商品陳列棚を決めずらい商品は売れない...という特性がイノベーションを阻害する
家電業界での話しだが、B2Cで小売店を通じて商品を流通させる他の業界にも通じるところがあるかもしれない。
要は「そりゃここにあるだろ」って誰もが思うようなコーナーが思い浮かばない商品は売れない*1ということである。具体的に言うと、東芝のGIGABEATや三洋のXacti HD1000など。一昔前ではDVDが付いていないHDDレコーダー(CoCoonとか)なんかもそうだった。
- Xacti HD1000ってデジカメ?それともビデオカメラ?
- GIGABEATって音楽プレイヤー?ワンセグTV?PMP(動画プレイヤー)?
- CoCoonってDVDついてないけどDVDレコーダー売り場...かなぁ?
...となってしまう。で、店によって置き場所がまちまちだったり、置いてもらえても「本筋」商品ではないとみなされて端っこに押しやられてしまう。皆さんも見たことが無いだろうか、デジカメコーナーの隅に目立たないように置かれたXactiを。
これまでにないまったく新しい商品を作ろう!というプロジェクトはよくある。で、開発・企画系部署が勝手に作っちゃったけれど、マーケティング部門から見たら「こんな棚決めずらい商品なんて売れっかよ!」となるわけだ。決まってそういう商品は売れない。
先の例にだしたCoCoonのケースだと、どうせ誰も使わないしコストも上がってしまうけれど、それでも店頭で棚位置を明確にするためだけにDVDドライブを搭載して『新しいメッチャ便利なDVDレコーダーです』といって売ってしまうべきだったのだ*2。
でも、それって従来からある家電ジャンルをはみ出るような、イノベーティブな新機軸商品が世に出る可能性を狭めてしまっていて、お客様視点で見るととってもよくないなぁと思うわけである。身の回りの家電がなかなか便利にならない背景にはこんな問題も絡んでいるのである。
愚痴ってばかりいてもしょうがないので解決策になりそうなものを考えてみた。これは参考になるかも、と思った事例は家具量販店のIKEAだ。IKEAでは「○○商品群の棚」なるものは存在せず*3、こんな部屋、あんな部屋といった部屋のサンプル、いわば商品の「使用例」が並んでいる。Aの使用例では子供部屋のイメージなので型番A-01のイチゴ柄ソファが置いてあり、Bの使用例では書斎のイメージなので型番A-02の革製事務椅子が置いてある、といった具合だ。「ソファ売り場」「事務椅子売り場」ではない点がポイントである。Cの使用例ではソファなんだか事務椅子なんだか境界が曖昧な椅子A-03を展示してあったりするのである。こうすることで、事務椅子を買いに来た人も、ソファを買いに来た人もA-03商品を目にすることができ、A-02やA-01と比較するのではなく提示されたユースケースにはまっているかどうかだけを見て買うことができる。
どこかの家電量販店さんで、家電についてもIKEA風のユースケースベースでの新しい展示方法を検討してみてはもらえないものだろうか。きっと、もっと便利で面白い商品が発売されやすくなると思うのだが。