Pyxisという偉大なファイラ / OSSの魅力

シェアウェアPyxisのソースを公開してください、頼むからお願いします!という話。あと、更新停止されてしまった素晴らしいソフトウェアが死蔵されてしまうことの勿体無さ、OSSってこういうときほんっといいよねぇ、という話。

Pyxisという偉大なWindows用ファイラ

愛用するシェアウェアが更新を停止してはや2年。実際は5年以上停止しているだろうか? Impressさんのデスクトップ100景というインタビューを受けて、愛用のファイラはPaper Plane UIだと書いた。残念ながらこれは正確ではないかもしれない。今この原稿を書いているノートPCで使っているファイラはPyxisだ。かれこれ10年以上は使い続けているだろうか。

Pyxisは97年頃に個人(TOM氏)が作ったシェアウェア。800円というリーズナブルな値段にもかかわらず、自分の中ではこれを越えるWindows用ファイラが未だにない。2chのファイラスレでもめったに話題に上がらないが、名作中の名作であると声を大にして言いたい。

しかし、残念なことに2002年頃から更新が停止、NTFS BigDriveで1ディレクトリあたりのファイル数が多くなると動作がおかしくなるという問題点が残ったままとなり、実用に耐えなくなってしまった。そして、一部機能においてPyxisほどの使い勝手はないものの、安定動作する比較的近い操作感のファイラという理由で仕方なく、PaperPlaneUIに乗り換えた、というわけだ。

もしもPyxisオープンソースなら...

シェアウェアとして公開していたものを、オープンソースにしますというのはそう簡単にできることではないのかもしれない。しかし、更新を停止してもう7年も経つ。おそらく作者のTOMさんも、これ以上Pyxisから利益を得ようという感覚はないのだろう。

であれば、であるからこそ、オープンソースファイラーとしてPyxisに第2の人生を歩ませてあげることはできないものだろうか。Pyxisの熱狂的なファンの中にプログラマーがどれぐらいいるかはわからない。オープンソースにしたところで誰も手をつけない(つけられない)可能性もある。それでも期待してしまう何かがPyxisにはある。


まぁTOMさんが表に出ていらっしゃらない今、オープンソースにしたところで誰がモデレートするわけでもなく、元の木阿弥という可能性がなくはないのだが、作者さんの事情により愛用ツールが使用不能になってしまうというケースがOSSの普及で少しでも減ることは確実であり、特に技術者ではないがそういった流れが加速してほしいと切に願う次第である。

キャズムを超えろ!的 魅力的なファイラの条件

Pyxisの素晴らしい点を以下に列挙しておこう。世の中にあまたあるファイラのなかで、これらの要素を"すべて"備えている\1000以下で軽量なファイラがあったら教えて欲しい。3年ほど探しあぐねて結局みつからなかった。

  • 1Window動作が基本であること
  • 消費メモリが10M以下(5M以下が理想)
  • PentiumM 1Ghz程度のマシンでも2秒以内に起動
    • 上記PCにて2000個程度ファイルがあるディレクトリに移っても2秒以内で描画(c:\windows\system32等)
  • ジャンプディレクトリ機能がある
  • ランチャ機能があり、ランチャ起動プログラムに「カーソル位置フルパス名」または「マーク済みフルパス名リスト」を引き渡せること。
  • コピー/ムーブ時に「マーク」「コピー機能呼び出し」後にコピー先を選択することを前提としたUIであること
    • 2画面ファイラのようにコピー前に対象を選ぶようなものはNG
  • コピー/ムーブ時に1キーでコピー先ディレクトリを選択する画面となる(デフォルトではShift-Cの機能)
    • コピー先選択画面においてジャンプディレクトリ機能を使用することができる
    • コピー先選択画面はツリーではなく通常のファイラ画面と同等の画面とする
    • コピー先選択画面はカレントディレクトリから開始される(これができないファイラが多すぎ)
  • 拡張子対応起動プログラムを3つ割り当てられる
    • AVIだとENTERでGOM Player、Ctrl+ENTERでWindows Media Player、Vで真空波動拳など
    • かつ、それらが1キーで呼び出せる(関連プログラム一覧を出して起動プログラムを選ぶ、とかはNG)
  • ワンキーでディレクトリ全体及び選択中ファイルの容量・クラスタ使用量・個数などを表示できる
  • ワンキーで子ディレクトリを含むディレクトリ内検索ができる
    • 検索結果画面からプログラム連動機能(上記3種類の使い分け)が可能であること
    • 検索結果画面でコピー・ムーブ・リネームが可能で、かつ前述のジャンプディレクトリ機能が使えること
  • LZH,ZIP,RAR,CAB,gzipの書庫直視が可能
    • 直視中画面にて先のプログラム連動機能,ジャンプディレクトリが機能する
  • 1キーでフルパス名つきファイル名をクリップボードにコピーする機能がある
  • 基本画面においてカレントドライブ全容量と現使用容量がパーセンテージでグラフィカル表示され、かつ数値でも表示される
    • 特定キーストロークで表示される、というのはNG。常時監視したい
  • ツリー表示なんて不要なものは消して画面を広く使える


※これらの機能を全て備えた良いファイラがあればシェアでもなんでも金払うので教えてほしい

特に最初のcopy/move時の対象ディレクトリ選択機能と、ジャンプディレクトリ&ランチャ機能の組み合わせが良くできていて、これを超えるものが未だに見つからない。

思考の流れとして、aaa.txt をコピーしようとしてから、ディレクトリを作るはず、普通。先にディレクトリを作ってから何コピーしようか、ってパターンは少ない。Pyxisだとc:\tmp\aaa.txtにカーソルあわせてShift+Cすると、下記画面が出る。そこで↓押してENTER押してc:\tmp\1\に入って、K押して[c:\tmp\1\2]を作って、さらに↓押してENTER押して、そこで Shift+ENTERで確定したらaaa.txtが見事c:\tmp\1\2にコピーされる。この使い勝手を今一度我が手に与え賜わん。

AMEN


文字で書いてもわかりにくいので幾つかPyxisのベンリさをあらわす動画を幾つかUPしてみた。

動画)ファイルコピー編
動画)拡張子連動起動&ランチャ機能編