なんで横文字を使うとデキる人っぽく見えるのか(新入社員記憶必須ビジネス用英語一覧)
最初に言っておくと、問題提起風のトピックだが結論は社会人として覚えておきたい『日本語』を羅列するだけのエントリである。考察を期待される方には申し訳ないが、ご理解いただきたい。
さて本題。CNETの渡辺(聡)さんやらR30さんやら、ビジネス方面にとっても強そうなBloggerの皆さんのエントリを見てると、やたらにカタカナ用語が多い。と言うとコンピューター用語(メモリーとかシーピーユーとか)やインターネット用語(ブログとかグーグルとか)がすぐに思い浮かぶかもしれないが、そうではない。正確にどう分類したら良いのか分からないが、「デキるビジネスマンが必ずカタカナ語で使う用語集」ってのがあるのだ。
『普通に義務教育終えて高校に進学し、受験勉強を人並みにこなして4年制大学の学士or修士を得た』という至極中流階級的な人生経験においてはおよそ聞いたこともない*1ような単語なのだから知らないのは当然なのだが、これらの単語類は魔力を持っている。どんな力かというと、正直これらの単語をフル活用していると、傍目に『デキるひと』のように見えるからだ。実際のところは字面など重要ではなく、どんな知識をベースにどう判断(思考)して何を結論づけているかが重要なのは当然のことだ。だが、逆にこれら理解できなければ、どんなに切れ者であっても『デキないひと』としての第一印象付けを余儀なくされる事が、ビジネスフィールドで実際に起きている。
男女関係においては第一印象が重要というが、仕事でも同じ。たった15分の初顔合わせで『お、こいつはなかなか切れるやつだな』と思ってもらえなければ、どんなにスキルやアイディアを持っていても、それを発揮できる状況に持ち込むのにえらい苦労するのである。
というわけで、新入社員記憶必須ビジネス用横文字一覧をざーーーっと並べてみたい。無理に使えというつもりはないが、内容は必ず理解しておきたいものである。間違ってもこれらの用語について『え、○○○って何のことですか?』なんて聞かないように。恥ずかしい事この上ない。
『新入社員なんだから知らなくて当然』『それを教えてくれるのがいい上司』『会社の教育システムがある』『わからないことを聞けるのが新入社員の特権だ』などの意見があることは百も承知だ。でもそんなスピードじゃぁ遅いのである。入社1年目から「お、あいつはできる」と周りに理解させないと、自分の思うように仕事なんてできゃしない。その時点で本当にデキる人間である必要なんてない。デキるやつだと「思わせる」、悪く言えば言葉面で騙してでもそうさせない限り、数年後にあなたがデキる人になったとしても、仕事の上で頭角を現せるようになるには長い時間(5年とか)がかかってしまうことだろう。
そ ん な ん じ ゃ ぁ 、 遅 い の で あ る。
話し言葉編(IT&家電業界企画部門編)
まずは会議などでも頻繁に使われる横文字&略語から。
- アーリーアダプタ/イノベーター/フォロワー/マジョリティ,そしてキャズム
- ユーザ層を指す言葉。本Blogのタイトルにもなっている。Goodpicさんとこの図がわかりやすい。http://www.goodpic.com/mt/archives/000227.html アーリーマジョリティ層,レイトマジョリティ層,ラガード層をひっくるめてフォロワーと呼称することも多いので覚えておくとよい。
- インフルエンサー
- アライアンス
- 複数企業が連携して事業を行うこと。定義が割と難しいのでこのへん参照 http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/m_word/alliance.html
- インベスト
- 投資すること
- エコシステム
- グルイン
- グループインタビューの略。人を募って意見を聞くこと。実際に会場などに集めて直接接触するようなものを総称しており、ネット上でのアンケートなどはグルインとは呼ばない。
- コアコンピタンス
- 真似しづらい独自性のある部分のこと
- コンテンツ
- まぁ敢えて取り上げるほどのものでもないが。ゲームソフト,映画,楽曲などの文字・動画・音声などによる情報のこと
- コモディティ/コモディティ化
- 一般化すること。どこの会社も似たようなものを作って価格競争状態になってしまうことを指すことが多い。ex. Blogってのはもうコモディティ化しちゃったよね
- サマリ/ラップアップ
- 「まとめ」のこと
- シナジー
- 相乗効果のこと。業界によっては石油会社のことかもしれないが...。
- スコープ
- 嫌な言葉の一つ。直訳すると"範囲" でもプロジェクトマネジメント用語としての"スコープ"にはもっと深い意味がある。相手がこの言葉を発した場合、どちらのスコープを指しているのか見極める必要あり。まぁ大半の人は「フォーカス」と同じような意味で使ってるように思うが。プロマネが発する"スコープ"の意味はこの辺参照→http://blog.mag2.com/m/log/0000120232/107058593?page=1
- ディール
- 取引, 契約, 協定, 取決めといったものの総称。 ex. 日本史上最大のディール by R30
- ニーズ/シーズ +ウォンツ
- ニッチ
- リスク
- 危険性のこと。物理的な危険,経営上の危険双方を指す
- パテント/IP(あいぴー)/知財(ちざい)
- 特許・商標・意匠など権利関係を総称することが多い。IPとはIntellectual Propertyの略で知的所有権のこと。ex. 商品Aについて有効なB社のあいぴーを調べよ
- エクスクルーシブ
- 独占のこと。エクスクルーシブな契約(独占契約)、対応端末はエクスクルーシブだ(自社端末のみが利用できる)などと使う。ex. A社の技術は2006年12月迄、弊社がエクスクルーシブに利用することができる
- プロプライエタリ
- ビジネスモデル
- なにはなくともこれ。どこから仕入れてどう作って、誰と契約してどんな形態で売って、月平均いくつ売れて維持費がいくらかかって年間トータルで収支がどうなってて、その後何年間で社会がこう変わって他社がこんなもの出して価格がこう変わって....みたいな話を総称してビジネスモデルと言う場合が多い。厳密な定義は用語辞典ででも。http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/businessmodel.html
- マネジメント
- 管理すること
- ガバナンス
- 直訳すると政治力だが、ビジネスでは地位・組織の力を使ったコントロールを指す。「ガバナンスを利かせる」という利用法が多い。ex. A事業部の反対は、社長にガバナンスを利かせてもらって押し切ろう
- トップダウン
- 上位組織から命題を落として下位組織をコントロールする手法
- ボトムアップ
- 下位組織から命題を上げて上位組織に意思決定を促す手法
- プロト
- プリプロ/マスプロ
- ユーザビリティ
- 色々深い意味はあるが、使いやすさという意味で理解されている事が多い
- レベニュー/レベニューシェア
- ステークホルダー
- EC(いーしー)
- CS(しーえす)
- かすたまーさてぃすふぁくしょんの略で顧客満足のこと。転じて「サポートセンター」「お客様相談センター」のことを指すことが多いが、厳密にはお客様の満足度のことを指すため、「CSを向上させるために説明書をカラー刷りにしよう」などとして使うのが正解。知らずにサポセン指してる人多しwww
- IPO(あいぴーおー)
- 株式市場に上場すること
- UI(ゆーあい)
- User Interfaceの略。消費者と商品の接点部分。ハードウェア的なUIとソフトウェア的なUIがある。ゲーム機における前者はコントローラー、後者は画面上におけるコントロール手法のこと(□の中にXが書いてあるボタンを押せば閉じるとか)。
- UD(ゆにばーさるでざいん)
- 誰もが問題なく利用できるようなUI設計のこと。障害を持っている人でも問題なく使えるような仕組みのことを指すことが多い。目が見えなくてもボタンを押し間違えないように全てのボタンの手触りを変える、とか。
- ディシジョン/ディシジョンメーカー
- 決定すること、決定するひと。英語そのままですな。
- レジデント/レジデントソフト/レジデントアプリ
- 本来の意味では「常駐」「常駐ソフト,アプリ」の意味だが、機器のROMに焼きこまれた組み込みソフトウェア(PCでいうところのファームウェア)を指す人もいる。定義が曖昧なまま随所で使われる言葉。医療関係で言うところのレジデントはまったく別の用語なので注意
- CES(せす)/NAB(なぶ)/IFA(いーふぁ)/CeBIT(せびっと)
- 海外の家電・放送機器関連展示会。CESは米国で開催される家電ショー(といってもGoogleが出展してたりするので実質IT何でも市),NABは放送機器ショー@米国,IFAとCeBITは同様に家電ショー@ヨーロッパ
- CEATEC(しーてっく)/WPC(だぶるぴーしー)/INTEROP(いんたーろっぷ)
- E3(いーすりー)/TGS(てぃーじーえす)/GDC(じーでぃーしー)
- MOU(えむおーゆー)
- Memorandum Of Understandingの略で覚書のこと。法的な強制力はないものの、契約者間の意向を書き印したものです。基本的には正式な契約書サインの前に両者の間で作成され、契約成立後は契約を解釈する重要な書類となることが多いです。が、プリ契約書的な理解をされる事も多く、MOUの内容を参考にしつつ契約締結前に共同業務を始めてしまったりするケースもあります。大きなリスクがある方法ですが、大会社同士の契約となると時間がかかってしまい、完了を待っていたら商機を逃す事も多いようなので。
書き言葉(Emailなど)編
- GM/TL
- グループマネージャー,チームリーダーの略 ex. 山田TLさま
- FYI
- for your informationの略 メールをFwする際何も書かないと味気ないので本文にFYIとだけ書いて送る人が結構いる。
- MTG
- meetingの略で会議/打合せのこと。 ex. 昨日のMTGでの決定事項ですが...
- NR
- No Returnの略。日本語でいうところの「直帰」。メール他、予定表にも書く人が多い。 ex. 17:00から○○社訪問、NRです
- WBS(開発関係で使う場合)
http://liteco.unimelb.edu.au/project/024/images/wbs_diag.png
実際は下記URLにおける「Workplan」列ぐらいのモンでOKなことが多い
http://www.elisa-project.net/content/project/gantt.jpg
- WBS(テレビ番組を指す場合)
- 何故かオジサンの間でとってもよく使われる。わーるどびじねすさてらいとってTV番組のこと。TVを見てない人にとっては何のことだかわからないwwww
と、書き出したものの書き言葉でしか使わない例ってあんまりない。というか文章ならわからなきゃ調べりゃいいよな...と思ったのでこれぐらいにしておく。
あとがき
うーん、書き出したものの体系的にまとめるのは放棄してしまった。とりあえずきりがないので独断と偏見だけでばっさりとセレクトしてみた、いわば「超初級編」であることをご理解いただきたい。え、どうやってセレクトしたかって?
ここ1ヶ月ぐらいの会議メモながめて適当に抜いてきた(w
追記 > 割とたくさんの方に見ていただけているようなので、誤解なきようフォローしておきたい。「こういう言葉を並べ立てればデキそうに見える」なんて思い込んでるのがばれたらイタい人扱いされるので注意。でもこれらの言葉を知らないのがバレると、なぜかイタい人扱いされちゃうのでもっと注意。本質的には日本語で理解してればいい話ではあるんだが、そうやって人を見かけというかちょっとした知識量だけで推し量っちゃう人が多いから注意ってこと。どっかのBlogで「Blogエントリだけで人格判断すな」的なことを書いてた人がいるが、悲しいかなそれに近いことを会議でやる人がいっぱいいるという話。
追記2 > WBS(work breakdown structureのほう),スコープを追加