりするぐらいなので私は気にしないが、何となく韓国製製品は嫌いだという人もいる為、一応明記
俺は気にしないがいわゆる日本製高級カーナビと比較して省かれている要素
  • VICS非対応
  • 動画が見れない・テレビも見れない
  • 電話番号検索ができない(電話帳データをもってない)
  • GPS電波が入らないとこでは迷子になる
  • ジャンル情報などは最低限。有名な場所(後楽園ホールとかTDLとか)は出てくるが地元の天下一品ラーメンの場所とかはわからない場合が多い

楽天最安値店で買う(Amazonでは取り扱いなし)


1円でも安いほうが良い方や、クレジットカード決済をしたい方はこちら。ポイント10倍UPキャンペーンをやっているので、上記店舗よりもほんの少しだけ(ポイント分を加味すると)安い

本エントリーはCyberBuzz(以下CB社)レビュープログラムに参加してのエントリーである。本ブログ「キャズムを超えろ」にて1エントリー以上の製品紹介を行うこと、RM-C3500のオフィシャルサイトへリンクすることを条件としてRM-C3500の貸し出しを約1ヶ月受けている。尚、謝礼等は発生していない。

*1:personal navigation systemと誤記していたので訂正。某氏感謝!)))と呼ばれるこの種のデバイスが 一番売れてるカーナビ である。20万円も30万円もするカーナビを車に取り付ける奴なんざぁLexusやらBMW((アメリカでは典型的な高級車

タニタのネット家電「からだカルテ×フレッツ」は超楽チン!でもWeb側は改善の余地多数

ここのところ、タニタ社の最新鋭ネット家電を試用させてもらっている。ネット接続型の体組成計、血圧計、歩数計(万歩計)がセットになったもので、専用のベースステーション(タニタ用語ではレシーバ)を介してカラダカルテというwebサイトに接続されるシステムだ。

おっと、レビューに入る前に、先に私の健康に対するスタンスを明確にしておきたい。身長体重ともに平均値近く、食っても運動しなくても大して変動しないという有り難い体質であり、体脂肪率は標準より低い。よって健康に対する意識は相当ひくい。

当然ダイエットはしたことがなく、スポーツジムには行ったことがない。ただし血圧だけはちょっと高めで、通院するほどではないが、少し気にしているという状態である。

いいところ

tanitashot1とまあこんな風に健康だのダイエットだのに興味のない私だが、風呂あがりに脱衣所にある体重計に乗ると一切の操作なく体重、体脂肪率などがウェブに転送されるのは便利極まりない。血圧計も従来品とほぼかわらない操作でウェブに計測値がロギングされる。専用ウェブサイト「からだカルテ」では過去すべての計測情報が記憶されており、グラフにして推移を確認することが可能だ。面倒な数値メモの必要もなく、みづらい液晶画面で数値を確認する必要もない。とにかく乗るだけ、はかるだけ、過去データとの差違等の細かな数値についてはあとでpcの前で考えればよかろう、というスタンスは、1グラムの増減に一喜一憂しないユーザにはぴったりだ。グラフの確認が外出先の携帯電話から出来るのも、最近忙しい私には丁度いい。電車にのってから、そういえば...と確認して悔い改める(?)わけだ。

こういったネット家電にありがちなのが、消費電力が大きい無線lanを駆動するが故にacアダプタ接続の必要があったり、電池の持ちが悪かったりすること。本システムでは機器とベースステーションの間の通信に特定省電力無線を使用することで、従来通り乾電池での長時間駆動を実現している。2400bps出るかもあやしい転送方法だが、体重や血圧値を送るだけなら速度面での不満はない。さらに、広い建物内でも確実に届く特性を持っているので、設置場所を選ばないという大きなメリットがある。

ただ、歩数計については赤外線によるデータ転送となっており、数日に一回は転送ボタンを長押しして転送モードに切り替え、ベースステーション前に置いてやる必要がある。体組成計と血圧計がフルオートマチックなだけに、こいつは少々残念だ。小型化を優先したか、省電力を取ったかの結果だろうが、充電クレードルと組み合わせ、クレードル側に転送ロジックを仕込むなどの工夫で面倒な転送操作を省いてほしかったところだ。ただ、さすがは専門メーカ、歩数計そのものの出来は非常によい。2軸加速度センサを仕込んだ最新型の歩数計は、自転車やバイクに乗ったときの振動を誤計測することなく、正確に歩数をカウントしてくれる。体重計と血圧計については精度を語れるデータを持ち合わせていないが、特に使いにくい部分はなかった。

いまいちなところ

tanitashot2問題は、初期設定とweb側のui、対応回線などだ。ネット家電に参入したばかりのメーカーがよくぶちあたる壁にもののみごとにぶちあたっている節がある。あとはやっぱり価格か。まぁ実験的な取り組みだと思うのである程度は致し方ないと思うが、体組成計とベースステーション(レシーバ)とのセット価格が45,480円するというのは面白がって買えるレベルではない。

  • 名前がダメ。この商品のブランド名は何なのさ!?
    • 私もPanasonic時代に1度ハマったパターンなので、古傷をえぐるように自戒の念をこめて書く。この、ネットにさくっとダイレクトで繋がる超イケてる体重計とか血圧計の商品名は何というのか。本エントリーを書くためにじっくり調べて、まだわからない。光ダイエット? からだカルテ・レシーバータイプ? からだカルテ×フレッツ? 今回のネット直接接続タイプ以外に、PC経由で同一の健康管理Webサイト(名称は"からだカルテ ??")にデータ転送できるモデルもあるため、まじめに欲しいと思ってもユーザが混乱することは必至だ。とはいえ、大手メーカーの実験的プロジェクトではブランド名を容易に使わせてもらえなかったり、後に色々な商品を繋ぎこみたいのでブランド名はなるべくわけたいなど、難しい内情があるのだろうとは思うのだが、やっぱり顧客視点で見てわからないものはわからないのである。
  • Bフレッツ限定
    • 初期設定を不要とするために行った処置と推測するが、一般回線であっても大きな問題は起きない。宅外からnatを越えてベースステーションにアクセスする必要性のあるシステムではないのだから。回線限定することで量販ルートでの販売ができなくなる。このデメリットのほうが大きいだろう。
  • idを自分で決められない
    • flets0001234といった通し番号が振られる。覚えられねっつのw
  • にもかかわらずID/passwordを保存出来ず、毎回入力を強いられる
    • いわゆる「パスワードの保存」機能がないということ
  • Web側画面がすぐにタイムアウトする。先のパスワード保存についての課題とあわせてとっても大変。
  • ログイン直後の画面に必要な情報が揃っていない
    • 体重グラフなど、一番見たいと思う情報が出ておらず、毎度毎度画面遷移して複数回のクリックを強いられるのはちょっと苦痛
  • web側が雑然としていて何をやらせたいのか、何が売りなのかがわかりにくい
    • メインコンテンツであるカラダデータ管理機能が、サブであろうその他読み物系コンテンツに埋もれてしまっている
  • 携帯電話サイトとPCサイトのIDが別になっており、理解が難しい。携帯サイトIDとPCサイトIDを紐付けることはできるが、理解が難しい
  • メール等によるプッシュ機能がない
    • 体重増加が一定のラインを超えた際にメール通知がくるなどのプッシュ機能に欠ける。毎日能動的にアクセスさせる類のwebサービスではないはずなのだが...。
  • 楽しい要素が歩数計イベントぐらいしかなく、全体的にライトユーザーお断りオーラがでている
    • うまく言えないが、真面目に作りすぎた印象。今すぐダイエットしないと成人病の危険がある、夏までに意地でも何キロ痩せる!といったユーザーには良いのかもしれないが、私のように大して切羽詰まっていないユーザーにとっては、全体的につくりが堅く、真面目すぎて引いてしまう。
  • 外部サイトとの連携機能がBlogパーツぐらいしかない
    • 貴重なデータを外に出してなるものか、何とかこのデータでサーバー維持費分以上に儲けてやろう、という姿勢のように思えてしまう。大手メーカーは「囲い込み」というキーワードが大好きなのだが、これではなかなかインターネット文化とうまく交われない。APIを切ったら途端に儲かる、なんてWeb2.0コンサルタント(笑)みたいなことは言わないが、折角のデータをシステムの中に閉じるのではなく、もっと面白いことに使っていけるような施策を打ってほしいものである。当然、社内でやるには限度があるし、倫理的にも一部上場企業にできることは限られている。

といったところか。まぁ文句をいうだけならだれでもできるので、私ならどう作るか? と考えてみた。

  • フレッツ以外の回線に対応。dhcpでipをとり、サーバにプッシュする仕組みであれば、問題ないはず
  • IDは自由に取れる仕様とし、パスワードなしでログイン可能とする(パスワード保存機能の追加)
  • eメール通知機能を組み込んだエンタテインメント要素を含める。体重連動型シムシティだったり、歩数連動型キャラクター育成ゲームだったり。
    • 体重増減が一定範囲内のときはすくすく成長するが、急激に増えるなどすると災害が発生したりするわけだ。


などなど。商品をご好意で借りておきながら好きかって言ってしまい大変恐縮だが、こういうのは部外者がパブリックな場でぶちまけることで、先進派の社員が動き易くなる、という経験をしてきたので、歯に衣着せぬ感想とした。ご理解いただきたい。

安くてもっとOPENなら...買う!?

送料込み1万円以下で、シンプルに体重だけに絞ってWeb(PC/携帯)で体重管理ができて、APIがOPENになってて色々とWeb連携させて楽しめる体重計が出たら、買いますか? 外装素材とデザインには少しお金をかけて、お洒落に仕上げるとして。欲しい!という方はコメントいただければ幸いである。


 例えば...

 こんなデザインなどで。

初期設定がメンドウなんだよねー。という諸氏には月額500円ぐらいお支払いいただければ、W-SIM内蔵モデルを作れるかと思うのだが、さすがに毎月500円払うなら最初の設定を頑張る人のほうが多い、かな?

逆にこういうハードが出てくることで、じゃぁ俺もいっちょ体重や血圧、歩数をキーファクターにしたWebサービスを立ち上げてやろうじゃないか、という人も出てくることと思う。iPhoneがAppStoreで注目されたように、健康家電においても小さな1歩からOPEN Platformのうねりが起こってくれば面白いことになるだろう。

まだまだOPENではないとはいえ、ネットワーク連携型健康家電のはしりという点で、タニタのからだカルテFletsには注目していきたい。

参考URL: http://flets.com/life/hikari-diet/index.html



※ちなみにこのエントリは、画像差込部以外はひたすらiPhone 3Gを使って書いた。相当高速に打てるようになったが...疲れたorz

古いデジカメが広角24mmの最新モデルに!? トダ精光のワイコンが面白い

24mmレンズ*1を採用した最新デジカメが市場をにぎわせているようだが、まだまだ値段が高い。また、マクロで超絶に寄れる!というモデルもそう多くはないようだ。そこでお勧めなのが、今使っているデジカメにボルト・オンで装着できるワイドコンバージョンレンズ&マクロレンズが5千円以下で手にはいる、というシロモノ。ブツはトダ精光が出しているマグネットマウント式コンバージョンレンズというものだ。
[rakuten:shasinyasan:970006:detail]

今使っているデジカメがいわゆる標準ズーム(35mm程度)程度だったとすると、0.45倍にすると16mm相当(!)という凄まじい広角になる。まぁここまでは「そりゃまぁそうでしょ」って話なのだが、このトダ精光のワイコンは前後2分割ができ、後ろ側だけを使うとマクロレンズとして機能する。

このワイコンの面白いところは、金属リングをカメラに両面テープで固定し、磁石を内蔵したワイコンをこれに磁力で貼り付ける、という仕組みだ。この方式のすばらしい点は、既に市場に出ているほとんどのコンパクトデジタルカメラに対応することができることだ。模型やフィギュアを撮影するのでマクロアダプターがほしい、風景を撮影するのでワイコンがほしいと思ってはいたが、ハイエンドデジカメではないためオプション品のワイコンなどが用意されておらず悔しい思いをしていた諸氏には朗報である。

左写真のようにリングを貼り付けると、右写真のようにワイコンが吸い付く。1パッケージにリングが2つ同封されているため、メインカメラとサブカメラ両方にリングを取り付けておいて使い分ける、ということも可能だ。
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で、いったいどこまでワイドに撮れるのか、どこまでマクロで寄れるのか。まぁ百聞は一見にしかず、実写サンプルをみてほしい。撮影に使ったカメラはKodak V803 EasyShare。アメリカで2008年1月に159ドルで買ってきた激安品だ。いわゆる「どこにでもある安物デジカメ」である。

実写サンプルとして、誰にでも大きさがわかり、手元にあるであろう小物を撮影してみることにした。小さいことで有名なMicroSDカードだ。

まずは本カメラ標準状態のレンズ(35mmフィルム換算で36mmレンズ)で、マクロモードONにしてぎりぎりまで近づいて撮る。まぁ、こんなもんだ。
100_2476

では、先のトダ精光804-LW 0.45倍ワイコンに含まれているマクロレンズをつけて撮ってみると...どーん
100_2503巨大ファイルはこちらから


フィギュア(トレフィグ)を標準レンズで撮ってみると、こんな感じ。
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804-LWのマクロレンズをつけて撮ると...ここまでいける。
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続いてワイド撮影の効果。左が標準レンズ(36mm相当)、右がトダ精光804-LW 0.45倍ワイコン装着時。
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ただワイドになるだけではなく、広角ならではの歪みが面白い効果を作り出す。左が標準レンズ、右が804-LW装着時だ。歪みによって遠近感が誇張され、面白い絵になっていることがわかるだろうか。
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ここまでワイドにすると歪みは当然出るのだが、逆にその歪みを絵作りの面白さに変えて楽しめる、しかもマクロレンズがついてきて一石二鳥というお買い得ワイコン。最新型の24mm撮影可能なデジカメに買い換えるよりも、5000円ポッキリでこいつを買ったほうが面白い絵が撮れるかもしれない。

下は真夜中の品川駅コンコースを同ワイコンで撮影したもの。遠近感を誇張し、空間を想像以上に広く見せる広角レンズの魔法によって、幻想的な空間に見えないだろうか?

Midnight shinagawa station for lovely couple

もう1枚、品川駅高輪口を出てすぐ前の交差点で撮ったもの。東横インの看板とかついてて超日常感あふれる場所だけれど、妙な奥行きがあって面白い写真に仕上がっている。
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ネット上で購入できるのは下記楽天店舗のみの模様。サイズはSとLの2種類があるので、適合表を確認のうえ、自分のカメラに合ったほうを購入されたし。尚、今回使用したV803 Easy Shareのように適合表に掲載されていなくても使用できるカメラは沢山ある。Sサイズ装着可能機種は内径17mm外径21mmの金属ワッシャーがレンズ部に装着できるかどうか。Lサイズは内径23mm外径27mmだ。

7/25現在、Sサイズはさっくり売り切れてしまったらしいorz アフィリエイトで儲けようと思ったのに(違  Lサイズはまだあるようですが、売り切れるかも? なので欲しい人は早めに注文が吉かもです 下記URLからたどればSサイズもまだ買えるらしい。

[rakuten:shasinyasan:1002442:detail]

*1:35mmフィルム用レンズ焦点距離換算にて

iPhone 3Gはインターネットマシンとして見ても微妙? ガラパゴス・ケータイはやっぱりすごかった

タイトル釣り気味御免。この週末、iPhone3Gを弄繰り回してみてたどり着いた結論が『やっぱニッポンのケータイはインターネットマシンとして見てもすげぇよくできてる』だ。まぁなんていうか、皆色々期待感ある発言してるけど、もうそろそろわかってきてるんでしょ? やっぱ日本のケータイはインターネットマシンとして見てもすげー便利だ、ってことに。あ、ここからは日本国内でいちユーザーとしてみた時の話。AppStoreでワールドワイドのBigWaveに乗るしかない!俺たちゃITベンチャー!みたいな視点とはまったく別なので注意。

iPhone 3Gで便利だと感じたところ

  • PCサイトの大半がキレイに表示可能
    • 主要tool系サービスは携帯対応してるのでメリットとしては薄い。Blogとかニュースは文字が読めて主要画像が出ればいいよね?
  • 音楽プレイヤーとして秀逸
    • 紛うことなき真実。めっちゃ便利。
  • MobileMeがあってDataSyncが便利
    • 使ってないのでこの点は評価不能。でも日本ケータイでSync機能なくて困ったことはないな...。WindowsMobile機使ってたときにはそもそもSync機能は使わなかった記憶がwww
  • かっこいい・モテる・会社でヒーローになれる
    • 人のうわさもxx日。まぁ賞味期限は1ヶ月?

一般的にすげーと言われたりしてるけど "俺的にハテナ" なところ

  • AppStore
    • 駅探すげーとか言われてるけど...別にWebでよくね? SDKNDAが云々なのであんまり突っ込んだことは言えないけど、8Gとか16Gといったバカでかいローカルストレージを活用したようなアプリ(辞書を全部ローカルに持つ百科事典とか)は出てこないし、携帯電話内の個人情報を活用した(従来のiアプリ等ではキャリア縛りでできなかった)アプリは出てきていない。むしろJIGブラウザとかサイトスニーカーといったインタプリタ系アプリを出せてるiアプリのほうがプラットフォームとして...。何度もいうけど国内で、しかもユーザー視点での話しね。

インターネットマシンとしてみたとき不便に感じたところ

  • ケータイ向けサイトが見れない
    • UA判定されるとPCサイトに飛ばされる
  • ケータイ向けサイトを閲覧したときにショートカットキーが使えない
    • きつすぎ。スクロール&スクロール&スクロール。目がまわる...は冗談で手間がかかる
  • 縦長サイトの閲覧が超めんどい
    • ↓キー押しっぱなしで最下段までがーっとスクロール、という機能がないため縦長サイト閲覧がとっても辛い。最上段に行くにはアドレスバーWタップという手が用意されているんだけれどねぇ...。
  • コピペが使えない、個人情報挿入機能がない
    • まぁ山ほど語られているので皆まで言わないけど、メールで送られてきたお店に地図やら駆使してたどり着く、ってのができないのがほんときつい。Webで調べた番号に(ブラウザから電話機能に橋渡しして)電話かける機能があるだけまだ救いか。あと個人情報(自メルアド)をペーストする機能がないのがきつい
  • 日本語入力が論外すぎ
    • 変換スピードが遅いとかそのへんの話がいろいろ出てるけど、根本的に連文節変換がないケータイとか(文字を色々入れる人なら)ありえない...。「そういや今日の会議の資料って何時ごろ送ってくれます? 17:00までにはくださいね。よろしく」程度の文章打つのにどんだけかかるねん!って話。金曜日からひたすらタイピング練習したけど連文節変換ないとやっぱり早くなんねーよ...。ちなみに英語で外人とやりとりしたんだがこれは超絶快適。ミスタイプ補正とか神のように美しく効いてくれる。今の日本ケータイなんてメじゃない! ってぐらい。ああつまりそういう設計のやつを無理やりローカライズしたのね、というのが伝わってくる。むー

この点、増井さんご本人からコメントをいただいたのでLinkしておく
http://masui.clipp.in/entry/10485

ご指摘の点は『連文節変換が日本語入力にとって必須のものであるという考え方は誤っているのではないか』だ。仰るとおり必須ではないかもしれないが、今回のiPhoneについては色々総合的に見て必要だったんじゃないか?少なくとも私は個人的に必要だと思いました、というのが感想。

以前身近な何人かのケータイタイピングを観察する機会があった。私もふくめて皆さん予測/例示インタフェースをかなり活用しており、これがチープ入力デバイス(?)における重要なポイントであることは理解する。ただ、現状のiPhoneのように予測/例示のみの連文節変換なしでは"思ったより長め"に入力してしまったとき、操作量が増えるのだ。ここがiPhoneの日本語変換が特に使いにくいところその1。「富士リンゴは美味しいね」と書くとき、フジと入れて例示を選べばいいが、フジリンゴと入れてしまうとBSを2回叩かねばならない。連文節と併用していればこの可能性を減らせる*1、だから連文節は必要、という意見だ。勿論文節切りミスが発生した場合の工数は大きくなるのだが、"慣れ"てしまえば無意識下で文節切りミスが起きないような文章を書くようになる。

使いにくいところその2は予測/例示候補が出てくるまでの時間が遅いこと。1,2秒から、遅いときは3秒かかる。連文節変換と予測例示のハイブリッドであれば、最初の文節の予測候補が出てくるまでの間に先を打っておくことができる。先の例でいえばフジリンゴハまで打った頃にはフジを打ち終わってから3秒ぐらい経っているのでフジの候補がでているだろう、ということだ。ユーザーがフジの候補として富士を選んでいる間にリンゴの候補を出しておくことだってできるはず*2

以上2点が、連文節変換がないiPhoneの日本語入力はありえない、という意見となった背景である。

  • ブラウザキャッシュが少ない/かといって新規タブ強制開きもできない
    • これがなにげにきっつい。Googleで検索してサイトAをみて、検索結果に戻ってサイトBをみて、という操作で戻るたびに再読み込みが発生するのだ。なんかキャッシュから読んでくれるタイミングもあるみたいなんだけど、基本的にだめっぽい*3
  • ページA表示→ページAフォーム入力開始→圏外になる→ページAフォーム入力完了→圏内になる→SUBMITする→Safari落ちる
    • これ何とかしてもらわんと地下鉄で使いものにならんorz 音楽再生中はほぼ再現
    • 追記:現象ちゃんと調査しました。駅に入る→ページA表示→A完全表示終了前(一部画像残り、等)に電車発車(圏外)→次駅到着(圏内)→ここで強制ページA再読み込み!→駅停車時間内にページAを読み込めない限り以後無限ループ、となる。で、強制ページA再読み込み前にSUBMITなりハイパーリンクなりをうりゃーってClickすると、100%Safariが落ちるというwww 普通のガラパゴスケータイだと、一部表示されかけの部分にあるハイパーリンクを次駅でClickすればOKなのだが...。
  • やっぱりPCサイトって(帯域絞られた都市部の)HSDPAで見るには容量的に重いよ
    • 当たり前だけどケータイで見るために作られたサイトは容量的に軽い。
  • iPhoneのCPUで表示するには描画能力的に(DIVいっぱいとかで)PCサイトが重くなりすぎてるよ
    • 当たり前だけどケータイで見るために作られたサイトはCSS構造的にも軽い。

一般的にマイナス点と言われてるが気にならない項目

雑感

まぁずらずらっと羅列してみたが正直なところ、音楽プレイヤーの部分についてはiPhoneに敵う端末はないと思うが、インターネットマシンとしてみたときに日本のケータイの便利さはまだまだ群を抜いている。これは端末だけがすごいんじゃなく、日本のケータイインフラにコンテンツ側もきちんと対応してきた結果生まれた状況だ。

私はSoftBank 911Tを愛用しているのだが、フルブラウザは契約していない。そして、このBlogをごらんの皆さんのように重度のPCサイト系ユーザーだ。でもほとんど不自由は感じないのである。はてなRSSリーダーを使ってBlogを読み、はてブの新着をチェックし、Gmailを確認・返信し、Googleカレンダーで予定管理する。場所がわからなければYahooモバイル地図を使い、Yahoo路線検索で乗り換え検索をする。mixiモバイルとMovaTwitterで外出先からコミュニケーションを取る。これぐらいの操作であればiPhone3Gよりも遥かに既存ケータイのほうが便利なのだ。便利というのは、具体的には『表示・操作にかかるトータルでの時間が少ない』ということ。なぜかといえば、これらのサイトはガラパゴスケータイの標準ブラウザに対応していて、ガラパゴスケータイで操作することを考えて作られているからだ。MovaTwitterやはてな系サービスなんてその筆頭だと思うが、主要機能は全てショートカットキーで操作できるため、操作量が少なくて済む。あーおもしろい記事ないなぁ、はい次ページ!なんて操作はケータイだと6押して終了なところが、iPhoneでは最下段まで何度もスクロール操作を繰り返し、親指を大きく動かしてボタンをタップしないといけない。いやいやケータイで表示できないサイトも多いでしょ、という意見もあるだろうが、Googleモバイルゲートウェイを通して文字情報を読めないサイトはかなり少数派だ。AJAXバリバリのツール系サイトはモバイル版を用意していたりすることが多いし(ex. Gmail)。

コピペがないのは想像以上に苦痛だ。メールで来た飲み会の場所をYahoo地図で調べる、という当たり前の操作ができない。まぁこのへんはよく語られる話なのでこれぐらいに。コピペではないが、自分の電話番号やメールアドレスをWebのフォームに差し込めないのも辛い(じわじわくる辛さ)。日本語入力のできの悪さはWindowsMobile端末以下だ。いまどき連文節変換を備えないFEPなんて使えるかよ...。顔文字とか (w (笑 などの良く使うキーワードを辞書登録できないのもキツすぎる。


個人的にiPhoneに期待していたのは「WindowsMobileスマートフォンのユーザーは全員涙目」というぐらいの"インターネットマシン"としての使い勝手だっただけに残念である。WiFi環境で使ったときの『インターネットマシン』としての使い心地はアドエスのほうが上だなぁと感じてしまうのだ。まぁ筐体の大きさとかデザインは一日の長があるんだけれども。



さて、ここまで個人ユーザーの視点でiPhoneを語ってきたが、最後にちょっとビジネスの視点から。まぁ日本は一旦この状況(コンテンツまで含めてガラパゴス最適化)が出来上がってしまったので動きはほとんどないと思うのだが、諸外国でどういう動きになってゆくのかが興味深い。特にUS。やっぱPCサイトをモバイル環境で使うのって使いにくくね? ということにユーザーも提供者側も気づいて各国それぞれのモバイルサイト潮流が勃興するのか、それともPCサイトでいいじゃない!としてPCサイトの表示能力でしのぎを削る戦いに入って行くのか。

個人的にはやっぱり前者なのかな、と思う。ブルーオーシャン戦略という使い古された言葉があるように、2位、3位の企業やスタートアップ企業にとって、モバイルサイトという新しいフィールドが出現するほうがビジネスチャンスが増えるので、市場を分離・独立させようというドライブパワーが働くだろうからだ。

ただ、グローバルにコンテンツを提供する側としては、ワールドワイドで共通仕様のブラウザ・アプリエンジンが乗っている端末ってのは「楽チン」なのでとっても魅力的に映る。果たしてiPhoneの海は血の色に染まるのか、それとも...。





うーん、スペリオル湖が真っ赤になって終了、ぐらいかも。カスピ海までいけば万歳かなw

*1:フジとリンゴに勝手に分けてフジの候補を出してくれる可能性が高いから

*2:まぁバッテリの持ちとかあるんでそう単純にはいかないだろうが

*3:追記。シンプルなページとかだと戻れることがある。キャッシュ容量が少ないのかな?はてなトップとかだともうだめ

ソニー・パナの電子書籍端末が失敗したのは大手家電メーカー故の宿命か!?

電子書籍端末売れず──ソニーと松下が事実上撤退 - ITmedia News

まぁなんてのかな。メーカーにいた人間としては『ああ、いつものパターンだね(藁』という印象。ブクマコメでも散々言われてるが、まとめるとだめなポイントは2つしかない。

  • 妙なプライドと妙なCP仁義切りの結果妙ちくりんにハイスペック・高価格な端末
  • CP仁義を切った結果「一般ユーザからすると認知度が低く」 「ネットユーザーからしても魅力的じゃない」みょーなコンテンツしか配信できなかった


といういつものパターン。これってacTVilaビデオもそうだし、その昔の失敗事例でいくとEP放送とかもそうだし、現行でいえばBrancoだったりGyao NEXTだったり。


一般ユーザーの認知度を高めようとすると、CCCさん*1だったりバンダイさんだったりと手を組んで、彼らを敵に回さぬよう、かつ一般ユーザーでもある程度認知度のあるコンテンツを集めたくなる。でも残念ながらネットというインフラに流れてくる彼らのコンテンツは古いか、あるいは既存インフラよりも値段が高いかのどちらか。しかもガチガチのDRMなんでハード側(厳密には組み込みソフト)の開発工数も膨らむ。

ネットユーザーみたく先進的な人を相手にしよてWebだのYouTube映像だのが見れます、みたいなことをすると前述したようなCPさんを敵に回すことになって"跳ねない危機感"が出てくる。やっぱり大手の商品ってのはマスに跳ねてなんぼなので、マスに跳ねる可能性を最初から削っちまうって選択は本当に難しい。

結果、マスでもニッチでもない中間的なところに落ちて、鳴かず飛ばずで終わるという轍を業界で10も20もやってまだあきらめきれていないように見える。



そろそろマスは切ってグローバルニッチでファン層を囲う、というマーケティング・商品企画策に振ってもよさそうなものだが、KindleやiTuneStoreの成功(?)を見てしまうと「いやいやコンテンツを集めてCPと仲良くマスを狙うんだ!」という幻想を諦めきれないのだろう。

じゃどーすりゃよかったの?

電子ペーパーなんぞやめて、独自CPUなんかもやめて、7インチSVGAデジタルフォトフレームに圧力式タッチディスプレイ*2 or アナログスクロールコントローラーをつけてバッテリは4時間しか持ちません、で15800円。 その代わりBTなりWiFiなりが入っていて夜中のうちにネットニュースサイトとかBlogとかその他DRMフリーのPDFなんかをごりっとダウンロードしてローカルにバッファしといてくれるWebサービスなりローカルアプリなりと組み合わせる端末、ってのが解だったように思う。

まぁ「たら・れば」論なので敢えて多くは語らないが、大手家電メーカーが億単位の投資をして、こんな薄利多売かつすぐに中国・台湾メーカーをバックに従えたネットサービス事業者(ex. yahoo,GMO,etc)が追従する可能性があるマーケットは攻められなかった、ということだろう。


CPを囲って厳重なDRMをかけて独自のコンテンツ配信サイトを立ち上げ、電子ペーパーなどで差別化した重厚長大な端末を開発して価格競争を避ける、という選択肢しかなかったことは想像に難くないが、悲しい現状である。


願わくばこの屍を越えて、DRMフリー音源のごとく大手撤退後の荒地を掻っ攫う面白いスタートアップ・カンパニーが出現することを祈る。



※すいません、ホッピーのみまくってふらふらの頭で勢いで書いちゃったエントリーなので一部語弊がある部分があるかも...。明日冷静になって見ておかしいところがあったら直します

*1:カルチュアコンビニエンスクラブ いわゆるTSUTAYA

*2:安価

Chumby(チャンビー) 初期登録UIの"おもてなし"が素晴らしい件について

WebサービスとのペアリングUI

ガジェットレビュー第3弾は2007年末ごろから話題のChumby(チャンビー)というデジタルガジェット。だが今日はガジェットとしての評価は横において、このデバイスの初期登録ユーザーインタフェースのすばらしさについて、日本の家電設計者に知ってもらいたく紹介することにした。

Chumbyを簡単に説明すると、WiFiでネットに繋がる「iGoogleを表示する、ただそれだけ」みたいな家電。詳しくは http://blog.bulknews.net/mt/archives/002230.html などを参照のこと。

iGoogleをイメージしてもらうとわかりやすいが、自分の好きなウィジェットを設定しないといけない。iGoogleの場合はPCで設定してPCで見るからわかりやすいのだが、ChumbyはPCじゃぁない。マウスやキーボードといった複雑な入力装置を持っていないので、PCからChumby-Websiteにログインして『自宅の無線LANにぶらさがったChumbyにどんなWidgetを表示するか』を設定するというスマートな設計になっているのだが、このスキームを用いるためにはChumby-WebsiteとあなたのChumbyを1対1で紐付けないといけない、というわけ。

Life is beautiful の中島御大の言葉を借りると『その紐付けUIの"おもてなし"が素晴らしい』というわけだ。


とまぁ引っ張ったが、すごいってのは1点のみ。普通こういうのは機器側にパスコードみたいなものが表示され、それをPC用Webサイトで入力するのだが、タイプミスをしたり、入力が面倒なほど桁数が多かったりして面倒なものだ。

それを「PC用Webサイトの画面に表示された5×4のオセロ盤(一部がランダムに黒く反転している)を見ながら、Chumbyに表示された同様の真っ白なオセロ盤を指でタップして、PC画面と同じように黒く反転させる」だけで完了するというのである。言葉で書くと難しいが

DSCN0454
つまりこうやってPCと同じようにオセロ盤を黒くしていけばいいだけである。この図では、Chumby側の左下ボタンをタップして黒く反転させればOKというわけだ。

TimeZone設定UI

TimeZone設定UIも秀逸だ。よくあるあの長ったらしい縦長の都市名リストからTOKYO JAPANを探さなければならないのかと鬱な気分になっていたところに出てきたのがこの画面。
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世界地図からお前の住んでるところを指で押して選べ、というわけだ。しかも、Clickすると当該地域が拡大されてゆく。
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アジアが拡大され、さらに日本をClickすると東京と大阪が( 時差ないけど(ぉ )。これならスクロール機能のないタッチディスプレイOnlyのデバイスであっても快適にTimeZoneを設定できる。購入した直後、たった1回のことではあるものの、簡単に設定ができることは良いことだ。

終わりに

ほんのちょっとしたユーザーインタフェースだが「あ、この機械、ぼくでも簡単につかえそうだ」という印象を与えるに十分な2つの"おもてなしUI"ではなかっただろうか。外観のチャーミングさも相まって、"ITガジェット好き"以外にも普及しそうな機器であることを痛感した。*1

Chumbyが登場してはや4ヶ月がたとうとしている。日本語のブログも多い中で、本件について高く評価しているBlogが見つからなかったので、少々遅いがここに記しておきたいと思う。アップルや任天堂といった超大手企業以外にも良きUIを作るハードベンダーが出てきたことは嬉しい限りである。

今後、たとえば家の電球1つとってもIPを持って、ネットに繋がっていく時代になると思う。「あはは頭わりーこいつ」という人もいると思うが、長期ビジョンを立てるというのはそういうことだ。そうなると、Webサービスネット家電のペアリング手法は、現在のWebサービスにおける会員登録フォームだったり会員登録システムだったり(空メール登録とか、ね)と同じく"おもてなし"競争が行われることだろう。そしてその争いがWebと大きく違う点は、特許が成立しやすいということ。Chumby.incがどういった特許を保持しているのか現段階では明らかではないが、この入力方式はキャズム社でなきゃ使えない、なんて縛りが出てくることだろう。一般人の立場としては、この点を特許で縛るのはどうかと思うものの、いちハードウェアベンチャーの代表としてはこういった特許をしっかり取りにいかないといけないなぁと思う次第。

※まぁ実際のところ、2003年ぐらいからもう結構な数出てるけどね。

*1:と、ほめてみたが、実はWeb側のUIはいまひとつ。改善されることを期待したい

従来型のテレビ+従来型のVODは流行らない。今までも、そしてこれからも!?

VODの持つ可能性を殺してしまわないためにも、「能動的に電源を入れ」「メニューからタイトルを選び」「月額 or Pay per viewで課金し」「他者と繋がることなく完結する」ビデオ・オン・デマンドサービスや、家電メーカーのエゴが詰まった従来型のテレビから脱却していただきたいものである、という話。

レンタルビデオ vs VOD

長らくVODは「次世代レンタルビデオ」として有望視されたきた。しかし、レンタルビデオとVODを比べて決定的に違う点が2つある。1つは先に述べたコンテンツラインアップ。放送局や映画業界と仲がいいレンタルビデオ業界はすばらしくラインアップが良いのだが、VODとなると魅力的なタイトルがほとんどない。アクトビラビデオ、GyaoNEXT、クラビットアリーナの3種全てを視聴できるSONY ネットワークTV BOX BRX-NT1を約1ヶ月試用してみて、一番きついと感じたのはやっぱりここだ。確かに3社合わせると何千・何万という映像を見ることができる。しかしその中に、見たいと思うような映像がなければ1万もゼロも同じことなのだ。

もう1つは従来型のVODではお客様に情報をプッシュできないことだ。レンタルビデオ店は駅前にあったりして嫌でも視界に飛び込んでくる。1本借りたら最後、返しに行かなくてはいかず、そこでまた新作情報などが"強制的に視覚・聴覚にPushされる"。エコシステムがうまく回っているのだ。コンテンツが今ひとつぱっとせず、店舗に比べてプッシュ力にも欠ける、VODには未来が無いのだろうか?


実は、私は家庭用VODにはものすごい可能性があり、レンタルビデオビジネスに取って代わることができるとすら思っている。家庭に置かれる端末で、かつネットにつながっているというメリットを最大限活かし、レンタルビデオ店にない魅力を持てばいいのである。しかし、ただ単に汎用的なブラウザを積んで、 GyaoNEXTから提供される「視聴可能ビデオリスト」を能動的に操作させているだけでは10年たってもVODの天下は訪れない。

テレビをつけたらVODの新着情報が「半強制的に」割り込み表示する*1、テレビ視聴後に関連するVODの情報をレコメンド表示する、以前視聴したシリーズの続編が配信開始されたらケータイにメールしたりSTB本体が光って教えてくれる、などの機能を検討しただろうか? STBがテレビを操作してポップアップを出すなんて、社内の力関係上できるわけがない!なんて悲鳴が聞こえて競うだが、そこを何とかできるのが家電メーカーではないか。色んなしがらみがあって難しいのはわかるが、何とか乗り越えてもらいたい。短期的に乗り越えられる可能性があるのは家電メーカーだけなのだから。BRX-NT1などは「購入者のネット接続率100%」という異常な機器であり、やろうと思えば複雑なネット連携機能だって簡単に実現できてしまう。VODにはしょぼいコンテンツしか権利者が出してくれなくてさ....などと言って甘えていてはいけないのである。

家電メーカーだけの頑張りではなく、GyaoNEXTやアクトビラとしても協力していくことも必要だ。見終わったあとに5段階評価の★マークをつければ1 ポイントたまる、ひと言レビューを添えれば10ポイントたまる、100ポイントで1本視聴無料、などのインセンティブを用意してコンテンツを選ぶ指標を作ってみてはどうだろう。それによって集まったデータは宝の山。今週のベストヒットムービーランキングなどを提供する、なんてこともできるようになるはず。このあたりもレンタルビデオ店ではなかなかできない*2施策である*3


さて、レンタルビデオ店よりもBRX-NT1などのVOD-STBのほうが可能性がある理由を箇条書きで述べておこう。

  • 露出回数
    • プッシュという意味で、TSUTAYAの前を通らない日はあれどリビングに行かない日はまずない
  • 露出時間
    • TSUTAYAの前を通り過ぎるのは一瞬だが、リビングには数十分は最低いる
  • メタデータ
    • TSUTAYAのホストコンピューターとあなたのリビングにあるテレビ、どっちがあなたの好みを良く知っているだろうか? ただ、家族と一緒に住んでいる人にとっては、TSUTAYAのほうがテレビよりも的確にあなたの好みをいいあてられるかもしれない
  • 距離
    • 当然だがTSUTAYAに良くのは面倒。冬寒く夏暑い。
  • 「貸し出し中」にならない

逆にレンタルビデオ店の強みは以下。

  • コンテンツの種類が豊富
    • まぁこればっかりはどうしようもない
  • パッケージを見て選ぶ、という一覧性のよさ
    • レコメンデーションで対抗できるとはいえ、これはリアル店舗ならではの要素

VODならではの強みを活かしたVOD受信機が今後登場することに期待したい。

BRX-NT1に見る複数社VODサービスに対応する際の課題

最後にこれだけは言わせて。PCサイトなどが見れる重たいブラウザを使ってコンテンツの検索を行わなくてはならないのはフラストレーションがたまる。ブラウザが重いのなら、UIEngineなど用途を限定して軽く動くミドルウェア等を使ってほしい。それこそSONYであればアプリキャストというよく出来た軽い仕組みがあるのだから、これを使えばよかったのではなかろうか。まぁNT1に用いられているチップセットはTVと異なるものらしいので、アプリキャスト実装には移植コストがかかる等の問題があったのかもしれないが。また、GyaoNEXTやアクトビラのWebページに接続して各社がそれぞれ提供する独自UIにてビデオの検索をしなければいけない点がこれまたつらかった。同じVODを探す、という操作が統一されていないのだ。

テレビのEPGを思い出してほしい。地上波だろうがBSだろうがCS110度だろうが、全て同じEPGというUIのうえで横串を通して検索ができるようになっているはず。GyaoNEXTやアクトビラのコンテンツについてもXML形式でコンテンツリストを提供してもらって一旦まとめてダウンロード、EPG のような統一されたUIで横串を通して選択・検索できるような仕組みが搭載されてほしいものである。



追記:某所よりタレコミがありまして、JCOMさんが既にこういったサービスをやろうとしているらしいです。番組評価に対するポイントシステムなんかまんまじゃん....ちゃんと調べてから書けばよかった...

一度番組を購入したユーザーに対し、同じ出演者の別番組や同じ番組を購入した他のユーザーが購入した番組を携帯電話向けにメールで通知するレコメンド機能、携帯電話からメールで投稿できる番組の評価機能なども実装予定。番組の評価を行なったユーザーにはポイントを配布するなど、マイレージ感覚のポイントシステムを盛り込んでいくという。
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/21242.html

....あ、そうそう。GyaoNEXTあの品揃えで3900円/月は高すぎる...。これ払うぐらいならCS入れる*4ってばよ。

*1:BRAVIA LINKなどの機能を使えば決して難しいものではないはずだ

*2:全ビデオに★シールを貼る、しかも毎週張替えとかありえないでしょ?

*3:まぁコンテンツプロバイダーはランキングやユーザー評価といった要素を嫌うので難しいとは思うが

*4:e2 by スカパー基本パックで丁度3900円ぐらい